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ひそひそ昔話

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20歳前後までの忘れ去られた記憶を手繰り寄せて、話します。恥ずかしいので、ひそひそ喋るから耳を近づけて読んであげてください。
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ひそひそ昔話 -その3 風をきって きって 風をきってゆくよ。またしても破れかぶれな夕陽の疾走 -

高校生の僕は自転車を漕いでいた。パーカーにジーンズの簡単な恰好。簡単とは言っても安くはない。ジーンズなんか1万はする高価なやつだ。そよいでいた風を置き去りにするようにギアを上げ、加速した。この自転車も安くない。ガチャリンコ。二重鍵。中学に入学して、自転車登校が許可されたときに、じいちゃんが買ってくれた。6万する。  大きな川が、夕陽を反射してキラキラと輝いている。堤防沿いの、色を失い、生命の灯を失いつつある植物が、夕陽色に強制的に染め上げられていた。  僕はテレビゲームが