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【セルフライナーノーツ】巡り廻る

ここ数日は制作や編集に明け暮れてました。
自分たちの楽曲のリリース準備もあったり、
このタイミングでお仕事をいただけたり。

改めて音楽が、お仕事が出来ることを尊く感じてます。
今日も安全対策とりながら、撮影とライブ配信。
そんなこんなで現在、だいぶポンコツです。笑

それでは書きましょう。
万貴音の2ndフルアルバム「Smile Co.」の9曲目になる、
「巡り廻る」。

サブスク登録してない方はこちらからサンプルを、
登録してる方は是非しっかり聴いていただけると嬉しいです。
CD買って聴いて下さってる方も、ありがとうございます。


・本人から直接話を聞いて作ったウェディングソング。

初出は2017年7月。
とあるご紹介で、ウェディングソングを作らせていただきました。
新郎新婦のお二方とお会いして、直接お話を聞かせてもらい、
それを元に、楽曲制作をするという初めての制作。

お二方の生い立ちから始まり、出会いから結婚までのエピソード、
どんな家庭を作っていきたいか、などなどかなりたくさん。
インタビューとか取材とかな雰囲気ではなくて、
ゆっくり顔を突き合わせて、お話をさせてもらいました。

お話で過去の出来事やバックグラウンドは分かるけど、
それだけでOKなわけではなくて。
直接会って話すことで、どんな雰囲気の人なのか、
お二人の距離感のようなもの、あと音楽の好みとかも。

全部を詰め込むと、ウェディングソングというよりは
歴史の歌になってしまうので、取捨選択はしつつ、笑
より大事にしている部分や、印象的な部分を抽出して、
言葉にして、雰囲気や好みを音にする。


・最もパーソナルにチューニングされた歌。

これまでも何曲かウェディングソングを書いてきましたが、
ファンやオーディエンスの方は、それをどう受け取るのか。

未婚の方は「結婚したくなる」かもしれないし(そうだと嬉しい)、
既婚の方は「こういう気持ちだったなあ」かもしれないし、
もしくは「愛って(人って)素敵だなあ」かもしれない。

いずれにしろ、勿論好意的に受け取ってもらえると嬉しいんですが、
「巡り廻る」については、新郎新婦ご本人のために作られ、
歌われる曲です。スーパーニッチ!

だがしかし、本人だけが喜んでくれればいいのかというと、
それも違います。この曲でご本人が喜んでくれるのはもちろん、
そのご家族、ご友人など、繋がっている人だったり、
「この二人、素敵だなあ」って周りに再認識してもらえるように、
という願いもたくさん込める。

人が人であるためには、周りに人がいてこそ、だもんね。


・音の特徴。

イントロとアウトロはアコギをバックにしたボーカル。
Aメロで始まり、Aメロで終わるパターン。結構好きでやります。

ピアノやストリングス、コーラス隊(クワイア的な?)は
アレンジで外せないとこなんですが、
ひたすら優しい音作りではなくて、ディストーションギターが
3本ほど入ってます。これがこの曲の音作りの肝になった。

ピアノやギター類は、拍ごとにオクターブを上下するような
アルペジオ(分散和音)が随所に出てきます。
これは「時計の針の音」のイメージなんですね。
カチコチと針が音を立てて、日々を重ね、二人が出会い、
共に歩いていく、というイメージで。
他の楽曲でもこういうアルペジオはよく使うんですけど、
この曲についてはそういう解釈。

それからコーラス隊。(クワイアは「聖歌隊」といった意味です。)
Bメロの前半や大サビ後のCメロ(になるか)に出てきますが、
ソロボーカルとのコール&レスポンスだったり、
主メロとしての扱いだったり。コーラスの役割はとても大きい。

他にも、1サビ後のフィルターのかかったドラムは、
舞台転換的な役割を持たせたかったんですね。
例えば動画が途中で白黒になったりするような、あの感じ。
ストーリーの時間軸の移動だったり、視点の移動だったり、
を音で表現したい時に、よく使うやり方です。
以前の記事で「ストップ&ゴー」で緊張感とスピード感を作る、
みたいなのを書いたと思うんだけど、こういう変化もある。

楽器編成を始め、楽曲進行や音の役割、処理だったり、
この曲は結果として、かなり豪華に仕上がりました。


・その気持ちが永遠になるように。

巡り廻る/万貴音

結婚式(披露宴)で初披露されたこの曲、
冒頭の歌詞はもちろん、「式なう」の時間軸。
アウトロも同じく、「式なう」。…この表現大丈夫か?笑

それに挟まれた歌詞は、「今までのこと」と、「今の想い」。
いわばイントロを抜けると回想シーンに入り、
アウトロで「なう」に戻ってくる、という流れです。

「あの時あそこに行ったよね」みたいな具体的なエピソードは、
この曲ではあえて全く書きませんでした。
そういうエピソードを書くと、曲はよりリアルに(生々しく)
聞こえてくるんだけど、そうしなかったのは、
二人にとって「ずっと先でも聞いてほしい曲」にしたかったから。

「飽きる」なんて言葉、本来はマイナスワードですよね。

結婚して家族になると、特別な瞬間の輝きはもちろんだけど、
それよりずっと多く、何気ない時間や日常を一緒に歩いていく。
おそらく「飽きるほど」それを繰り返す。
眩さだけではなく、平熱の時間の尊さを感じることができたら、
というコンセプトで、言葉を選んでまとめました。

結婚経験のない俺だけど、ちゃんと響いてたらいいなあ。。笑


・影響を受けた人。

https://www.youtube.com/watch?v=MVVQynaCOYg

新郎新婦、お二人の好きなアーティストの中に、
「BUMP OF CHICKEN」がありました。
まるで絵本を読むような楽曲の多いバンド。
こういう雰囲気にしたいなあ、と思って調べてたら、
(そこまで詳しくはなかったんですよね)この
「魔法の言葉〜君から君へ〜」みたいな雰囲気がすごく良くて。

ギター弾き語りの部分の雰囲気とか、
隣で絵本を読んでくれてるような感じがして、
「ああ、こんな手触りがいいな」って思ったのを覚えてます。

ほんと、素敵な音楽がたくさんあって、幸せだ。


アルバム「Smile Co.」の9曲目「巡り廻る」の
セルフライナーノーツでした。
歌うたびに背筋の伸びる、優しい気持ちになれる曲。
ごく個人向けに作った歌だけど、この曲のファンが多いのが、
「ちゃんといい曲書けたんだな」って思えて感謝してます。


*この記事は「投げ銭制」にしていますが、
「本文」は全文無料で公開しています。
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読んでもらえるだけでも、心から感謝です。


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