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復帰プログラム 20

運動会の総練習が、急遽延期となった朝だった。1時間目と2時間目の時間の使い方が急に重要な問題となったが、あらかじめ準備がされていたおかげで、大きな混乱もなく授業へと進むことができた。
少し気になることがあった。朝の健康観察の時間、児童たちはいつものように「元気です」「怪我です」と返事をしていた。
もし、ある児童が毎回のように「元気ではありません」と答えるたびに、周囲の子どもたちがどのような反応を示すのであろう。これは、その児童のプライバシーの問題でもあり、注意深く見守るべきことだと思った。

「クラスの雰囲気が良ければ、きっと児童たちも自分の体調や気分を安心して話せるはずだ」と自分に言い聞かせる。もし、児童が「今日は体調が悪いから、様子を見て」と言えるような環境を作れたなら、その子もきっと自信を持って自己表現ができるだろう。そうした安心感は、学級経営の根本にあるものだと感じた。

4年生の書写の授業では、児童たちが筆を使って「竹笛」という字を練習していた。授業の最初に、筆の正しい持ち方や基本技術の確認から始めた。筆を立てて使うことが特に大切で、児童たちは姿勢を正し、線の強弱を意識しながら書くことに挑んでいた。とはいえ、書くことが苦手な児童もいた。1枚書いただけで、もう終わろうとするその児童に、私はそっと手を添えて、ゆっくりと一筆一筆を書かせるようにした。2回目は、近くで声をかけ、手本を見せながら進めたところ、少しずつ彼も丁寧に書けるようになった。

一方で、「竹」の字のバランスを取るのが難しい児童も多かった。特に1画目と4画目の大きさのバランスが崩れてしまうことが目立っていた。私はこの点を指摘し、画を払うときの力加減にも注意するように促した。結果として、バランスの取れた文字を書くことができる児童が増えた。

4年生の体育の時間、運動会に向けた並び方の練習が始まる予定だったが、授業の前に体育館を掃除をしたいという児童が多かったため、まずは掃除からスタートした。並び方の練習に移ったとき、児童たちはどのように並ぶのか混乱している様子だった。担任の先生は指示を出していたが、どうもその指示が完全に伝わっていないようだった。これは単に「児童が聞いていない」という問題ではないかもしれない。「担任の指示がわかりにくかった」という点も考えられるだろう。ホワイトボードに並び方や次の行動を書くことで、視覚的な支援を提供できれば、混乱を減らせるのではないかと思った。

特別支援学級の算数の時間では、「角度の大きさ」と「分度器の使い方」についての学習が行われた。児童たちは角度についての基本的な理解はできていたが、分度器の使い方でつまずく子が数人いた。特に、メモリにどのように印をつけるのかがわからない児童がいたため、私はその児童にメモリの上に鉛筆を置き、そこから線を引く方法を教えた。こうして基本的な使い方を丁寧に教えることで、徐々に児童たちは分度器を正しく使いこなせるようになっていった。三角形を描く課題は、最初は苦戦していたものの、2回目にはスムーズに三角形を描けるようになっていた。その成長を見て、繰り返しの練習がどれほど効果的かを改めて感じることができた。

4年生の算数では、「商がたつ位を決める」プロセスを確認することがテーマだった。「わる数の見当をつける」「たてる」「かける」「ひく」「おろす」という一連の流れを2度にわたり確認し、児童たちは徐々にその流れに慣れてきていた。しかし、いくつかの児童は、商を立てる部分でつまずいていた。私はその児童に、横に割り算の式を書いて、大まかな答えを予測する方法を提案し、少しずつサポートしながら解けるように促した。

一部の児童には九九や引き算のミスも見られたが、これは繰り返しの練習で少しずつ解決していけるだろう。さらに、ノートの作り方についても問題があった。式やひっ算、確かめ算がバラバラに書かれている児童が何人かいたため、ノートの整理方法についても指導の必要があると感じた。ノートを整然と作り、自分で整理する力を育てることが、今後の課題となるだろう。

3年生の国語では、「ちいちゃんのかげおくり」という教材を使い、「いつどこで何があったか」をまとめる活動を行った。文章量が多く、特に2段落目で児童たちは手一杯になり、どこをどうまとめればよいのか迷っていた。私は一緒に文章を読み進めながら、どの部分をまとめるべきかを一つひとつ明確にしていった。重要なポイントが後半に集中しているため、段落を分けて発表させるか、もしくは文章に線を引くだけでも、理解が深まるだろうと考えた。次回は、もっと効果的に文章を分けて理解させる方法を工夫し、児童たちがスムーズに学習できるよう支援していくつもりだ。

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