見出し画像

パズル54(2次小説:類つく)

類が入って来るのを確認すると楓は立ち上がって

「類君、久しぶりね。今日はあなたに話があって来たの。でもまずは謝罪させていただくわね。あなたがつくしさんを探していたのを知っていながら教えなくて悪かったわ」

楓が頭を下げる姿を見て類も慌てた

「頭を上げて下さい…俺は楓社長に感謝しています。牧野を守ってくれて本当にありがとうございます。あなたがいなければ牧野はどうなっていたか…
それにあの時俺は…司にだけは助けを求めようと思わなかったんです。
俺のちっぽけなプライドが邪魔したんです、牧野を忘れた司にだけは頼りたくなかった。記憶が戻って彼女からこの5年の事を聞きました、最初は信じられませんでした。彼女を嫌っていたあなたがここまでしてくれていた事を」

西田も下がり2人はソファに座る

「ふふ そうね。つくしさんもそう言っていたわね…でもね、記憶を失くしてからの司は手がつけられなかったでしょう?私だって母親だからつくしさんの存在が大きかったってわかったのよ、でもあの時の司では彼女が傷つくだけだと思って見守る事にしたの。だからあなた達が付き合いだした時は落胆したわよ」

「そうだったんですね…パパさん達の好条件の就職を牧野は疑っていたけど
俺達は何も知らなかった。まさかあなただったなんて…女子寮もそれなら納得です笑 」

「彼女は真面目だからあなたのマンションに住む事もしなかったわね。でも寮だったからあの日の異変に気づけたのよ。もう少し遅かったら流石に居場所を
探すのは難しかったでしょうね。神様もちゃんと味方してくれていたわ…
あの場所の管理が山中の両親だったもの。つくしさんはね、ずっと信じて努力していたの。花沢に相応しいと言われる為にね…」

「あの人らしい傲慢なやり方ですよね…牧野が断れないように仕向けて。楓社長が英語のテキストや音声教材を送ってくれたから信じられたのだと思います。
俺は白井親子も俺の父親も許す事は出来ません…必ず俺の手で地獄に落とす」

「私が今日ここに来たのはその話しをする為よ。あなたの気持ちは理解出来るわ。でも…あなたがそれをしたらつくしさんはどうなるの?彼女はそれを望むかしら?類君…あなたにとっての1番は何?」

「それはもちろんつくしです!だから…彼女を酷い目に合わせたあいつらが許せないんです。あいつらはどうしてるんですか?」

「琴音は結婚したわ、でも相手が悪かったの。白井病院は臓器売買の裏取引に加担し今、警察に追われているわ。琴音は薬漬けにされて海外に売られる所だったの。まぁ自業自得でそのまま放っておいても良かったのだけれど… それでは
私達の気も治らないから…助け出して今はある場所にいるわ。
あなたのご両親は…亜里沙さんは生きる気力を失くしてスイスで療養していて
護さんは会社を譲り看病しているの。」

「白井親子を助け出したと言っていましたよね?今、どこにいるんですか?」

「それはあなたが私の提案を呑んでくれたら話すわ。さっきも言ったけれど、私達もつくしさんを酷い目に合わせた白井親子を許せない。でも…私達が犯罪者になったら1番悲しむのは誰?つくしさんでしょう?だから直接手は下しません。
類君、あなたにもそれは約束して欲しいの。どんなに恨んでいても自分の手で
何かしようとしないで!必ず2人には地獄を見せるから」

類は直ぐに返事が出来なかった…

「つくしさんに知られなければ…そう思っている?でもね、あの2人は自分の手で地獄に落ちた方がいいわ。その為の準備は出来ているの、司もあきら君夫婦も
総二郎君も滋さんも手を貸してくれたわ。みんなあの2人を許せないのよ!
そして…あなた達に幸せになって欲しいの」

類の瞳から涙がこぼれた
「わかりました約束します。あの…母は大丈夫なんですか?」
「一時はかなり衰弱していたわ。食事も摂らない状態はつくしさんと一緒ね。
実はこの前、あなたの無事を伝えに行ったの。すごく喜んでいたわよ。今はだいぶ元気になったと聞いているわ。お会いになる?」
「いえ…会いたくありません。俺は花沢の名前は捨てようと思っています」
「類君…ご両親は本当に後悔しているわ。白井はとても頭の切れる男で娘の為なら何でもしたわ、人の良い護さんは琴音の病気を本当に信じていたの。
つくしさんの事も海外で普通に暮らしていると思い、あなたとの結婚も許すつもりだったのよ。全てを知って…彼もつくしさんを探していたわ。護さんはあなたが生きている事よりつくしさんが生きている事に涙を流して安堵していたもの」
「それが傲慢なんです…牧野は俺にとって全てだった!それなのに俺を海外に出張させその間に彼女を隠した。
父は俺に言ったんです。彼女も半年我慢すれば花沢の嫁になれると喜んで受け入れ普通に生活しているから心配要らないって…牧野はそんな女じゃない、俺の為に身を引いたんだって何度も言ったのに聞いてくれなかった。
あの女の病気なんて嘘だって最初からわかっていたからそれも何度も言いました。でも…父は白井の言葉の方を信じたんです」
「あなたも辛かったわね。」
「俺は現実から逃げ出してしまいました…牧野の方がずっと辛かったと思います。もう彼女には辛い思いはさせません」
「ええ。その為にも私たちは犯罪者になってはいけないのよ。」
類「はい…白井親子をどうするつもりなのか教えていただけますか?」
楓は類の目の奥にあった怒りの炎が消えたと感じ話し始めた

「2人は今、滋さんの所有している島で軟禁状態になっているの。琴音は結婚相手に薬物中毒にされて海外の売春組織に売られる所を助けて薬を抜いてあげたわ
正常な状態でつくしさんの苦しみを味合わせる為にね。島につくしさんが暮らしていたのと同様な家を建てて生活させてみたの。食糧はドローンで週に一度落とした。娯楽は何もないけれど本だけは置いてあげたけど読まなかったわね
料理も洗濯もできないみたいで最初の1週間で汚部屋になったわね。
父親は琴音の義理の父親に弱みを握られて臓器売買に手を出したのよ…犯罪よね
流石に警察にもマークされたから事前に救い出したわ。そして自分の体を今度は提供してもらったのよ。今は取り出せる所が無いくらいに弱っているけれど
まだ死なれては困るから優秀な医師に任せているわ。2人は同じ島にいる事も
知らないの。」

「流石ですね…一目、白井に会う事は出来ますか?約束は守ります」

「あなたにはその権利があるとは思っているわ。彼に引導を渡すのはあなたの役目ですものね。つくしさんに知られないように調整するわ」

「ありがとうございます」

長い話が終わると今日はつくしには秘密で来たから改めて会いに来ると言って
屋上のヘリポートから帰っていった。



花より男子の類ファン、原作の切ない類を幸せにしたくて類スキ向けにお話を書き始めました。老化防止の為に妄想を巡らせるおばちゃんです。拙い文章ですが応援していただけると励みになります。よろしくお願いします