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人生に音楽が在るようになった日

まめ電球、雨上がり、日めくりカレンダー、

そして、ビールとプリン。

私の人生は、ビールとプリンで変わった。

***

中高生の頃の私はなぜか浮世離れしていた。
勉強ばかりしていたせいかもしれないし、元々の性格がそうだったのかもしれないけれど、流行りの服にも音楽にもドラマにも全く興味がなかった。

好きな曲はそれなりにあったけれど、別に音楽は私にとって、あってもなくてもどっちでもよかった。
ウォークマンも持っていたけれどどうしても欲しかったわけでもないし、なんかみんな持ってるので、というだけでMDウォークマンを持っていた。携帯の着メロもなんでもよかった。

私が高校生の頃、インディーズバンドブームが来た。
175R、SHAKALABRITS、ガガガSP、ロードオブメジャー。
みんなこぞってバンドを発掘しようとしていた。

私は前述の通り興味はなかったが、ある日クラスメイトが強引に進めてくれた数枚のMDの中に、レミオロメンの「朝顔」というアルバムがまるまる1冊入ったものがあった。

1曲目から、なんだか不思議な曲で、どんどん引き込まれていく。
次はどんどん明るい方向に向かっていくような気持ちのいい曲。
3曲目はあんまり好きじゃないかも?

そして、4曲目で人生が変わる。

初めて、景色が見える曲を聞いた。
こんな曲がこの世にあるんだと心の底から思った。
曲に色が見えて、切ないとも苦しいとも綺麗だともなんとも言えない感情が心の中に渦巻いた。
私の中でいまだに「ビールとプリン」は空がオレンジ色から濃紺に変わる、そんな曲だ。

人生が変わった瞬間、と言われると私はいまだに「ビールとプリンを聞いた瞬間」とずっといっている。(就活の時のエントリーシートにも書いた)

一晩で人生が変わった!とか劇的なものじゃない。
ただ間違いなく私が音楽にどハマりして、Nomusicnolifeになり、フェスやライブにいくようになるきっかけだった。
当然、すぐに朝顔はアルバムをかったし、何千回と聞いた。
アルバムの順番も全部覚えていて、私の中でレミオロメンの曲には全てアルバムの番号がふられている。

***

1曲目:ビールとプリン(レミオロメン)

ということで好きな曲の一曲目は間違いなくこれ。
最初に聞いた瞬間に持っていかれて、そして歌詞にもやられた。

「旅立つ日が来るならば せめてこの時間よ 止まれとは言わないよ ゆっくり進め」

なんていうか、奥ゆかしいというか、むしろ優柔不断だなあというか、男の人っぽいなあと思う。
でもなんかその時は高校生なのでここまで言語化できなくて、なんか切なくて可愛らしくて、でも苦しいなと思った。

あと、「コンビニまで駆ける」が、「駆ける」を選ぶんだあと思った。
走る、でも向かう、でも文字数は合うけど、「駆ける」を聞くと「駆ける」しかないように思う。
純文学みたいに、一節がその順番でその言葉でしかありえなくできているように、すごく綺麗な言葉が並んだ歌だと思った。

それがまた藤巻さんの声と、音楽にハマっていて、
すごく美しくて切なくて苦しくてそして、濃紺に星が浮かんでいるような、そんな曲です。

2曲目:昭和(レミオロメン)

これも朝顔の曲です。
朝顔に入ってる曲は全部好きなんですが、これは赤紫色の曲。

レミオロメンの曲って個人的にたまに題名がすごいなと思っていて、「昭和」て。「まめ電球」もそうだし「午後の低気圧」とか。

でもこの曲はどう考えても昭和。なんか昭和っぽいから昭和っていう題名だったみたいな話をどこかで読んだ気がするけど、とにかく昭和。

私は英語の曲も、英語と日本語が混ざった曲もなんでも好きですが、朝顔のレミオロメンの曲は日本語が気持ちいいなと思います。
流麗とか清廉とかそんな感じではないけれど、朴訥としていながらも温かみがあって柔らかい日本語、みたいなスッと入ってくる感じがします。

3曲目:日曜日(レミオロメン)

なぜかめっちゃ好きな曲です。

これは3月9日のカップリングだったような。(今ってもうカップリングとかないんですかね・・・)

この曲、すっごい夏の日曜日なんです。
歌詞をふわ〜っとしか聞いてなくても、これを聞くと、子供の頃の夏の日曜日を思い出します。
めちゃくちゃ夏の日曜日なんです。

音が、耳に入ってくる歌詞の断片が、完全に日曜日の夏で。

「ペタリ サンダルの音 鼻歌合わせて歩きましょう」でやられる。

レミオロメンの曲ってとにかく風景が浮かんでくる。考えようとしなくても勝手に景色が、肌触りが流れ込んでくる。


多分誰にとっても私のビールとプリンと同じような曲があるのかなと思います。

そんな曲と出会えて私は本当に良かったなと思う。
そして、そんな曲を作り出せる人を心の底から尊敬する。

音楽があってもなくても、私の人生が向かう先が大きく変わることはなかったかもしれないけれど、
人生に音楽が在るようになって、そこから先の私の人生には、いつも音楽がある。

亡くなった両親を送った時の曲、苦しい失恋をした時の曲、自分を奮い立たせる時に聞いていた曲、北海道のドライブでずっと流していた曲。

曲を聞くと、思い出が溢れてくる。何かを思い出すと、音楽が流れ出す。
それは音楽がない人生よりも、色づいて華やかなように思う。

とっても陳腐な言葉だけど、音楽ってすごい。音楽はすごい。

音楽って本当にすごい!

それを知ることができて本当によかった。





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