言葉のメモリー

言葉のメモリー
先史のむかし
あなたとぼく
わたしときみ は
ひとつの小さな球体
粘土細工の・・・
 青麦 が 実る頃 また 会おう
 この 野畑の 満月の夜
粘土の球体の中の陶片の密約
球体と円錐を陶板上に順番こに並べた
シンプルな二人称の約定
 
   記すことばはそれだけだった
 
夏草の吹きあがる草いきれの中
我々のことばは風に消えた
そして つちくれのことばが
堅く結ばれた円い粘土の中に
凝固されたまま残った
お互いのこころを確かめ認めあうために
 
必要だろうか?
多くのコトバや難解な辞書たちが
 ムズカシイことばは理解らないから
    信じない
 何故なら、ぼくらには届かないから
 
新しいことばがひとつ増えるたびに
同じようにひとつずつ
生きている真実を
消し去っていくのだろう
ぼくらのこころは揮発性記憶装置・ROM
 
 多くをぼくらは持ち得ない
 手持ちのカードは少なくていい
 ことばは無限にあるけれど
 
虚構の海原へと漕ぎ出だす
だまし絵が交錯する世界
ぼくらの声は何処にも届かない
行くべき此岸を識らない
もどかしくて
こころもからだも軋む
Webの街角
 
ヒトは原始のコトバで語れないのか?
 

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