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【チェンソーマン第二部】「デンジくんはね…そんなことしないんだよ」デンジは「デンジ」なのか問題について。1

デンジくんはね 「猫もいたよ」なんて言わないし
ケーキを素手でたべないし
やること全部がめちゃくちゃでなきゃいけないの
それなのに……

どうもこんにちは。頭がマキマになった読者、アタマキマです。
チェンソーマン第二部最高!
チェンソーマン!!チェンソーマン!!チェンソーマン!!チェンソーマン!!

さて、わたくしアタマキマには、第二部にはとんでもない問題があると思っています。それは、

デンジは第一部の「デンジ」なのか?

という問題です。
アタマキマの結論から述べます。

悪魔は第一部で死んでも第二部で蘇るんじゃ
。その時はデンジは「デンジ」じゃなくなっとるがのお。
読者。デンジを見つけに行け。
見つけてどうにか仲良くなってデンジをまた「デンジ」に戻してくれ
そうすればまた「デンジ」になれるじゃろ?

よーするに、第二部のデンジは、第一部の「デンジ」ではない!! というヨミです。

嘘つけ! あのモテたい欲求にまみれたキャラクターはどう見てもデンジそのものだろ! いい加減にしろ。これだからチェンソー信者は…。

という反論が聞こえてきます。
これだけだとただのマキマ厄介なファンなので、根拠を示します。

根拠①第一部の「デンジ」の経験から見る、第二部でのデンジの行動の不自然さ
根拠②作品内に同一人物であり同じキャラクターでありながら「別人」となった事例がある

長くなるので今回は①について述べます。②と予想される反論については次回述べます。

根拠①第一部の「デンジ」の経験から見る、第二部でのデンジの行動の不自然さ

第二部でのデンジの不自然な行動をまとめます。
⑴人間をあっさり見捨て、猫を助ける。
⑵ケーキを素手で食べる
⑶金でイスになる

まず、⑴について。

この行動の肯定派の意見として、「デビルハンターでの経験が生きている。デビルハンターとして成長している」というものがあります。例えば、アキ(銃の悪魔)との戦闘で、真っ先に悪魔を討伐することが、結果として人の命を救うということを学んだ、という見解です。要するに、人質に取られた人間を救わずに、ゴキブリの悪魔の殺害を優先することが、大多数の人命救助に寄与しているということです。
しかし、「デンジ」は68話で、

無理無理無理!! 人殺しになりたかねーよ!!

藤本タツキ「チェンソーマン」8、集英社

と(人形化した)人を殺すことに強い抵抗感を抱いています。また、80話では、銃の悪魔と化したアキを殺した後に、このように吐露します。

アキを止めなきゃ100人くらい死にそうだったから(アキを)殺したけど……頭冷やしてよくよく考えればもっといい方法があったかも知れない

藤本タツキ「チェンソーマン」10、集英社

アキという人間を(悪魔になっていにもかかわらず)殺したことを悔いています。
このことから、人間を助けるそぶりを全く見せずにゴキブリの悪魔を殺したデンジは、「デンジ」がデビルハンターとして成長しているというより、第一部での「人間を殺したくない」という経験や「人間を殺した後悔」が、すっぽり抜けているというように見えるのです。
経験したことを忘れている、または全く抜けているように感じ取れるシーンはまだあります。

⑵ケーキを素手で食べる「デンジ」は、とくに違和感が強いです。

アキと暮らし始めたデンジの食事マナーはひどいものでした。

いちごジャム梅ジャムオレンジジャムにぃ〜……バターと蜂蜜ぅ〜あと…シナモンもかけちゃお
最強のパンができちまったぜ〜
うまっ!

藤本タツキ「チェンソーマン」1、集英社

何本ものスプーンを無駄に使用して、机の上をぐちゃぐちゃに汚して、パンを頬張っていました。
しかし、アキとの生活を経てからのデンジの食事の描写は明らかに変化しています。デンジの食事するシーンは、21話、38話、71話などがありますが、いずれも箸やスプーンを使っていました。
またパワーは苦手な野菜を食べずに投げる癖がありましたが、アキとの生活の中でそれが治りました。(72話)
このことから、アキとの共同生活において、マナーを学んでいたことは明らかです。
ゆえに第二部での、手づかみのケーキ喰いは、明らかに不自然で、まるでアキとの生活の経験がすっぱり抜けてしまっているかのようです。

⑶イスの描写について

デンジは10分10円で女子のイスになっています。ここに二つの違和感があります。一つ目は、「デンジの」幸せレベルは既に上がっているため、イスになってまで10円を欲しがるのか? ということ。二つ目は、「デンジ」は女子に触られるだけで惚れるのに、座られても平気なのか? ということ。
1話で「デンジ」はお金のためならなんでもするという姿勢を見せています。

おい!犬!このタバコを食ったら100円やるよ!
マジっすか!? いただきます!
ゴクン!(中略)
べっ

藤本タツキ「チェンソーマン」1、集英社

たしかにお金のためにプライドも捨てて、なんでもするように見えますが、最後にはきちんとタバコを「べっ」と吐き出しています。プライドは捨ててないのです。
そして、93話では次のようにデンジは言います。

オレぇ…ホントは……実はホントはああ…
朝…ジャム塗った食パンとかもう飽きてて…!
ホントは毎朝ぁあ
ステーキとかっ食いてえんですっ!

藤本タツキ「チェンソーマン」11、集英社

「デンジ」は人並みの幸せ(それが与えられたものとはいえ)を得て、ある程度贅沢に慣れています。そのため、プライドを捨ててまで、10円という少額のお金を得たいと思うとは考えにくいのです。

「いやいや、女の子に座られるのはむしろご褒美だから。お金の問題じゃないんでしょ。」

という反論もあるでしょう。
ここで問題になるのが、二つ目の話題です。
「デンジ」は女の子に触られるとすぐに好きになります。例えば41話でのレゼとの出会いの場面。

やたら触ってくるし 俺に笑ってくれるし もしかしてこの娘俺のこと好きなんじゃねえ…?

藤本タツキ「チェンソーマン」5、集英社

このようにある意味ウブな、ゆえに「モテ」たがりなデンジが、お尻との接触を意味する「イス」行為に、耐えられるのかは甚だ疑問です。「デンジ」なら「座ってくれるし 俺に10円くれるし もしかしてこの娘俺のこと好きなんじゃねえ…?」と思うのではないでしょうか。
また、吉田から1万円札を受け取ることで、男のイスにもなりました。このシーンは第一部の二つの場面を想起させます。一つ目は54話でアキが「デンジ」に座るシーン。

…俺はイスじゃ、ねえぞ

藤本タツキ「チェンソーマン」7、集英社

もちろんイスであることを否定します。「デンジ」はイスになるほどプライドが低くないのです。
また、1万くれるならなんでもするというシーン。56話。

(野菜を食べたパワーが)もうイヤじゃあ〜 吐くからデンジ食べてぇ〜…(中略)
え〜ヤダ…もうゲロは食いたかねえ…
うう…綺麗に吐くからぁ〜……(中略)
1万貰えるならゲロ食うぜ
食べてる時にゲロの話するなよ

藤本タツキ「チェンソーマン」7、集英社

「デンジ」は1万円もらえればゲロも食うプライドもクソもない男です。しかしここでポイントなのは、ゲロの吐き手が女性であるということです。「デンジ」はかつて姫野先輩のゲロを食べました。この場面ではパワーです。このことから、おそらく野郎のゲロは食わないだろうと推察されます。このことをイスに代入すると、たとえ1万貰っても「野郎のイスにはならねえ!」と言うプライドくらいは「デンジ」は持っていそうなものですが……。
とにかく、お金のない公安デビルハンター以前のデンジであれば10円でイスにもなったかも分かりませんが、第一部での経験を通したデンジが、お金を得るためにプライドを捨ててまで野郎のイスになったり、逆に女の子のおしりに触れ合ったりできるとは考えにくいのです。

①のまとめ

さてここまで、第一部の「デンジ」の経験(描写)から見る、第二部でのデンジの行動の不自然さを指摘してきました。

それは、まるで第一部の経験をすっぽり抜け落としてるかのような不自然さでした。

ではなぜデンジは不自然な行動をとるのでしょうか? 記憶喪失? はたまたなにかトリックがあるのか? それともアタマキマ読者の深読みなのか…?
わたくしはそのヒントを、根拠②作品内に同一人物であり同じキャラクターでありながら「別人」となった事例があるから得たいと思います。
また、「人を食べたことがある」という描写に関して、第一部のことを連想させる台詞がありました。そらに関連して、予想されるわたくしへの反論も大いにありますので、それについても次回検討します。
それらは、時間がある時に次の記事で書きたいと思います。
それでは。

おまけ

また、デンジの描写にここまで不自然さが(アタマキマ読者にとっては)あるのに、ジャンプ+のコメント欄では「デンジそのものだ!」という声が大多数です。ここに、第二部の面白さがあるとわたくしは考えます。
第二部で見られる「チェンソーマン信者」という単語、これは実は、チェンソーマンの漫画に描いてあることを疑わないで享受する読み方そのものを指摘したワードなのではないでしょうか。具体的には、第二部のデンジを第一部の「デンジ」と、デンジの発言の通りに信じ込む読み方です。
デンジの発言を真に受ければ第二部デンジ=第一部「デンジ」=チェンソーマンですが…もしかしたら、ここに物語上の大きなどんでん返しがあるのでは…などとアタマがマキマとなったわたくしは邪推しています。常に予想を超えてきたチェンソーマンだからこそ、このように妄想してしまいますね。
第二部これまでデンジがチェンソーマンであるという確実な描写はまだ無いのです。このあたり、今後の展開に期待しています。


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