〈レポート〉アルバムができるまで 三原未紗子 「CONTRAST」
2023年10月25日に発売となる三原未紗子さんの2ndアルバム「CONTRAST(コントラスト)」。その制作の裏側を一部ご紹介します。
収録は6月28日〜30日、富士見市民文化会館キラリ☆ふじみメインホールで行われました。
今回のアルバムテーマは、“神と悪魔”を主軸に“静と動”、“バロックと現代”など、並置された2つの対比をコンセプトとしています。三原さんが長年構想していたテーマで、選曲は収録半年前ぐらいから検討していたそうです。
三原さんのデビューアルバムも同ホールで録音。所蔵のピアノ(スタインウェイ)のコンディションも良く、音響的にも素晴らしいホールです。
セッティング
初日9時ごろから機材を運び入れ、マイクや機材セッティングを行います。スタッフはディレクターとエンジニアの他、ピアノ調律師を含め3名です。
今回は合計10本のマイクを使用しました。過去のデータを元に同じホールでピアノ録音を行ったときの資料などを参考にし、マイクの高さや角度、ピアノからの距離などを調整していきます。
モニタールームは楽屋を使用します。ここで録音した音を聴いたり、録音機の操作をします。ステージとも遠隔で会話もできます。
調律
ピアノの調律は収録中何回も調律師が行います。音程を合わせるだけでなく、楽器や演奏者に合わせた細かな調整を行います。収録中も随時調整を行うので3日間同行しています。
試奏
10時半ごろ三原さんが到着。調律や録音の打ち合わせなどを行ったのち、試し弾きを開始しました。
録音
準備が整ったらピアノを再調律し、いよいよレコーディングがスタート。一番はじめに、アルバムのメインとなるリストの30分を超える大作「ピアノ・ソナタ」を収録しました。スタッフは楽屋で録音機器の操作をし、舞台上では三原さん1人きりです。
全曲通しで録音し、終わると楽屋のモニター室で音をチェック。再度全曲を弾奏し、さらに気になるパートがあれば部分的にリテイク、途中休憩を挟みながらほかの曲も同様に録っていきます。
今回のコンセプトが「コントラスト」ということもあり、楽曲ごとに異なる表現方法が必要とされる収録でした。(ぜひアルバムを通してお聴き下さい!)
録音の様子は三原さんのYouTubeにアップされています。(演奏でお忙しい中撮影ありがとうございます!)
MV撮影
3日目の録音終了後、動画撮影スタッフによるMV(ミュージック・ビデオ)の撮影を行いました。
完成した動画はこちら!
ブックレット作成
掲載メッセージを三原さん自身に書いていただき、解説文を入れてブックレットを作成します。今回の解説は長井進之介さん(ピアニスト・音楽ライター)が執筆していただきました。
ジャケットは事前撮影写真を使用し、アルバムのコンセプトに沿うイメージで数案を試作しました。8月後半に三原さんご本人と打ち合わせし、白と黒が複雑に絡むようなイメージをさらに追加して仕上げました。
編集・マスタリング
1曲につき数回録音をするのでテイク(1回の録音)ごとに番号が振られています。収録をすすめる中で演奏者とディレクターが打ち合わせし、ベストな表現になるようどのテイクをどの部分で使うかを決め、全体の設計図を決定します。今回はディレクター自らが編集しました。(場合によっては編集をディレクターの指示で別スタッフが行うこともあります。)
アーティストにイメージ通りかをチェックしてもらい、修正点があれば再編集します。編集作業が終わったらバランス・エンジニアによるマスタリング作業です。マスタリングとはバランスや音量、音圧などの調整をしマスター(原盤)データを作るとても大事な最終工程です。
CDプレス
完成したマスターデータと印刷物をCDプレス工場で量産します。CDだけでなく、デジタルデータでの販売も行っているため、別途配信音源やハイレゾリューション音源データの準備も行います。
完成!
6月末の収録から先行発売まで約3ヶ月を経て、お店やネットショップで販売されます。ぜひ完成した音をお聞きいただければと思います。2023年10月25日発売です。
CONTRAST
三原 未紗子(ピアノ)
収録曲
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ[マイラ・ヘス編]
リーバーマン:ガーゴイル
シューベルト:アヴェ・マリア[リスト編]
リゲティ:ワルシャワの秋(ピアノのための練習曲 第1巻 第6番)
魔法使いの弟子(ピアノのための練習曲 第2巻 第10番)
リスト:愛の夢 第3番
ピアノ・ソナタ ロ短調