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復帰プログラム 21

運動会の総練習が始まった。青空の下、子どもたちは整然と並び、それぞれの役割に従って動いていた。放送の声が響く中、会場全体に指示が伝わっているかのように見えたが、テント内に入ると、状況は一変していた。雑多な会話が飛び交い、放送の声が次第にかき消されていく。突然、子どもたちが拍手のタイミングを逃した。それは「拍手してください」という放送がテント内で届いていなかったためだった。

その後、リーダーを務める6年生の児童たちの動きが目に入る。彼らは自らの役割を理解し、放送が届かない中でも、自発的にクラスをまとめ上げていた。

しかし、リーダーだけが全てを背負うべきではない。クラスの中には、他の子どもたちもリーダーシップを発揮できる機会があるはずだ。担任が一方的に指示を出すのではなく、普段から子どもたち自身が状況を見極め、自然に行動を取れるように育てることが大切だ。運動会は、その力を試す最高の舞台なのだ。

一方、運動会の係活動では、各係がテキパキと動いていた。しかし、中にはうまく連携が取れていない場面も見受けられた。「後日、シミュレーション練習をする時間を作れば、もっとスムーズにいくかもしれない」と、係のリーダーが声を落としてつぶやいた。

開閉会式のリハーサルはまだ行われていなかった。総練習の日、急遽エール交換の変更が告げられ、対応に時間がかかってしまった。「事前に1時間でもリハーサルしておけば…」と、考えていた。事前の準備があれば、当日の流れはずっとスムーズだったに違いない。

次は特別支援学級だ。今日の生活単元で行われたのは、白玉団子作りだった。粘土遊びに似た作業で、子どもたちは目を輝かせ、手を動かしていた。グループのリーダーが自然と役割分担を行い、スムーズに協力している姿は微笑ましかった。作業の合間には、互いにサポートし合いながら、団子を一つひとつ丁寧に作り上げていく。火を通す作業にも入念な配慮がされ、衛生面も完璧だった。

次に訪れたのは3年生の国語の授業だ。「ちいちゃんのかげおくり」の4場面と5場面についての違いを問いかけたとき、子どもたちは最初、ただ「同じ文章がない」とだけ答えた。しかし、「街がどうなったのか」と質問を具体的に変えると、少しずつ口を開く子が出始めた。「そうだね、街は変わったね」と教師が応じるたびに、教室の空気が落ち着きを取り戻していった。教師の返答に対し、子どもたちは互いに顔を見つめ、話し合いの中で新たな発見をしていく。

4年生の算数の授業でも、子どもたちのつぶやきが聞こえてきた。「できない」「おかしい」。それは、商が大きすぎて計算が進まないことに気づいた瞬間だった。教師が商を小さくする方法を示すと、子どもたちの表情は次第に明るくなっていった。ペア学習の中で、互いに助け合いながら問題を解く姿が見られた。「やりきった」という満足感を持って、授業の終わりを迎えたのは、問題数を適切に調整した結果だったのだ。

一つひとつの活動の中で、子どもたちは成長していた。それは、彼らが自ら考え、行動し、周囲と協力しながら進めた結果であり、大人たちはその成長をそっと見守っていた。運動会も、授業も、全てが彼らの学びの場となり、今日もまた新しい一歩を踏み出したのだった。

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