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桜紅葉

大好きな君の背中を追うように 自転車を漕いだ
いつもは独りで通る 川沿いの道
今日は目の前に 君がいる
それだけで 景色が違って見えた

自転車を飛ばしながら見た 対岸の桜並木
「桜の葉も紅くなるんだね」
何度も見ていたはずの 桜紅葉が新鮮で
思わず後ろから 声をかけた僕に
ちらりと振り返りながら「ね」とだけ
速度を変えずに漕ぎ続ける 君の頬が
少しだけ上がった

それだけで充分 心は満たされる
満開の美しい薄桃色の花たちには
申し訳ないけれど
肌寒い曇り空の下で見た 桜紅葉が
何倍にも鮮やかに焼き付いた

「忘れないで」の花言葉
心配しないで
君が僕を忘れても この道を通る度に
愛おしい君の背中と 薄桃色の頬と
そして感謝を忘れないから

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