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パズル58(2次小説:類つく)

##白井親子が自分の罪と向き合う話しです。楽しいお話でも救われる未来でもありませんので、読みたくない場合はスルーして下さいね。読まなくても支障は無いです。##

スクリーンを見つめて驚く類達に控えていたBGが小声で
BG「これは楓社長に頼まれて美作夫人が隠し撮りした映像だそうです」

確かにこれはメープルロンドンのあきら達の部屋のようだ。赤ん坊を抱いて
あやしているつくしに話しかけている…
桜子「ねぇ先輩…あの親子が今どうしているか気になりませんか?」
つくし「あの親子?」
桜子「白井ですわ。先輩はあの2人を恨んではいないのですか?」
つくし「あぁ…あの人達ね。う〜ん 恨んではいないよ。あの人達のやった事は
許されない事だとは思っているけどね。どうして?」
桜子「あきらさんに聞いたんですが…白井病院が閉鎖されたようです。かなり危ない事に手を染めて警察から逃げているらしいですわ。私は絶対に彼らを許しません!話を聞いて自業自得だと思ったので、先輩はどう思っているのかなぁと
ちょっと気になりました。」
つくし「そうなんだ…私ね、あの頃…自分に自信がなかったの。類との将来にも
不安があったんだよね。いつかは離れなきゃならないかなぁって…弱かったんだよ。だからあの人達の言葉に従っちゃったんだよね…
そのせいで類やみんなにすごく心配させたよね〜本当にごめん」
桜子「先輩が謝る事なんて何もありませんわ」
つくし「ありがとう、桜子。 ふふふ それにね、琴音さんがちょっと羨ましかった。自分の娘の為にそこまで考えるのかぁ〜って。ほら、うちのパパやママは
いつも私を頼りにしてたからさ。琴音さんの病気は誤診だったらしいけど、類を愛する気持ちは本物だったと思うよ。私は今、類がそばに居てくれる。生きていてくれただけで十分幸せだから、あの親子の事なんて考えた事も無かったよ」
桜子「相変わらずのお人好しですわね。でもそうですね、あんな親子どうだって
いいですわ。でも…類さんはどう思っているんでしょう?」

スクリーンを見つめながら類は涙が止まらなかった。後ろからケビンの鳴き声も
聞こえた。そしてベッドに拘束されている白井も嗚咽を漏らしながら泣いていた

つくし「類?う…ん。あの親子の事を話題にした事は無いけど、お父様の事は
許せないみたいなんだよね…」
桜子「まぁその気持ちはわかりますわ。ご自分の息子の言葉よりもあんな男の
言葉を信じたんですもの。酷いです」
つくし「類のお父様だよ?類と一緒でピュアなんだと思う。自分の親友のピンチに何かしてあげたいって気持ちで動いたんだよ。類も私がピンチの時はいつも助けてくれた…私が道明寺と付き合っていた時だって側で支えてくれていたもの
きっとお父様もそうだったと思うんだよね。優しい人なんだよ
道明寺に聞いたんだけどね、類が行方不明になった後お母様は倒れちゃったらしい。お父様が会社も人に譲って看病しているんだって。2人とも辛いと思うよ
息子の言葉に耳を傾けなかった事をきっと後悔していると思う。だから類には
許してあげて欲しいな。少し時間はかかるかもしれないけどね」
桜子「まったく…バカがつくほどお人好しですわ先輩は!
私なら…全員まとめてお仕置きしちゃいますわ」

つくし「バカは酷いよぉ〜ふふ。お仕置きなんてしたって私は幸せな気分には
なれないよ。それよりもいつか…類の奥さんとしてご両親に挨拶したいな。
それでね…子供が生まれたらみんなに祝福されたら嬉しい。
ねぇ桜子、私の事を類のご両親は許してくれるかな?」
桜子「何言ってるんですか!あの人達が先輩にちゃんと謝罪して許しを乞うべきですわ。そうしなければ私は許しませんよ」
つくし「ありがとう桜子。あんたにはいつも勇気をもらってるね」
桜子「先輩…私はこれからだってずっと先輩の味方ですからね!離れませんから」

スクリーンの映像はここで終わった。

類は涙が止まらなかった…
あきら「あいつらしいな…本当にすげぇよ」
ケビン「彼女は慈愛の女神の化身です」
2人の頬も濡れていた。

そして白井も声を出して泣いている
白井「類君…つくしさん…すまない。
私達親子は取り返しのつかない事をしてしまった
君達が生きていてくれて本当に良かった。
出来る事なら彼女の前に土下座して謝りたい。
私はあんなに心の綺麗な女性になんて事をしてしまったんだ…

類君…君に殺されるなら本望だと思っていたが、それは
間違いだと気づいたよ。私なんかの為に君が手を汚してはダメだ
自分の罪は自分で償うべきなんだ」

あいつの言葉に嘘が無いと初めて思った。
俺は何も言わず部屋を出た。扉の前には楓さんが待っていた
「よく我慢したわね。」
「つくしのおかげです。楓さん、ありがとうございます」
「お礼なら桜子ちゃんに言ってあげて、彼女だからつくしさんの本音を
引き出せたんだと思うわ。あきら君も良い奥さんをもらったわね」
あきら「ありがとうございます。俺もそう思います」
「彼女には帰ったら俺もお礼を言うよ」
あきら「あぁ たまにはあいつに牧野を貸してやってくれよ」
「…善処する」

楓さんが部屋に入り俺達3人はドアの外でモニターを見ている

「気分はいかがかしら?」
白井「自分が恥ずかしいです…私達親子のせいであの2人を長い間、苦しめて
しまっていた事は許される事ではありません。
私は学生時代から亜里沙さんに憧れていたんです。全てを持っている花沢が
羨ましく…憎かった。娘が類君に恋をしたと知った時に自分の叶わなかった想いをどんな事をしても叶えてやろうと必死になった。バカな男ですよね…
私は親として琴音に今の自分の気持ちを伝え、彼女にも深く反省をさせたい
もう一度だけ彼女に会わせてもらえませんか?もし彼女が本当に反省出来たら
命だけは助けてやって欲しい…でもモニターで見た琴音には難しいでしょう
その時は…私の手で…」
体力が尽きたようで白井はそのまま気を失った。医師は直ぐに処置を始める

「彼の望みを叶えてあげましょう。何日くらい必要?」
医師「栄養剤を1週間投与し続けて30分が限界だと思います」
「わかったわ。そうしてあげて」

その後、施設の応接室に4人は戻った。
「類君、ここに来た時とは別人の様にスッキリした顔になっているわよ。
ロンドンで約束はしたけれど、会わせるのは正直不安もあったの。だからあきら君やケビン氏も着いて来てくれたのよね?」
ケビン「はい。あの部屋に入る時ルーニーは体に力が入っていました。
私だって本人を見たら殴りたい衝動に駆られましたからね」
あきら「でも…牧野の言葉で全てが変わった。あの白井でさえ号泣したんだからな。あの涙は本物だったぜ」
「記憶が戻っても…白井の事を話題には出来なかった。口にもしたくなかっただから、つくしの気持ちを聞けて涙が止まらなかったんだ。あんな目に遭っても
彼女は人の善意を探すんです。父親の事だってあんな風に考えているなんて
知らなかった。お人好し過ぎますよね…でもそれがつくしなんです。
俺は…彼女を悲しませる事はしたくない。白井を憎むのも今日で終わりです…
父の事は…まだ許せないけれど、つくしと一緒ならその気持ちも徐々には
薄れるとは思います」
「それで良いと思うわ。娘の方はどうする?
モニタールームから話しは出来るのよ」
「そうですね…一言言ってやりたいです」

楓さんに案内されてモニタールームに入った。先ずはどんな暮らしぶりなのか
部屋を写しているカメラを見せてもらう事にした


花より男子の類ファン、原作の切ない類を幸せにしたくて類スキ向けにお話を書き始めました。老化防止の為に妄想を巡らせるおばちゃんです。拙い文章ですが応援していただけると励みになります。よろしくお願いします