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#0119 釧路・音別の太陽光発電所問題:自然環境と太陽光発電所開発

我がふるさと釧路市で太陽光発電所開発を巡る問題が多発しています。

今朝、北海道新聞電子版を見ていると、釧路市音別町の馬主来(ぱしくる)沼周辺で大規模太陽光発電事業を計画している「Sakura2合同会社」(東京)が、住民説明会を開催したとの記事が掲載されていました。

同社は、保安林内で道に無許可で掘削した問題について、原状回復の予定を説明しました。行政からの指導を受け、計画の進行に向けて住民との対話を進めるとしており、今回の説明会はこの一環のようです。

国道38号線を走ったことがある人はおわかりかもしれませんが、馬主来沼周辺は、走っていて「おー!」と声が出るほど、湿地と湖が広がる良い景色で手つかずの地形や植生が残るエリアです。

38号線付近
ヨシ、イワノガリヤスが群生

今日はこの問題について、いま思うことを簡単に整理してまとめたいと思います。

道外の方でも、この問題に関心を持っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。環境保護とグリーンエネルギーの関係を考える大きなきっかけになるのではと思います。

○事業者について

プロジェクトは(仮称)HOKA7(ホカナナ)太陽光発電事業という名称で、事業者はSakura2(サクラニ)合同会社。

太陽光発電所開発事業は、企業が太陽光発電所を開発&所有すると、資金調達(自社の信用力で資金調達することになり、莫大な開発資金を調達することが困難)と財務(自社が直接発電所を所有するとバランスシートが肥大化し資本効率が悪化)等において問題が生じるので、SPC(特別目的会社)という太陽光発電所事業のみを行う会社を設立して、SPCを事業主体として行うことが一般的です。

Sakura2(サクラニ)合同会社は、SPCと思われます。

SPCの代表者はアイビーヴォーグト・シンガポール・ピーティーイー・エルティーディーという恐らくアイビーヴォーグトというドイツの会社のシンガポール法人に所属している方ということなのかなと推察しています。

ドイツ本社→シンガポール法人→Sakura2合同会社という資本関係も推測できます。

国際的な企業が地方プロジェクトに関与する場合、その国・地域での法的要件や市場特性に合わせて、現地法人を設立し、実際の事業運営を行うことはよくあります。この構造は、リスク管理や資金調達、現地法規の遵守を容易にするために採用され、現地法人が表に出ることで、地元住民や行政との関係構築がスムーズに行われることも期待されており、ドイツ本社が直接表に出ることは少なく、通常は現地法人(今回はアジア現地法人)を通じてプロジェクトが進行します。

これは日本法人の情報ですが、アイビーヴォークトなる会社は、太陽光発電所の開発を生業として行っているようですので、恐らくそうだと思います。

個人的には、指揮系統および資金の流れからして、ドイツ本社が説明すべしと思うのですが、ここまで地理的、資本的距離が遠いと我関せずというか、日本で処理しなさいということで、代表社員の日本の方を矢面に立たせているということなのでしょうか。

環境に煩いヨーロッパの会社で、カーボンニュートラルなどの考え方はヨーロッパ由来?ではないかと思うのですが、この対応には「?」がつきますね。

一度人間の手が加わったところを原状回復することは不可能に近いのではと素人ながら思うところではありますが、環境保護意識が強いヨーロッパの会社なら、その手本を日本人に示してやるぐらいな感じで乗り込んで来いよ!と思ってしまいます。

○実効性について

説明会ではSAKURA2合同会社の詳細な背景やその他のビジネス活動についての具体的な情報はなかったそうです。

実効性についての詳細は記事や公開情報では読み取れませんが、このような状況では、実効性は以下の要素に依存するのではと思います。

  1. 行政の監視と指導: 行政がどれだけ厳しく監視し、適切に指導を行うかが重要。無許可での掘削に対して指導が行われていることは、一定の規制が機能している証拠と言えるのですが、今の状況が続くと暖簾に腕押し状態。SPCの実質的支配者(https://www.fsa.go.jp/common/about/pamphlet/20161001.pdf)までリーチすべき。

  2. 住民との対話: 住民説明会を通じての対話が、事業者と地域コミュニティとの間に信頼を築くために重要です。説明会がどのように行われ、住民の意見がどれだけ反映されるかが、プロジェクトの透明性と受け入れられやすさを左右します。ここでもドイツ本社が責任をもって対応すべきです。

  3. 原状回復の具体的な計画と実行: 計画された原状回復がどれだけ迅速かつ効果的に実行されるかが、自然環境への配慮として評価されます。ここも環境保護意識の高いドイツの手本を示して欲しいところ。

これらの要素が適切に対応されているかどうかは、環境、地域住民にとってはもちろん、プロジェクトの実効性を確保する上で重要なポイントとなるはずで、事業者側にもプラスに働くことなはず。誠意ある対応を希望したいと思います。

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