手の平返しと言う状況

皆様どうも、寝ぎスギの小田異仏です

今回は手のひら返しなんて言葉についての話なんですが

皆さんは手のひら返しされたーとか、そういった経験ってお持ちだったりしますか?

人それぞれ感じ方は違うとは思うのですが、これは僕の友人である村くん(仮名)の話しです


村くんとは高校時代からの付き合いであり、職場も同じ所で働いていた時期がありました
村くんは勤勉とは言い難く、ノリと勢いだけで生きてるような人でした

ひと月に七回ほどは病欠をして
ひと月に三回ほどは無断欠勤をする

そんな村くんは

自称ラッパーでした

皆んなでカラオケに行けば歌詞に沿って歌なんて歌わずにフリースタイルを永遠とやる村くん

職場で移動中の車内ではYouTubeでひたすらにバトルを見て自己採点をしてる村くん


「曲作ったら聞いてよ」
と最初に村くんが言ってくれてから
一度も聴く事なく、早10年の時が流れていました


そんなある日村くんは1人のラッパーと出会います
世間的にはそんなに有名ではありませんが人脈の広いラッパーである彼と知り合った事により
村くんは自分がラッパーである事を疑わなくなっていきます


ひと月に七回ほどしてた病欠は四回ほどに減り
ひと月に三回ほどしてた無断欠勤はほぼなくなりました

その代わりひと月に十回ほどは音楽活動により欠勤するようになる愛らしい村くん


そしてついに、村くんの曲を聴く日がやってきたのです
内容は3人のマイクリレーによる自己紹介的なラップ

10年越しの約束は果たされたのです


そんなおり、村くんが小さな舞台ではありますが行きつけのクラブでライブをやる事になったと言うのです
ワンマンではありませんがこれは大変めでたいと観に行く事を約束いたしました

そんなこんなでライブ当日がやってきました

客入りはまあまあといったかんじ

ライブ自体は村くんのグループ含めた5組程のラッパーの皆さんが盛り上げ成功といった感じで終了
僕自体も結構楽しめました


やったね村くん!


それでここからが話しの核心である

手のひら返し

と言う事の話しになるのですが


それはライブの後日の話しです

村くんと仕事での車移動中

村くんはライブの映像を流してノリノリになっていました

ライブから数週間たっても流し続ける村くんに若干の違和感を覚えながらも会話を弾ませていると
村くんが気持ちよさそうに言いました


「まじうぜーよ、こいつら手のひら返しだよ」


僕は、村くんに尋ねます。

「どういうこと?」

村くんは続けます


「ライブハウスの奴らとか、客とか、今まで散々俺のことラッパーじゃねえとか馬鹿にしてたくせに、この前のライブから急に手のひら返しだよ。ライブやろーよだのなんだの、人間ってまじ恐いわ」


やはり人間は、100人いれば100通りの価値観があるのだなと、改めて痛感致しました


絵を描かないマンガ家が認められないように
試合をしない格闘家が認められないように
話しを考えない小説家が認められないように

曲を持たなかったラッパーは認めてもらえず、今は持ってるからみんな認めてくれたのであって、手のひら返しとは違う気がすることを村くんに尋ねると


「手のひら返しなんて俺は絶対しない」

と、じっと空を見つめる愛すべき村くんなのでした

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