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復帰プログラム 17

朝の会が始まると、教室には静かな緊張感が漂っていた。先生は、今日一日の予定を黒板に書きながら、一つひとつ丁寧に確認していく。その説明を聞きながら、子どもたちはそれぞれの机で準備に取りかかっていた。先生は、できるだけ具体的に話し、何を準備し、何を持っていくべきかを繰り返し伝える。子どもたちが焦らず、落ち着いて一日をスタートできるようにとの配慮が込められていた。

社会科の授業では、子どもたちに「ホームページの内容を固定し、その中から必要な情報をノートにまとめてください」と指示を出した。しかし、子どもたちの表情には戸惑いが見える。ホームページの文章が長すぎて、何を重要と捉えるべきかが分からないのだ。短い調べる時間と広い範囲に及ぶ地域の情報も、彼らの頭を混乱させていた。私は机間を巡視しながら、まとめが上手くできたところに丸をつけたり、赤線を引いたりして、少しでも彼らが安心して発表できるように工夫を凝らしたいと考えた。

中には「もっと調べたい」と積極的な子どももいた。私は、その子どもに「自主学習で続けて調べてごらん」と優しく促した。授業の最後には前時のまとめをプレゼンテーションで提示したが、結果的に言葉だけの説明に偏ってしまい、ビジュアル的な要素が欠けていたことが反省点だった。今後、子どもたちが資料やホームページから必要な情報を素早く見つけ、ノートに端的にまとめる力を養っていく必要があると私は強く感じた。さらに、地方の伝統や文化に興味を引き出し、街づくりや後継者問題などに関心を向け、人々の思いを理解する力を育てていくことも重要だと思った。

次の算数の授業では、割り算の復習が行われた。私は、課題への導入がやや強引だったことを自覚しつつも、子どもたちが「え?」「できない」「難しい」と感じた瞬間を問題提起のチャンスとして捉え、課題に結びつけていく姿勢で授業を進めた。60÷5の問題では、ある子どもが分配法則を使って答えを導き、学習が定着していることが確認できた。その後、割り算の筆算の方法も復習し、基礎力がしっかりしていることを実感した。

授業が進む中で、ある子どもは言葉で、別の子どもは十玉を使って問題に取り組んだ。考える時間が来ると、できた子どもたちがペアやトリオで考えを共有し、活発な意見交換が行われた。しかし、考えをノートにまとめられなかった子どもがいたことに後から気づき、今後、支援員と連携しながら、全員がしっかりとノートに書き込めるよう工夫が必要だと感じた。

特別支援学級では、私は3年生の算数プリントの学習をサポートしていた。子どもたちは答え合わせをしながら、私が一つひとつ丁寧に丸つけや理由の確認を行っていたが、その間、私には緊張感が漂っていた。特に待機中や作業中、どのように動けば良いのか分からず、戸惑った。廊下でのサポートであるからこそ、私が一つひとつ確認しながら対応できたため、子どもたちは徐々に自信を持って取り組めるようになっていった。支援員の協力もあり、少しずつだが、確かな支援の成果が感じられた。

国語の授業では、「ちいちゃんのかげおくり」の物語の中から1場面と4場面の違いを確認する活動が行われたが、子どもたちはどこに注目すべきか戸惑っていた。「何をすればいいんだろう?」と不安げな表情を浮かべている子どもも少なくなかった。今後、授業の始めに学習計画を一緒に確認し、安心して取り組めるよう配慮することが課題だと私は感じた。また、登場人物の行動の違いなど、具体的な視点を与えることで、子どもたちが理解しやすい形にしていく必要があると考えた。

授業が終わり、ふと子どもたちの机の中を覗くと、教科書やノート、折り紙、保護者からの手紙などが雑然と詰め込まれていた。鉛筆も筆箱に戻されることなく、机の中で転がっている。その光景を見て、私は「これを整理するのは簡単なことではないな」と心の中でつぶやいた。しかし、すぐに解決はできなくとも、クリアファイルを使って手紙や折り紙を整理する習慣を身につけさせ、少しでも机の中が整頓されるようにしたいと考えた。また、プリントも配布後すぐにノートに貼るように指示し、全員が机を整理できるようにすることが今後の目標だ。

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