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ひそひそ昔話

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20歳前後までの忘れ去られた記憶を手繰り寄せて、話します。恥ずかしいので、ひそひそ喋るから耳を近づけて読んであげてください。
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#おばあちゃん

ひそひそ昔話-その6 不必要に死の影を背負うということ-

正月、ばあちゃんを墓参りに連れて行った。その前の夜、街で同級生と昔話に花を咲かせているとき、親父から電話があった。「明日、ばあちゃんを墓参りに連れて行ってくれ」と。特に用事もなかったので二つ返事で了承した。ばあちゃんは足腰が悪く、もうこういう親戚一同が会する正月の時くらいしか墓参りに行けないのだ。 ばあちゃんの家から少し歩いた先に墓地がある。僕は、車道側に立ち、ばあちゃんの隣で一歩ずつゆっくりと歩いた。そしてその一方で14才の愛犬を散歩させている。時折、名前の知らない近所の人