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(アーカイブ掘り起こし)早川のみかん農家を訪問して感じたこと その1

本記事は2020年12月に作成した記事です。



先週は小田原駅近辺から大雄山まで徒歩で完歩して、「まさにツーデーマーチ(小田原で毎年開催されていたウォーキングイベント)」と感じ、悦に入っていた。

10キロ以上歩いたが、幸いにも筋肉痛にならず、次回はどこにしようかと考えていたところ、まだ一度も行ったことがなかった一夜城まで行ってみることとした。

記念事業「蘇る小田原合戦」 一夜城で絢爛イルミ 12月18日(金)から 小田原城では北条市 ㈱小田原ツーリズム | 小田原・箱根・湯河原・真鶴 | タウンニュース https://www.townnews.co.jp/0607/2020/11/28/553084.html

城山の山道を抜けて、板橋の小田原百貨店まで降りてくる。
箱根板橋駅、ターンパイク入口も過ぎると、一夜城の看板が出てくる。
ここからが長い登り坂のスタート。

基本登り坂なのだが、途中で後ろを振り返ると眼下に素晴らしい眺めが見える。

一夜城までの道中には早川地区のみかん農家が複数ある。
途中に販売所も数カ所あり、購入も可能である。

その中で、私と起業スクールで同期だった方のみかん販売所があり、今回訪問してみた。

あまり起業スクールの期間中はお話する機会が少なかったのだが、みかん農家の現状をいろいろと伺った。


今回の記事と直接は関係ないが、一夜城から見た小田原市街地。素晴らしい眺めだったので、また訪れたい。鎧塚ファームも。

現状課題と感じられていることは、
①後継者不足
②耕作放棄地への対応
③獣害被害対策
大きくこの3点であったと思う。

冒頭ではあるが、農業は実際に身体を動かして体感してみないと、何かを語る資格もないかもしれない、と感じている。

雨の日も風の日も、酷暑の日も寒い日も、畑に出続けることで農地が維持され農業が成り立ってきたのであるから、農業経験が皆無の私が語ることは絵空事に過ぎないと言っても間違いないと思う。

とはいえ、それでは記事も書けないので、読む方を不快にさせるかもしれないと心配してつつ、筆を進めることとしたい。

早川のみかん農家さんとお話させていただいた際に、現状の課題として述べられていたことは、
①後継者不足
②耕作放棄地への対応
③獣害被害対策
大きくこの3点であったと思う。

①と②は表裏一体の関係で、後継者がいない→農地が手入れされない→荒れ地となって耕作放棄地が増加、という負のスパイラルは容易に想像できる。

そして、今回の早川地区に限らず、小田原市はイノシシやシカ等の獣害による農作物の影響が見られる。(この課題は箱根や周辺地域も同様)

被害額は小田原市全体で年間1,000万円弱に相当するようである。農作物の単価を踏まえれば、1,000万円という被害額の重みを感じることができる。

また、獣害対策として例えば柵の購入費用も発生する。一部、市やJAに負担してもらえるようであるが、農家の持ち出しも当然にして発生している。零細農家も多いであろうから、平均数万円から数十万円という費用も重くのしかかるであろう。

↑全然関係ないが、本日昼の新幹線の写真から。

もちろん他にもあると思うが、イニシャルの課題設定としては①から③は大きくは外していないであろうと思う。

では、こうした課題へどのように対応していくか。

後継者不足については、「後継者を増やせばよい」という単純な話ではない。

後継者不足が発生する要因は、大きく3つ考えられると推測する。

・後継者が「農家を継ぎたくない」と考えている。

・現役世代が子ども世代に「農家を継がせたくない」と考えている。

・単純に農業従事人口の減少(農業に従事する多人数家族の減少)。

最後の農業(家族)人口の減少はさておき、重労働、収入面やライフプラン上の不安、が農業従事者を減らしているのであろうと考える。

では、どうしたらこのようなボトルネックが解消できるかと考えると、
・労働(作業)量の削減による心身負担の軽減
・安定的な収入につながるという確実性が担保されていること
・農業を軸としたライフプランの設計
この3点が大切と考える。

労働量の削減については、これからの農業はデジタルの果たす役割が大きいのではないか。

いかに農作業を効率化かつ省力化するか、という点が大切であるとすれば、例えば自動走行トラクターによる耕作、収穫用ロボットの活用、ドローンによる農薬散布や生育状況の把握、天候や気候・肥料等の環境面から算出した収穫時期の予測等、デジタル技術を活用することは検討しても良いかもしれない。(全て導入するには莫大な金額がかかるので、金額を抑えたスキームは別記事で考えることとしたい)

次に安定的な収入確保という観点では、6次産業化は避けて通れないだろうと思う。あるいはフードロス等の社会課題に紐づけた出口戦略も考えられる。
できれば農業を始める前にきちんと戦略を練ってからスタートしたいところ。(これも大きなテーマなので別記事にしたい)

最後に農業を軸としたライフプラン設計については、矛盾するようではあるが、農業に頼らないポートフォリオ設計が必須ではないか。
日本はいつ、どこで自然災害が起きてもおかしくない。異常気象も近年は多く見られる。
農作物が育たず出荷できない事態に備え、別の収入減を確保することも必要であろう。
それは農作物販売に関するECサイトのようなプラットフォームを持つことでも良いし、全く別業種でも良い。

少し話はそれるが、かつてかまぼこ屋が事業の多角化としてパチンコ店を経営していたことがあるという。
さすがにかまぼこ屋とパチンコ店では事業のシナジー効果は期待できないかもしれないが、多角化によるリスク分散という観点では、全然アリだろうと思う。

逆説的ではあるが、農業に頼らない収入源を確保することが、結果的に農業を軸としたライフプラン設計につながると考える。

文責:株式会社おだわらコンサルティング

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