オダ 暁

年齢性別不詳 物書き バー経営の経験 動物愛護活動家

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最近の記事

銀木犀

銀木犀 あの頃は 学校帰りの公園で 夕暮れに一人 好きな人の家の近くで ずっといた   銀木犀が咲いていた 15歳 秘めた片想い   でも 今も ふと銀木犀の香りに包まれると 15歳の扉にたち戻ってしまう   銀木犀の花言葉は初恋  

    • 金木犀

      金木犀 【前振り】 初秋に咲く金木犀の匂いはさまざまな郷愁を呼び起こす   一番好きな花は金木犀 だと貴方は言った 貴方も 貴方の香りも好きだった   心も身体もとろける 魔性の匂い   遠い過去   金木犀の花言葉は陶酔

      • 風立ちぬ

        風たちぬ 風がふく 微熱含んだ ひんやりとした風が   風がゆく とうとつに 私の頬を打って   季節は 知らぬ間に巡り もう秋   風がたった さあ 再び生きよう  

        • メイビーそれが人生

          メイビーそれが人生 食う寝る遊び 排泄して眠る 体が汚れたら洗濯 汚れた心は放置 積もり積もったツケの報酬イコール 因果応報、ブーメラン リサイクルに出す リサイクルで買う この世在住 あの世引っ越し ギリシャ神話のシジフォスの苦行さながら 楽あれば苦もセット てっぺんもどん底もある人生ってもんは 繰り返すエタニティ まるでメビウスの輪

          梅雨明けの夏到来編

          梅雨も明けて本格的な夏がやってきました。名付けて梅雨明けの夏到来編。 おまるこまる堂々の第2弾! 女二人、威勢よく壇上に登場。 おまる「皆さん、お久しぶり。おまるで~す」 こまる「こまるで~す。暑い中おこしいただいて、ホンマおおきに」 両者、お辞儀をしつつ客の顔をぐるりと見渡す。 おまる「それにしても、毎日暑うてかなわんなあ」 こまる「日本列島ぜんぶ、すっぽり異常気象やわ」 おまる「こんなに暑いのに、わてとこのクーラーぶっこわれてしもてな」 こまる「クーラー!」 おま

          梅雨明けの夏到来編

          僕の両親はきつねとたぬき

          僕の朝のルーティンは決まってる。 朝は6時に起床、自己流ストレッチをして簡単に掃除を済ませてから、新聞を隅から隅まで読む。それから、朝食に入る。  なんとか奨学金で大学に進学したあとも、就職活動全滅でアルバイト生活に不本意ながらスタートしたあとも、これは変わらない。たぶん親の躾の賜物なんだろう。物心ついた頃から早寝早起きにはうるさい両親だった、健康ファーストだとか。あんまり病院代払う余裕なかったんだろうな。あと電気代節約かな?とくに勉強とか成績には文句は言われなかった。僕はど

          僕の両親はきつねとたぬき

          避暑地の旅人たち 第二話

          「僕はここは初めてなんだ、君もひとりだったら、一緒に歩いちゃだめかな」  屈託のない笑顔に同伴者の思いがけない出現に内心ほっとしていたが、その様子は見せなかった。 「僕はヒカル、君の名は?」 「どこから来たの?」 「何をしに?」  無遠慮な質問が矢継ぎ早に、ヒカルという名の少年の形のいい唇から飛び出してくる。しかし、人恋しかったせいか不愉快にもならず、律儀に答えていた。むしろ誰かに話したかったのだ、今の自分の気持ちを。もやもやした心のくすぶりを消してしまいたかった。大ざ

          避暑地の旅人たち 第二話

          避暑地の旅人たち 第一話

          雨上がりの朝だった。ぬぐったような澄んだ陽射しが、ここ長野県のはずれ、軽井沢の大地全体に降り注ぐ。初夏を思わせる風が木々の梢を微かに揺らして吹き過ぎていく。  目に映る光景はどこもかしこも鮮やかな緑だった。波のようにうねる大樹の、光きらめくライトグリーン・・・  少年は野球帽を目深にかぶり、汗臭いTシャツと色褪せたブルージーンズを身につけていた。贅肉のない、幅広の肩に大きなリュックを背負い、朝の柔らかな陽光に包まれた遊歩道をただ黙々と歩いていた。  舗装されていない路の両側を

          避暑地の旅人たち 第一話

          指定席(リザーブド・シート)第三話

          「今逃げなければ殺される」それしか頭になかった。  同時刻、男は1号車へと、女は16号車へと全く反対方向に向かって懸命に走っていた。二人とも何も目に入らず、頭の中は真っ白になり、人をかきわけ或いは突き飛ばし、ただひたすらに前へ前へと進んでいった。  女、すなわち瑠里子はその途中でへたばり、デッキの洗面所で一休みしようと、すばやくカーテンを引いて中に隠れた。すれ違った若い女が面食らった風に彼女を見たが、それにさえ気付かずに、ぜえぜえと荒い息を吐き大粒の汗を滝のように流しながら、

          指定席(リザーブド・シート)第三話

          指定席(リザーブド・シート)第二話

          第2話  ピストルでもなく、粉でもなく、それはレースをふんだんにあしらった女物のパンティやブラジャーだった。男は慌てふためいて色とりどりの下着をかき集めると、ケースの中にしまい込み、再び両腕で大事そうに抱え込んだ。  先刻の子供はいぜん泣き止まず、いったん立ち止まった母親も「大丈夫、大丈夫」と念仏のように繰り返し、子供の手を引き小走りで横を通っていく。  この男は痴漢か強姦魔に違いない・・立ち上がったまま瑠里子は発作的に棚の旅行バッグを座席にひきずり落とし、半ば喘ぎながらチャ

          指定席(リザーブド・シート)第二話

          指定席(リザーブド・シート)第一話

          ※この物語はコロナ禍のお盆シーズンではありません。    盆休みに入ったせいか、東京発新大阪行きの、新幹線の乗車率は百%をはるかに上回っていそうだった。車内をざっと見渡してみても、殆どの座席が既に埋め尽くされており、通路や車両間のデッキまでもが座れなかった人の群れでごったがえしていた。  肩に大きな旅行バッグをかつぎポシェットをたすきにかけ、片手に持った切符と座席番号を見比べながら、瑠里子は、熱気でむんむんする車内を乗客をかきわけて歩いていた。6号車9Eの自分の指定席を確認す

          指定席(リザーブド・シート)第一話

          啓示Ⅱ

          神の息子キリストはのたもうた 「汝の隣人を愛しなさい」 わかったよ おおせに従うよ どんな悪党でも罪人だろうと 愛するように努力するよ あなたの御言葉は正しい ある日散歩の途中 私はそれに気づいた 偉大なるジーザス どうか 憎悪に慈しみを 修羅に休息を 死に息吹を そして創り給うた この失敗作に愛を与え給え  

          啓示Ⅰ

          破壊は 独裁に変わりやすい 創造は 反逆の種をまく 愚かしい偉業のリフレイン そしらぬ顔で 堕天使はほくそ笑み 悪魔のしとねに潜り込む ケツの穴まで売り渡す 報復だ 脳みそいかれたテロリストだ 「征服せよ!そして裏切り者には死を与えよ」 幸いあれ 誇大妄想の偽ヒーロー さいごの殺られるのは貴様だ  

          言葉のメモリー

          言葉のメモリー 先史のむかし あなたとぼく わたしときみ は ひとつの小さな球体 粘土細工の・・・  青麦 が 実る頃 また 会おう  この 野畑の 満月の夜 粘土の球体の中の陶片の密約 球体と円錐を陶板上に順番こに並べた シンプルな二人称の約定      記すことばはそれだけだった   夏草の吹きあがる草いきれの中 我々のことばは風に消えた そして つちくれのことばが 堅く結ばれた円い粘土の中に 凝固されたまま残った お互いのこころを確かめ認めあうために   必要だろうか?

          言葉のメモリー

          喪章

          「喪章」 眠っていたのだろうか、気がつくと私の目の前に若い女がひとり立っていた。女は私を鏡の前に引っ張って行って、憂いのある声で慰めるように言うのだ「ようくご覧なさい。これが貴方の真実なの」。   鏡の中には、黒っぽい背広を着た白骨が、首のあたりに今朝締めた覚えのある、水玉模様のネクタイを垂らして立っていた。私はカタカタ指の骨が鳴るのを気にしながら、そのネクタイを外して、鏡の中を見つめた。   すると私の左の腕にかけた女の白い手が、まるで喪章のように見えた。それは悲しみの象徴

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          大昔の作品。「あばよ」なんて昭和歌謡が出てきますし。離婚式という言葉が世間に流行ったのもずっと後になってからです。   「たいへん長らくお待たせしました。御両人の登場です。皆様、盛大な拍手をどうぞ」

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