【見学会のお知らせ】諏訪湖周辺の史跡・文化財と霧ケ烽の夏の花をたずねて

諏訪大社上社・神長官守矢資料館・湖上の浮き城『高島城』・霧ケ烽高原の夏の花・霧ケ烽自然保護センター

諏訪大社上社本宮

1.諏訪大社に遺る古代信仰の残映


 縄文・弥生時代の狩猟中心の採集経済が、やがて大規模な水田稲作時代を経て、次には仏教の渡来による殺生戒の普及など、このように日本人の信仰にも大きな変転がつづいてきました。久しい間日本人は四足獣を狩ることも食用にすることがなかったのもその一例です。ところか諏訪信仰圏に於いては、諏訪神社は狩猟時代には縄文時代以来の狩猟神、農耕時代になると農耕神の神格を発揮し、武家社会には軍神として尊崇されてきました。その結果諏訪大社は全国に一万社をこえる分社をかぞえ、その総本社として知られています。
 たとえば中世四足獣を捕殺せざるを得ない地域やその社会では、諏訪大社の発行する神札『鹿食免』(かじきめん)を所持することによって、その殺生戒を避けることが可能とされていました。猟師たちが捕獲した鹿や猪を解体する際に唱えた呪文は「業尽有情 雖放不生 故宿人天 同証仏果」(安居院『神道集』など)などで、意味は「畜生は野山で死んでは再び畜生に生まれるのが輪廻というものだが、ただし畜生でも野たれ死にではなく人間の役にたって死んだときには、輪廻を外れて人間に転生できる」というものです。

2.獣を狩る信仰の数々を観る『神長官守矢資料館』


 諏訪大社は古くから神道としては諏訪氏や守矢氏が宮司をつとめ、仏教としては近くの法華寺や仏法紹隆寺が別当寺として存在していました。神社には祭神のほかに本地仏が祀られ、これに奉仕する僧侶は別当、それが常駐する寺院を別当寺と言うわけです。
 このうち守矢家は古くは諏訪大社の宮司職にあって中世以来の古文書を多く伝えているかたわら、動物の供犠の古態を剥製によって再現するなど、古代信仰の解説のコーナーは特に注意されます。現在でも諏訪大社本宮から前宮に神霊が渡御する「御頭祭」には、鹿の頭や生きた雉子が神前に奉納されています。以前は伊那谷など信仰圏の隅々の村から鹿の頭は送り継ぎに寄進され、毎年75頭の頭部が神前に並んだと言います。

諏訪原城天守閣

3.諏訪湖の浮き城『高島城』へ


 秀吉の小田原北条氏征伐の後、諏訪地方を久しく領有してきた諏訪氏に代わって、秀吉の武将の日根野高弘がこの地に2万8千石で入部してきました。そして湖上の小島に築城し慶長3年に完成したのがこの高島城です。城の石垣を諏訪湖の波が洗い、湖上の浮き城として特異な城郭景観を見せています。
 城の構成は本丸に天守閣と藩主居館を置き、二の丸に米蔵、金蔵、藩校、馬場があり、三の丸には勘定所や家老屋敷などが配置されていました。そのうち天守閣の屋根が瓦でなくこけら葺きだったのも人目を惹きました。
 現在は復興天守閣のほか本丸石垣や内堀がよく残り、大手門前のケヤキの老樹の並木も風情をとどめています。しかし二の丸、三の丸の範囲はすでに市街地に変化しています。

4.霧ケ峰高原に夏の花を訪ねる 霧ケ峰自然保護センターへ


 高原の一画の強清水は中腹から吹き上げる風か集合するので、そのためグライダーの練習地として知られてきました。その一画に初秋には一面に開花するマッムシソウを歌ったあららぎ派の歌人長塚節の歌碑があります。

うれしくもわけこしものか遥々に松虫草のさきつづく山  節 (岡麓書)

 明治38年、諏訪湖をみおろす島木赤彦家を訪れた長塚節は、それよりつれたって霧ケ峰に登ってきました。だから遥々となのです。加えてこの一首を揮毫した岡麓と、あららぎ派の三人の交流の姿が追想されます。今回はマッムシソウの花にはまだ早そうですが、霧ヶ峰自然保護センターとその周辺で、ハクサンフウロ・イプキトラノオ。シシウドなど
高原の夏の花を訪ねることにしました。

(田代道彌)
小田原の城と緑を考える会発行 城と緑通信No.148 令和6年6月10日

日時:令和6年7月21日(日)小雨催行
※予定日7月28日(日)期日変更をしています。
集合:小田原駅西口早雲公像前午前7時受付開始 同7時30分出発
バス:終日専用パス。バス事業法の改正により制約が加わりご高承ください。
参加費:会員10000円(一般11000円)当日受付で収受。
バス借上料、道路通行料、駐車場使用料、施設見学料、資料制作費、傷害保険料、その他を含む。昼食は車内につき各自ご用意下さい。

行程:
小田原駅西口→(東名高速)→御殿場→(中央高速)→諏訪市→神長官守矢資料館《見学》→諏訪大社上社《参拝・見学》→昼食(バス車内)→霧ケ峰強清水・霧ケ峰自然保護センター・同付属観察苑地《見学》→諏訪湖
→湖上の浮き城『高島城』(帰路、往路に同)小田原帰着午後7時頃。

案内:田代道彌・石井正義ほか会員有志
持ち物:筆記用具、弁当、雨具、ストックなど。
※お申し込み順に受け付け、定員に達すると締切となりますのでお早めに。
お申し込み:ハガキ、Fax、メールその他で氏名、年齢(保険用)、住所、電話番号をお一人ずつ明記して下記にお申し込み下さい。満席の場合のみ、状況を連絡申し上げます。それがない時は当会がお受けしたものとされて、当日定刻にご集合下さい。

小田原の城と緑を考える会事務局 守屋幸子
〒250ー0042小田原市荻窪531ー8
Fax:0465ー35ー2266
メール:odawarano46to3dori@gmail.com

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