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パズル8(2次小説:類つく)

※このお話は花より男子の2次小説(類つく)です。作者様・出版社様とは関わりがありません。妄想の世界へようこそ…

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〜つくし回想〜

ここはどこなんだろう…ボ〜ッと窓から見える景色を眺めながら考えていた。


結局、私は類の父親の提案を受け入れるしかなかった…それでも大学だけは卒業したいとお願いし卒論を提出する事は出来た。単位は問題なく取れていたし卒業は大丈夫だと思う。卒業証書は実家に郵送してもらう手配も済ませた。残念だけど保育士の国家試験は来年受けれたらいいな…

両親にはしばらくの間、海外留学出来ることになったと伝え安心してもらったけど、美作さん、西門さん、桜子への連絡は許してもらえなかった。不安を抱えながら荷物をまとめたけど、パパの会社の寮だから家具など購入した物もなくて、食器類と持っていかない衣服を実家に送り、小さなスーツケースに少しの着替えだけを詰め、あの日からたった5日で私は白井さんの用意した車に乗り込んだ。

車に乗り込んだ途端、私は睡魔に襲われ気づいた時には見知らぬ部屋のベッドの上だった。いくらなんでも眠ったまま海外へ出ることは出来ないよね? 窓から見える景色は山ばかり…きっと日本のどこかなんだろうなぁ。たった1人…あの日からの日々を思い返し、騙されたのだろうかと考える。

類のお父様は白井さんの海外にある別荘で私は類との将来のために花嫁修行を送れば良いと言ってくれ、日本語の話せる家庭教師も待っているから半年間だけ我慢して欲しいと頭を下げてくれた。ただ…その間は類との連絡は一切取らないようにと約束させられ携帯電話も解約した。

白井さんには生活の面倒をみる代わりだと誓約書を書かされた

『私、牧野つくしは白井琴音さんが生存している限り花沢類さんと関わりません。この誓約を破って場合は花沢社長との約束も反故され、類さんとの将来も諦める事を誓います。』

あくまでも形だけだと言いながらも強引に私にサインを求め、名前を書いてしまった…

窓からの景色をボ〜ッと眺め、この先のどうなるか不安に押しつぶされそうな心に信じようと言い聞かせていた

山の中にポツンと建っている一軒家で囲いの向こうは深い森のようで逃げ出す事は無理だと早々に諦め、部屋の中を確認すると寝室とLDKで冷蔵庫の中には食材もたくさん入っていたし自炊する道具は揃っている。テレビやラジオなど外の情報がわかるものは用意されてなかったけれど本だけはたくさんあった。カレンダーなどもなかったけど、自分で印を付けて1週間が過ぎた時…

囲いの外に車が止まり新しい食材を持った男女が入って来た。久しぶりに見る自分以外の人間だった

つくし「こんにちは あの…ここはどこですか?今日は何月何日ですか?」

変な質問になってしまったけど、2人は何も答えてはくれず

男性「私達は週に一度、食材を運んで来るように言われています。もし来週欲しい物があれば言って下さい。ただし…新聞や雑誌など世間の情報がわかる物はお届け出来ません。時間はたくさんあるでしょうから、これを聞いて過ごすようにと預かって来ました。」

食材をキッチンに運んでくれ、テーブルに置かれたのがCDプレーヤーとディスクが5枚、テキスト。後で聞いてみたら英会話や音楽。これが家庭教師の代わり?

女性「生活用品も必要な物は私に言って下さい、紙に書いてくれても大丈夫よ。ディスクは毎週新しい物が届くから1週間でマスターして欲しいとの事です。」

たしかに時間はたくさんあったから、これはとても嬉しかったし希望になった。この課題をマスターすればきっと類に会える…そう思って一生懸命頑張った

山の景色が紅葉になった頃、毎週食材とディスクを持って来てくれる男女がご夫妻で、白井さんの指令でここに来ていると教えてもらえ 会話も少しは出来るようになった。食材の好みも理解してくれたみたいで料理のレシピなども用意してくれた。英語ディスクの難度も上がりテキストが入っている事もあったけど、これは白井さんが用意してくれた物ではないんじゃないか?と思うようになって聞いたけど、それには答えてくれなかった。

山の景色が冬になり…春の訪れを知らせてくれる。 毎日バツ印をつけた数字があれから半年になる事も告げてくれている…あと少しで類に会えるのかなぁ…  と考え、  それは琴音さんが亡くなった事も意味すると複雑な気持ちにもなってしまった。

でもあの日…私の前に現れたのは類でも…白井さんでもなかった

パズル8 つくし21歳 回想






花より男子の類ファン、原作の切ない類を幸せにしたくて類スキ向けにお話を書き始めました。老化防止の為に妄想を巡らせるおばちゃんです。拙い文章ですが応援していただけると励みになります。よろしくお願いします