ひそひそ昔話 -その8 ふと、見上げた夜空の星たちの光-
全国大会、舞台袖。
誰も彼も妙に落ち着かないそぶり。
指を開いたり閉じたり、肩を回したり、首を回したり、深呼吸を繰り返してそのそぶりを誤魔化してみたり。
身体がこわばっては出る声も出ないし、伸びる音も伸びていかない。我々は客席の一番向こう、非常口の誘導灯の下で腕を組んで立ち見をしている人の心にまで、曲の想いを届けなければならないのだ。
そっと後ろから手が伸びてきて、僕の肩をほぐし始める。みんな緊張している。僕は仲間の手のぬくもりを肩に感じながら、夏の終わりに両親に買ってもらっ