マガジンのカバー画像

台所短歌

1,435
台所から生まれた31文字
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

さざなみを小波で終わらすために今 際を探しに旅に出ようか

苧環
3年前
14

何事もなさすぎ過ぎる一日にセールのりんごしゃりしゃりしゃりと

苧環
3年前
14

猫のよに溜めて丸めて吐き出せばくぅとだけ鳴き丸くもなれる

苧環
3年前
15

夜ごとに空に川面に笑まふ月ふれさへできぬ我が手みぢかし

苧環
3年前
13

髪型がすんなり決まった鏡前会うも話すもお前だけだね

苧環
3年前
11

足らずという軽口なんぞ聞き流し最後にドタバタぶっ込む二月

************
月初めと月末にしか意識してないんだろうな

苧環
3年前
7

猫を乞ひ落葉に暮るる柏木の近うと招く指先を見ゆ ************ 手がとどくと思ってしまった時点で地獄かもだ。 ゆかりあるものは、所詮ゆかりあるものでしかない。それを大切に出来るかどうか… ふわっと柏木を思い出した己れがこわい。

怒と哀を放り投げたら口角と心上がるを五十路にて知る

苧環
3年前
9

カサブタが取れたら話すそれまでは見るな触れるな聞くなで頼む

苧環
3年前
10

斑点を成熟しきった証だと言い切るバナナになりたいなれない

********
目についたもの選手権みたいになってきた…
31文字にまとめる練習ということで…

苧環
3年前
10

寝かし置いた長ネギほどの根性はないかもしれぬと詫びて夕餉に

苧環
3年前
9

膝のうえ温もり少し置いていく硝子抜けくる仔猫一匹

苧環
3年前
11

洞(うろ)を過ぐ風の呟き暖かく春に種類のあるを知り初め

苧環
3年前
8

ただいまを言うべきドアはもうここでなくなったはずと告げし夕暮れ