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藤沢|モトールエンジニア|一生手放せない相棒と藤沢で生きていく


こんにちは。CONOMACHI STORIES編集部です。

定期的に小田急沿線の「この街」スポットを紹介していくレポート。

今回は、藤沢市にある「NSR250R」というバイクのメンテナンスと修理を専門とされている「モトールエンジニア」さんにお話をお伺いいたしました。

―――NSR250Rを知り尽くした店長さんがいるお店

モトールエンジニアはNSR250R(以下「NSR」と記載)というバイクの修理やメンテナンスをおこなう専門店。お客様から「NSRの主治医」「NSRの駆け込み寺」と称される名店です。それもそのはず、店長の藤田さんはかつて三重県・鈴鹿サーキットにてNSRレーサーとして活躍し、栃木の名門アイ・ファクトリーでメカニックとして腕を磨き、店長を勤めた方。数々のNSRの雑誌に名を連ね、NSRのプラモデルの金型製作にも協力するなど、まさに「NSRを知り尽くした」方なんです。

お店のオープンは、2007年4月25日。店名のモトールとは、インドネシア語でオートバイという意味。お客様とそのバイクにとって最高の技術者になるという想いが込められています。

店頭には藤田さんが大好きなバリ島の家具や沖縄の雑貨、グリーンなどが並んでいます。そのため、一見すると「バイク屋…さん?」という雰囲気が。インドネシア・バリ島は藤田さんにとって思い入れのある特別な国だそうで、店名にインドネシア語を取り入れたのもそういう理由だそうです。

沖縄で民宿を経営するご友人が「コロナに負けるな!」との想いを込めて作ってくださった漆喰のシーサー

当時購入した思い出の品、ご友人やお客様が作ってくださったものが大切に飾られているあたたかい雰囲気のお店。人とのつながりを大切にする藤田さんのお人柄が表れているように感じます。

―――藤沢は「密度の濃い街」

旅好きで、さまざまな街の良さを見てきた藤田さん。その藤田さんが開業に選んだ街が藤沢でした。

(藤田さん)「藤沢は自分がお店を出すなら…と思うイメージに合ったんです。藤沢は自然の豊かさがあります。海だけでなく山もあり、『住む環境』として魅力的。ほどよい田舎感もありながら、電車やバスなど交通の便もよく、人口も多い。だからバイクを修理に出して公共交通機関で帰宅するお客さんのことを考えても、商売にも向いているいい街だなぁと。市内でいろんなことが完結でき、住みやすく、バランスがいい。藤沢は『密度の濃い街』ですね」

藤沢について語る藤田さんの表情からも、街の良さ・藤沢愛が伝わってきます。住めば住むほど「キュンとするまち」というキャッチフレーズを持つ藤沢。その言葉通り、訪れる人を住む人を魅了し続ける街だと感じます。

―――NSR250Rとは?

NSR250Rとはホンダが1986年~1999年まで生産をおこなっていた「レーサーレプリカ」と呼ばれるバイク。ライダーを魅了する乗り心地や見た目から、今でも絶大な人気を誇るバイクです。

レーサー時代を共に駆け抜けた藤田さんの愛車

(藤田さん)「NSRは軽くて馬力があり、耐久性もよく、しかも乗りやすい。ライダーの五感を楽しませる刺激もある、バランスのいいバイクなんです。そして懐が広い。レースやツーリング、コンビニへのちょい乗りまで…どんな乗り方にも応えてくれる楽しい乗り物です。NSRは『飛行機の次に偉大な発明』だと思っています」

そう熱を込めてお話しする姿に、時折少年のような顔をのぞかせる藤田さん。NSRは「一生離せない良き相棒」。NSRについて語る姿は、その言葉を体現しているようでした。

―――全国からNSR250Rユーザーが来店する理由

取材中にも長野から相談に訪れたお客様の姿がありました

ユーザー目線の丁寧な整備が口コミを呼び、全国から修理依頼が絶えないモトールエンジニア。高い技術力以外にも、ライダーを魅了する理由があります。

(藤田さん)「うちは『中身の見える整備』を大切にしています。修理内容を誰でも分かるように、絵を描きながら説明をしたり、写真も多い時は200枚ほど撮影したりしながら整備をおこないます。だから、時間もかかってしまいますけどね」

苦笑いされていましたが、自身もNSRを愛し、向き合い続けてきた藤田さんだからこそ、たどり着いた究極の整備方法と言えます。

(藤田さん)「整備したら、バイクの調子が上がるのは当たり前。お客さんに整備の中身を知ってもらうことが仕事だと思っています。いかに分かりやすく伝えられるかーそれがプロの仕事だと思っています」

同時に、修理を引き受ける際には、NSRとつきあっていく「覚悟」についても確認をおこなうそう。厳しい見立てを伝えることもあるそうですが、それがNSRユーザーのためになると知っているから…。そこにはNSRユーザーを真に想う藤田さんの誠実さが見えました。

高い技術力とNSRユーザーを真摯に想う藤田さんの信念が、多くのお客様の信頼を呼び、心をつかんでいるのだろうと深く感じました。

藤田さんが向き合っているものは、単なるバイクでも整備でもない。整備のその先にある乗り手の命そのものだったり、「長く乗り続けたい」というユーザーの願いなんだということに気が付きました。

お客様にとって、整備とは大事な愛車を、ひいては自分の命を整備士さんに委ねること。そして、NSRは新しく生産されることのないバイク。つまり、お客様のほとんどが「特別な思い入れ」をいだいて乗り続けているバイクなんです。

そういう目には見えないけれど、ライダーにとって大切な部分をくみ取って整備をしてくださる藤田さんの存在は、かなり大きい。

「待ってでも藤田さんにお願いしたい」お客様がそう思う理由がよく分かりました。この人になら愛車を託せるーそんな確信がモトールエンジニアを選ぶ理由なのではないでしょうか。

―――地元・藤沢を支える

モトールエンジニアが支えているのは、NSRユーザーだけではありません。2019年10月から「モトール・アスリート・レンジャーズ」、頭文字をとって「MARs(マーズ)」を設立。主にビーチクリーンをおこなう社会貢献活動チームを立ち上げ、藤沢の海や人を支えているんです。活動のきっかけは通勤ランに始めたゴミ拾いだったと言います。

(藤田さん)「自分がゴミを拾った道がキレイになっていくのは気持ちがいいもんだなって。それから、海をキレイにするイベントにも参加してみて、面白くてハマったんですよね。キレイになった海にいると気持ちがいいし、海のためにもなるし、一緒に参加してくれた仲間も笑顔になるし、一石何鳥にもなるんですよ!」

「やり出すと見ぬふりができなくなってしまう。湘南のプラごみは全部任せろ!」そんな藤田さんに共感するたくさんの方が活動に参加されています。

辻堂海岸でおこなわれた第18回モトールビーチクリーンの様子

参加メンバーはご近所の方、ヤクルトレディーさん、遠方からは長野や埼玉のお客様など。不定期(年間5回程度)ですが日曜日の午前中に開催し、興味があれば誰でも参加できるそうです。

自分にできる1つ1つのことに目を向け、周りの方も巻き込みながら楽しく地元・藤沢のために活動される藤田さん。自分がほれ込んだ藤沢の地でNSRユーザーを、そして地元の人・藤沢の街を支えていく…。その背中はまさに「この街と共に生きていく」そんなことを物語っているようです。

モトールエンジニアさん、ありがとうございました!

これからも全NSRユーザーのため、そして地元・藤沢のための活動を全力で応援いたします!

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。