見出し画像

負け犬のいいわけ




前回の記事でも述べたように私はアウトオーバーを経験したことがある


同様にそこかしこにアウトオーバーのメンバーが居るのも事実だ


「いやどんだけ下手なんだよ」


「そんなに働いてどうやってアウトオーバーになるの?」


と思った人もいるだろう


今思えば私も同じような感想を抱くと思う


給料もゲームバックもあるのによくもまああんなに負け続けたものだと


という訳で今回はどんな感じでアウトオーバーになっていったか私を例に見ていただこう



🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄



まず当時私が働いていた雀荘について説明しよう


働いている内にルールが変更したので2種類載せておく


≪変更前≫
・0.5東風
・G代350円トップ賞200円
・ウマ2-4
・1本場1500点
・赤3 / 金1
・赤200p / 金500p
・鳴き祝儀
・東場のみ

≪変更後(変更点のみ)≫
・ウマ2-3
・赤3 / 金3
・赤100p / 金300p
・東西場

≪待遇≫
・時給1100円
・ゲーム代バック100円
・交通費支給

というような感じで0.5とは言え東風戦で祝儀も豊富なので負け額が日給を上回ることも珍しくないルールだった


さて


改めて私はどうしてそんな雀荘でアウトオーバーを経験したのだろうか


一つ一つ「言い訳」をしていくことにしよう


🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄



【1】12時間勤務



雀荘の勤務は基本的に12時間勤務である


労働基準法とは…?という感じだが現状ほとんどの雀荘は昼夜12時間の2交代制である


まあ勤務内容自体はそんなにつらくないし12時間フルで麻雀を打つわけでもないので何とかやれてしまうのだ


とはいえ12時間だ


長い


とにかく長い

その長さゆえに集中力がもたないのだ


特に夕方あたりの来客が増える時間あたりからは集中力が切れて打牌も乱れてくる


ちょっとしたミスがとてつもない損失に繋がるのが麻雀だ


12時間の勤務で常に高い集中力をもってのぞむのは私には困難だった


それにくわえて出勤の前の晩は十分な睡眠を取れていなかったことも殆どだった


短い睡眠時間で12時間も集中力がもつ訳もなくどこでミスをしたのか気付かないままジワジワ負け続けてアウトオーバーになってしまったのである



🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄



【2】抜けられない




私が働いていた頃は平日の昼間なんかはメンバー3入りでずっと打ちっぱなしなんてことも多かった


そうすると


疲れても抜けられない


腹が減っても抜けられない


負けすぎて精神が参っても抜けられない


イヤな客と打ってても抜けられない


Etc…


客打ちとは違いメンバーは好きなタイミングで抜けることが出来ない


上の12時間勤務とも被るがやはりずっと打ち続けるのは結構しんどい


打ちたくて打っている客といつ終わるか分からない中で打っているメンバーのメンタルには大きな差があるのだ


「そんな甘いこと言ってるから負けたんだよ!」


という声が聞こえてきた


「その通りだよ!」


私はそう返す

分かってはいても未熟だった私は疲れた顔をしながら雑な麻雀を打って負けていったのである



🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄



【3】鬼の昼番3人衆




私が働いていた雀荘には鬼のように強い昼番メンバーが3人居た


店長M


胆力のK


そして魔王 T


以上の3人が鬼の昼番3人衆だ

彼らは20年以上麻雀に関わり続けていてメンバー経験も長い上に何よりそれでメシを食ってきた人たちである


弱かろう筈もない


しかも3人とも昔馴染みで仲も良くそれでいて互いにリスペクトを持っているため幾度となく麻雀談義を繰り広げていた


日々成長し続けるバケモノたちなのだ


普通ならどの雀荘で働いてもトップの成績を残せるような3人が同じ店で働くとどうなるか


彼ら3人の成績は安定するがそれ以外のメンバーは負けてしまうのである


というのも私が働いていた頃はメンバー3入りも多くメンバー同士で削り合っていた日も多かった


出勤の度に彼らの内1人か2人は同番になるので大体負けるのはへなちょこ雀士の私であった


打てば打つほど実力の差を味わった


ただ唯一の救いは彼らが私に丁寧に麻雀を教えてくれたことだ


彼らの強さには全幅の信頼を寄せていたので私も素直に話を聞くことが出来た


彼らのおかげでメンバー始めたての頃に比べれば格段に上達したことが身に染みて分かる


アウトオーバーも出勤の範囲内で返済出来たのもその賜物だろう


彼らに勝てるようになるにはあと何年かかるのだろうか…



🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄



【4】染みついた負け犬根性




メンバーになると決めたときは実は自分の麻雀に自信があった


別に根拠があったわけでもないしその雀荘のメンバーより自分が強いとは思っていなかった


ただ漠然と自信だけがあったのだ


そして何としても勝ってやるという気概もあった


実はその自信とか気概というのが一番大事だったりするものだ


しかしいざメンバーを始めるとそれは音を立てて崩れ落ちていった


自分の麻雀に自信が持てなくなっていくのだ


理由はいたってシンプル


承太郎を怒らせるよりもずっとシンプルな答えだ


それは自分如きの腕では勝てないことが分かったからである


成績が明らかになることによって自分がどれだけ負けたのか見ざるを得なくなる

これは留年するのが分かっているのに成績表を見るのと似ている


これが結構心に刺さって自信がなくなっていくのだ


自信がなくなるとどうなるのか


打牌がブレブレになっていくのである


上手い下手以前に自分が思う通りの打牌が出来ていない者が勝てるだろうか


勝てるはずもない


負ければ負けるほどブレていき負のスパイラルに陥ってしまうのだ


思い返せばメンバーになる前は下手なりに自分の信じる一打を打ってきた


だから勝っても負けても楽しめていたし打牌がブレることも少なかった


逆にメンバーになってからは負けを意識するばかり正直あまり麻雀を楽しめなかったし打ちたいとも思わなくなっていたのだった


負け犬根性が染みついてしまい負け犬の麻雀を打つようになってしまったのだ


ここで話は飛ぶがメンバーには「後ろ見」といって客の麻雀を後ろから見れるという特権がある


私が後ろ見をして思ったのは雀荘に来る客は意外と下手な人が多いということだ


何故かというと反省しない人がほとんどだからである


結局雀荘に来る目的というのは趣味であったり時間つぶしであったりするからわざわざ深く反省する人は多くない


メンバーをやっていると先輩にあの時はこうだったよとか教えてもらったり逆に自分から聞きに行けたりして上達の道はあるのだが客にはそれがない


たまに現れる強者は元メンバーか自力で強くなった麻雀モンスターのどちらかである


実際フリー雀荘に通ってる人で勝ち越している人など数えるほどだろう


そんな数少ない強者に負けるのは別に良い


下手な人に負けることが本当にイヤだった


そんなことで自信を失くす自分もイヤだった


しかしこれもまた私の未熟な精神が招いたノイズである


どんな打牌にもリスペクトを持てない雀士に栄光はない


何事にも動じない鋼のメンタルと同卓者へのリスペクト


メンバーに必要なのはこれにおいて他にない



🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄 🀄



以上様々な言い訳をしてきたが雀荘メンバーという職業はアスリート同様「心・技・体」の全てが充実していないと食っていけるような職業ではない


そしてそれは気合いや根性でなんとかなるものでもない


自分が負けている理由を冷静に判断して対処する力がなければ誰も助けてくれないことも理解しなければならない


そしてこれから雀荘メンバーになる者や現状満足に給料を残せていない者へのバイブルとも言える動画が先日あげられた


元プロで雀荘に精通している高田まさひろ氏の動画である


【給料が残らない雀荘スタッフに贈る魂の授業】


彼はメンバーにとって必要なことを的確に指摘してくれた


何となく分かってはいたけど実践できていない事柄を見事に言語化して発信してくれたのである


まさにこの上ない動画だったと言えよう



ただその動画




3年前に出してほしかった…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?