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台所短歌

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2021年7月の記事一覧

声高に叫ぶことなきままにまた夏七月を遠目におくる

苧環
3年前
31

街路樹

足下に一際深い影落とし何も持たぬと夏を受け入れ

苧環
3年前
29

傷口に血小板が集うのも知らずに生きるこのまま生きる

苧環
3年前
33

草の葉に捕まり揺れるカラカラの殻が証か今鳴くキミの

こんなにも風雨防げる殻を捨て何を見たのか飛び立つ先に

苧環
3年前
28

朝イチに叩き潰した黒きモノアレはアタシだたぶんだけれど

********
まさしく「無」で思いっきり叩ける自分にある種の驚き。もう脊髄反射。今年一いい音がした。

苧環
3年前
22

起き抜けに放つ窓から入り来る浄化しきれぬ昨夜(ゆうべ)の熱が

苧環
3年前
21

土用干し何故にするかと問う我に母がしてたと母が微笑む ******** 昔から が科学的に証明されたとか言われ出したのは最近のような気がする。理由なんてない。ただ見様見真似で受け継がれてきた ってことはそれなりに理があるからなんだろうな

歯切れ良く言葉を紡ぐキミのよになれるだろうかと蝉声を聞く

苧環
3年前
29

草に風水の匂いの重なりが夏を連れ来る我にようやく

鳥のほか動く影なき道を行きひとつふたつと呼吸を深く

苧環
3年前
27

一粒の砂に拡大鏡をあて山と見做して登れと叫ぶ

苧環
3年前
22

紅白の金平糖を撒き散らし何を祝うか夏の街路樹

苧環
3年前
26

糧となる所属なき身に吹く風は春夏秋冬冷たきままで

苧環
3年前
28

夏の陽と笑顔が映る銀の匙見えた気がする今午後3時

苧環
3年前
28

籠の梅くるんと返す手の皺に似れば良かろと母の笑いて