先日、知り合いの映画監督と話をしていた。その人は普段からとても人柄が良くて、真っすぐな性格で、みんなからの人望も厚くて、たくさんの優秀なスタッフを束ねている人だった。 私は、お酒を飲みながらヘラヘラと「いいっすよね○○さんは、人望があって」みたいなことを皮肉交じりに吹っ掛けた。すると、その人は急に顔を曇らせて「僕に人望なんかないっすよ」と言った。 「人望あるフリをしてるだけです。知ってます? みんな内心で僕のこと馬鹿にしてるんですよ。裏でいつも悪口言われてますし。でも旨
デモリールを作った。今年は延々とプロットを練ったり、Blenderをいじったり、好きな映画をコマ送りで観たりしているうちに1本も映画を撮っていないという状況になっており「何か作らねば」という不安だけがグルグル渦巻いている。 監督や俳優のデモリールというと、自分が胸を張って世間に出せる代表作のいい感じの瞬間をいい感じに繋ぐのが普通だけど、それだけじゃ何だかなと思い、中学生の頃に撮った映画や20歳そこらの頃に撮った童貞拗らせ自撮り映画なども全部編集で入れ込んでみた。 映像
先日、我が家にプロジェクターがやってきた。エプソンのEH-TW5650という、フルHD画質の3D対応モデルだ。7年ぐらい前のものだけど、その辺の映画画質オタクよりかは4KやHDRに興味がない(ただフルHDは絶対条件)ので、これで十分すぎる。これでBlu-rayを再生すると、ちょっとしたミニシアターぐらいの迫力がある。 大画面で観る映画というのはやはり全然違う。「見る」のと「見渡す」のは視覚情報の脳処理のテンションが違う。繰り返し繰り返し観てきた映画でも初めてプロジェクタ
先日、劇場で観たぶりに『インクレディブル・ファミリー』を観返した。ブラッド・バードは本当に天才だと思う。インターネットには「○○は天才だ」みたいな軽薄な映画レビューで溢れていて、この文章もそのひとつとして飲み込まれてしまうのが本当に胸が苦しくなるぐらい、ブラッド・バードは天才だと思う。 まだ自分が"天才"だと思い込んでいた頃、映画館で『トゥモローランド』を観て「もうこれ以上最高な瞬間を映し出さないでくれ」と心から願うほど泣いた。大学で友達がひとりもできないまま、童貞のまま
先日、マイケル・ベイの『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』を観返した。この映画は本当にすごくて、実際にあった殺人事件を徹底的に「バカがやらかしたバカ行為」として描いている。緻密な戦略もないし、ミステリー要素もないし、犯罪者の異常心理描写などもない。ただ、その辺の若干意識高いバカな若者が世間の波に揉まれて人生に失敗してしまった的な、そういう青春映画のテイストで「実際にあった殺人事件」を描いている。 実際に起きた犯罪をここまでコミカルに、露悪的に描くこの映画自体の加害性に
私は『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』『BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』『レディ・プレイヤー1』の3本で勝手に「スピルバーグパフォーマンス・キャプチャー3部作」と呼んでいる。常に俳優や物体を3次元的に配置し、相互作用でアクションとエモーションを生み出し続けてきた「ごっこ遊び」の帝王が、最新ごっこ遊びシステムをどう駆使し、何を得て何を失ったのかという興味深さがあると思う。 私は小さい時からレイダースやらE.T.を観て育ったスピルバーグっ子ではなく、ずっと映
先日、ふと思い立って『アナと雪の女王』を3Dで観返した。公開当時に好きだった人と観て、めちゃくちゃ寝た。その後に何らかのタイミングでちゃんと観返したけど、やっぱりそんなに好きじゃなかった。それよりも併映された『ミッキーのミニー救出大作戦』のほうが何倍も好きだった。 と言うか『塔の上のラプンツェル』が好きすぎる。ラプンツェルは人生で初めてIMAX(かつ初IMAX3D)で観た映画で、IMAXの迫力も相まって今でも生涯記憶に残り続ける映画体験の一つとして宝物だ。ランタンが飛び出