舞台のはなし

舞台を見るのが好きです。
映画を見るのがいつからか苦手になってしまい、家で舞台のDVDを見るのでさえ入り込めなくて苦手という私が、不思議なことに劇場で舞台を見るのは好きなのです。

多分、他のことをなーーーんにも考えなくていいから。

劇場の座席に座ってお芝居を見ているとき、私はそれだけを見ていればいい。
隣にいるのが友人か知らない人かなんて関係ないし、スマホは電源切って鞄に封印してるし、邪魔してくるものなんて何もない。
だから芝居に集中できるんですよね。
視界の全部が埋まってるし、それを遮るものがないから。

と、考えていてふと思ったのですけども。
私は他人の視線を(おそらく)過剰に気にするタイプです。
どれだけ仲のいい人だろうと家族だろうと、誰かがいると自己検閲がかかるというか。
こないだ大河ドラマ見てボロ泣きしたんですけど、基本家族の前で泣くのは嫌いです。エッ泣いてんの?みたいな顔をされるので。
みんな泣いてないのになんで私だけ泣いてるんだろ、なんで家族と同じ反応ができないんだろうっていう気持ちになるのが嫌なのです。うるせー泣くだろあれは!みたいな反応ができるようになったのはここ最近のことなんですよね。逆に、エッ、このシーンで泣かないの?!みたいな顔をすることを覚えました。(攻撃的)
でも、舞台って人はたくさんいるけど誰の意識も私には向かないじゃないですか。よほど悪目立ちしたら向くかもしれないけど、私基本気配を消してるので。
私がひっそり笑おうが泣こうが、誰も何も言ってこない。
私だけ泣いてなくても、変な罪悪感を抱えることもない。
それでいて、あぁみんな泣いてる、とか、みんな笑ってる、っていうのがわかる。
私は作品に対して個であり、同時にその回の公演を見た限られた集団を形成する一人である。
ひとりだけどひとりじゃない、ってたまに見る文言ですが、その感じが好きなのかもしれない。
ヨガやってたときの最後の瞑想タイムに近い気がします。
目を閉じてると、私の周囲に沢山いるはずの他の受講生の気配なんて何処にもなくて、ひろーい空間独り占め!みたいに思えるんだけど、目を開けると確かにいるという。ちょっと手を動かしたら汗だくの手のひらが触れ合う距離に人がいるという。そういう感じ。

せっかく楽しみに見に行くんだもの。
不安なんてなく楽しみたいのです。
余計なことに邪魔されずに、舞台にのめり込みたいのです。
早く舞台を見られるようになってほしいけど、それと同じくらい安心して躊躇いなく舞台を楽しめなきゃ嫌なのです。
だから今日もいい子でお家ライフ。
そろそろパンフレット入れる場所がないんだけどー、なんて頭を抱えながら部屋を片付けるのでした。

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