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ひそひそ昔話

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20歳前後までの忘れ去られた記憶を手繰り寄せて、話します。恥ずかしいので、ひそひそ喋るから耳を近づけて読んであげてください。
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#毎日更新

ひそひそ昔話-その5 さくら「なんとかなるよ、ぜったい大丈夫だよ」大人になった俺「…まじで?」-

あれは確かとても幼い頃、君は母のコンパクトチークをこっそり風呂場に持ちだして呪文を呟いたことがあるね? 「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン」などと。もちろん、そんな呪文を呟いたところで何者にも変身しなかったし、姉に目撃されてその後ずっと弄られたりもしたもんだ。  だが、あの時の少年よ。その後も凝りもせず、君は、姉の本棚からセーラームーンのコミックを失敬して、ちょっとドキドキしてたりもしていたろう? 中学生のお姉さんが、可憐にクールに変身する様子にきっと頬を赤らめてたろう?

ひそひそ昔話-その4 私を傷つけ続ける大人たち。永遠という、まんざらでもない表情で寄り添ってくる3つの顔-

乾いた泥を掴むと、ぽろぽろと崩れて地面に落ちる。どんな状態にも、どんな空間にもフィットするほどなめらかな身体を持っていたはずなのに、太陽のもとに晒されると脆くなってしまう。  私にとって怒りという感情はそういう具合に、時間が経てば経つほど無意味で無価値で、誰からも無関心であるみたいに、やがて心の片隅に掃きだめを作る。  私も忘れよう忘れよう、と何度も思うのだが、そういう怒りは、どうしようもないくらいに心の片隅で疲れ果てた姿で居座る。で、ことあるごとにその存在が引っかかってしま