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銃声や叫び声が響き渡る中でも、鳥たちはさえずっていた

–2023年10月7日、ガザ国境に近いキブツ・レイム付近で開催されたNOVA音楽祭に参加したマヤ・Aが、Facebookに投稿した証言~

私は普段、ソーシャルメディアで自分の話をシェアすることはしない。けれど、命からがら逃げ、銃撃を受け、茂みの間に6時間隠れ続けた経験を振り返り、そこには共有する価値があることに気づいた。何が正しくて何が正しくないかという判断は抜きにして、私自身の個人的な体験に基づく「NOVA物語」を共有したい。

天国と地獄、それは自分の選択次第だ。それは、自分で選び取ることができる精神状態だ。詳細や、生々しい描写は割愛しようと思う。私は銃撃戦の真っ只中にいたのだ。キブツ・ベエリから2キロほど離れた茂みに隠れていた6時間、周囲の村々からマシンガンの銃声が何千何万と聞こえてきた。テロリストが罪のない子供や男性、女性を大量殺戮した事実を私は身にしみて理解している。

私は、懸命に逃げていた仲間たちが撃たれて死んでいくのを見た。少女を撃ったテロリストが、彼女が倒れ込んで死んでいくときに浮かべていた笑顔を見た。隠れていた茂みから私を救い出し、安全な場所まで連れて行ってくれた兵士たちの恐怖や不安、そして驚くべき強さを見た。兵士たちは、虐殺されている家族を救う使命があり、その過程で自らの命を失うかもしれないことを覚悟していた。私や取り残されたすべての人々をあの地獄から脱出させるため犠牲になってくれた勇敢な魂たちに、私は、永遠に感謝するだろう。

多くの死と憎しみに囲まれた生き地獄の中で、私は茂みに座り、微笑みを浮かべ、呼吸を整え、平和と愛のために自分なりに祈った。すると、爆弾や銃声、叫び声が響く中でも、鳥たちはさえずっていることに気づいた。立ち込める煙の向こうに見える空は青かった。私はその恵みに神経を集中させ続けた。ストレスや恐れ、怒り、復讐といった考えが頭をよぎるたびに、私は立ち止まり、一呼吸おいてすぐ、少なくとも3つのことに感謝を捧げた。私の安全を守ってくれているこの低木に。私に歌ってくれる鳥に。そして、この惨状において頑張っている自分自身に。

それが、私があの混沌を生き延びるための唯一の方法だった。自分の周りで起こっていることをコントロールできないなら、自分の中で起こっていることをコントロールしようと決めたからだ。それが、私にできる全てだった。

今、私は無事に家に帰りつき、家族と共にいる。しかし、心と魂が拒否するので、ガザに誘拐された子どもたちや人々が経験している恐怖について思いを巡らすことは、まだできずにいる。また、今この瞬間にも、勇敢な兵士たちが想像を絶するような目に遭っている。私の実の兄もその一人だ。兄は救助を必要としている妹がすぐそばにいることに気づかずに、キブツでテロリストと戦い人々を救っていた。
どうすれば世界平和をもたらすことができるのか、私はその答えを持っているわけではない。しかし、あの生き地獄の只中でも、自分自身の内に平和と楽園をもたらすことができたということを伝えたい。息をしている限り私たちは勝利している。文字通り、そうなのだ。

多くの友人や家族から、どうやって私をサポートすればいいかと尋ねられた。

  1. ニュースを過剰に見るのはやめて、ただ「今ここ(present)」にいて、自分自身や家族、愛する人たちと共にいよう。それは贈り物(present)だから。

  2. 賢明なことを言えないのなら、何も言わないでいよう。特に、ソーシャルメディア上では。言葉にはとても大きな力があるのだから、賢く使おう

  3. 恐れ、怒り、憎しみ、復讐から来る考えがよぎったら、立ち止まろう。深呼吸して吐き出し、感謝している3つのことに置き換えてみよう。今この瞬間に感謝できないことがあれば、それは過去や未来のことでもいい。ただ感謝するのだ。

恐れではなく愛から選択し行動し続けよう。それが、天国に住むか地獄に住むかの違いだ。息をしている限り、私たちは勝っているのだ。
起こった悲劇を振り返ることは重要だが、国や人々が一致団結することも同じくらい大切だ。そのことに焦点を当て、エネルギーを注ごう。今イスラエルにいる一人一人が、それぞれのやり方で助け合い、世界に贈り物をしているのだと思う。それは「団結心」という地球上で最も強力な武器だ。イスラエル人は、今必要としている人たちにそれを届けているのだ。それは誰にも決して奪うことはできない。みんなで上手に活用しよう。

結局、私を戦場から救い出してくれたのはイスラエルのアラブ人だった。彼は、私が身を潜めていた茂みから父の腕の中まで、そして安全な場所まで連れて行ってくれた。この戦争は、ユダヤ人対イスラム教徒やアラブ人の戦いではない。イスラエルのアラブ人は私たちの友人だ。これは全人類対ハマスの戦いだ。メディアがどんなに現実をねじ曲げ、恐怖を煽ろうとも、私たちは真実を知っているし、それを信じ続ける。
私が正しいとか間違っているとか言っているのではない。ただ、自分自身の経験と、私にとってうまくいったことを分かち合っているだけだ。

愛する人を失った家族に、愛と励ましを送ります。ガザに拉致された人々、勇敢な兵士たち、そして全ての命に祈りを捧げます。どうか呼吸を続け、毎日毎秒、愛を選び続けてください。

最後に、大虐殺の現場にいた兄弟姉妹や、ストレスを感じている人たちのために、私が隠れていたときやその後によく使っていた、神経を落ち着かせる呼吸法を紹介したい。サヴィトリと呼ばれるもので、子供向けではない。

・鼻から息を吸って吐く。
・ゆっくり息を吸い、8まで数える。息を止めて4まで数え、息を吐きながら8まで数える。息を止め、4まで数える。

8、4、8、4、と長くやればやるほど、精神は落ち着く。21分くらいがちょうど良い。

そしてもうひとつ、先週役に立ったことがある。ちょっと変に聞こえるかもしれないが、私たちの感情やトラウマはお尻に蓄積されていくそうだ。踊って、お尻と体とブーツを揺らして、トラウマを体にため込まないで!

Loka Samastah Sukinho Bhavantu(マントラの一つ):すべての生きとし生けるものが幸せでありますように。自由でありますように。世界中の生きとし生けるものが永遠に幸せであり自由でありますように。

(救出される1時間前に撮影したビデオ)



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