マガジンのカバー画像

ひそひそ昔話

15
20歳前後までの忘れ去られた記憶を手繰り寄せて、話します。恥ずかしいので、ひそひそ喋るから耳を近づけて読んであげてください。
運営しているクリエイター

#恥ずかしい

ひそひそ昔話-その5 さくら「なんとかなるよ、ぜったい大丈夫だよ」大人になった俺「…まじで?」-

あれは確かとても幼い頃、君は母のコンパクトチークをこっそり風呂場に持ちだして呪文を呟いたことがあるね? 「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン」などと。もちろん、そんな呪文を呟いたところで何者にも変身しなかったし、姉に目撃されてその後ずっと弄られたりもしたもんだ。  だが、あの時の少年よ。その後も凝りもせず、君は、姉の本棚からセーラームーンのコミックを失敬して、ちょっとドキドキしてたりもしていたろう? 中学生のお姉さんが、可憐にクールに変身する様子にきっと頬を赤らめてたろう?