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ひそひそ昔話

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20歳前後までの忘れ去られた記憶を手繰り寄せて、話します。恥ずかしいので、ひそひそ喋るから耳を近づけて読んであげてください。
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#毎日note

ひそひそ昔話-その2 お父さん、お父さん、あれが見えないの?ゴリラの幽霊が!息子よ、確かに見たよ 白い服の女の人を-

 実家の隣は駐車場だった。でも実家の壁のペンキが色あせておらず、庭の芝生も生き生きとしていた四半世紀前の新築時は、墓地だった気がする。だからじゃないけれど、私の家にも幽霊が出た。らしい。私の家族はみんなで心霊番組を見ることが家族団らんのひとつのかたちだった。所さんだか嵐だかタモリだかの番組の、心霊写真を紹介するコーナーで、毛むくじゃらのゴリラの幽霊だかが紹介されて、それがなんだかとても怖くて、脳裏にこびり付いて離れなかった。  暗い廊下の突き当りにトイレがあって、幼い私にと

ひそひそ昔話-その1 やれやれ。いい加減な男がどうして花促進委員長までやれたんだろう? さて、僕は事実にどう向き合ったか?-

 僕は、あの頃、花いっぱい促進委員会(ふざけた名前だ)の全校の委員長をしていた。校内の花壇を管理し、土を耕し、植物を植え、花で学校生活を彩る。それぞれのクラスの前には、花壇があって、各クラスの委員が管理する。一人一役、何か委員をしなければならない面倒くさいルールの中、やれやれ、こんないい加減な男がどうして委員長までやれたんだろう?  で、僕はクラスの花壇でトマトやらスイカやらキュウリやらを栽培していた(花ちゃうやんけ)。  そんで、その開墾時、花壇を耕していると、土の中か