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パズル52(2次小説:類つく)

男だけが残った部屋で…

「あきら、牧野の後輩と結婚したんだね。気を効かしてくれたみたい」

あきら「今頃かよ! あぁ牧野の前では話し難い事もあるしな」

「あいつらはどうしてるの?俺は父親も白井親子も許せない。」

「俺たちだって許すつもりは無いぜ。その辺は明日、内密にお袋がお前に会いに来る。今後の事はその時でいいか?先ずは船での事を聞きたい」

「わかった…俺は白井からあの船で牧野を解放すると言われ乗ったんだ。パスポートから海外にいると思っていたからね。あの時はあんな写真を撮られて焦った。早く牧野の誤解を解きたいって…でも乗船したらあの女も乗ってたんだ。
また騙されたとわかったけど降りる事も出来ない。最初の港で牧野は乗船して
来なかった。あの女と顔を合わせるのが嫌でずっと狭い部屋の中にいたけど
夜だけはデッキに出た。それを見張りが報告したんだろうな…あの夜、デッキで
見ていた牧野の写真を後から奪われて…『彼女はもう死んだ』そう言った
もちろん信じなかったけど…写真を見せられたんだ。酷い写真だったよ…
顔にも殴打の痕があったけど牧野だった…信じたくはなかったけどね。
自殺するつもりじゃぁ無かった、でもあの女の投げた俺の写真が海に落ちそうに
なった時には自然に体が動いた。その後の事は知ってるよね?」

総二郎「琴音とお前を見張ってた女は落ちてから2時間以上助けを求めなかった。
捜索した場所が全然違っていたんだ。お前の親父は人を雇って必死に捜索していたぜ。俺たちも調べた…でも何も掴めなかった」

「牧野がロンドンに来てから、あの船の関係者からあの女ともう1人デッキに女が居た事を掴んで場所も特定出来た。お前の見張りだったやつは白井の愛人だったんだ。それでいろんな事がわかった来て…あきらからの報告とも繋がってた」

あきら「桜子が牧野がルーニー・ブラウンの大ファンだから原書をお土産にと言うからさ、買って俺も読んだ。確かに挿絵の女の子が牧野に似てるなぁとは
思ったぜ、でもまさか本当に類だったとは驚いた。ロンドンでケビンにロンを
ルーニーだと紹介された時、俺は黙って聞いていた牧野をどう慰めようかと心配だったのに…あいつは直ぐに嘘だと気づいてた。」

「俺は牧野が死んだと思って現実から逃げ出したんだと思う。ケビンが俺の頭に浮かんだ言葉を繋げてくれてファンタジーになった。それを初めて読んで、俺はその中なら彼女を生かせると思って必死に言葉を紡いだんだ…俺だけじゃぁ
ルーニー・ブラウンは生まれなかったよ。今は記憶も両方ある状態なんだ…
記憶を失っていてもあの島で牧野に会えた時は心が震えた」

あきら「キャンディって呼んで離れようとしなかったもんな。あの島の人はお前がルーニーだって事も知らない。丘の上の天使様と呼ばれていたぜ〜」

「クスッ…もう天使の類はいないって牧野に昨夜言われたけどね」

俺の言葉の意味がわかったように司の顔が赤くなった。

総二郎「記憶が無くても牧野に自分の存在をあいつだけがわかる方法で発信して
いたんだから、まぁ司、仕方ないな。お前は記憶を失くした時に牧野に酷い態度だったからなぁ〜」

「ふん。昨日の震えてた類を見た時は唖然としたぜ、俺は本気で牧野を連れて帰ろうと思った。でも…お前が『牧野』って呼んだ途端に俺の手を振り払ってお前の所に走って行ったんだぜ?助けたのは俺なのによぉ〜」

「クスクス 司には本当に感謝してる…あの兄妹には改めて俺からもお礼をするよ。牧野にあんな真似して許せないからね」

あきら「司の野生の勘も大したもんだよ。牧野の窮地をまた救ったな
お前達って似てるよな?2人とも牧野のピンチで記憶が戻ったんだから」

「俺は…司と牧野の会話を聞いていて『昔も少し離れた場所で2人の楽しそうな言い合いを羨ましく聞いていたなぁ』って思ったんだ。お前らが島に来るって聞いてからずっと何か不安で頭が痛かったんだ…あの姿を見て俺の中のもう1人の俺が司には渡せないって飛び出したんだと思う。ありがとね、司」

「ふん 勝手に言ってろ!でも2度と牧野を泣かすなよ」

「うん。約束する。牧野が生きていてくれて本当に良かった…まさか司のお袋さんが守ってくれていたなんてね。早くお礼が言いたいよ
でも…あのパスポートは本物だった。暗いとは言え…あの遺体は牧野に見えた
あれは誰だったの?」

あきら「白井は入院費が払えない患者の娘に返済の代わりに整形させて牧野の
パスポートで海外に行かせたんだ。だからパスポートは本物だったんだろうな」

「そうか…白井って腐りきってるな。その女性は酷い殺され方だったよ、それを見て俺は絶望したんだ。牧野には話してないよね?」

あきら「あぁ もちろんだ」

「ありがとう。牧野は司の息子の家庭教師をしているって言ってたよね?」

その後、牧野が生きる気力を失くしていた事や翼君との事などをみんなが教えてくれた。白井からも完全に隠してくれみんなに支えてもらっていた彼女の5年の日々に思いを馳せる…司はどんな気持ちで牧野のそばにいたんだろう。今の俺のことをどう思っている?でも…司は牧野が笑顔でいる事をきっと1番に望んでいる
かっての俺がそうだった様に。だから俺もその為に頑張るからね…

*****
女子部屋では…

つくし「陸君、大きくなったねぇ〜ますますパパに似て来たね。」
陸を抱いて頬ずりをする。
桜子「もう5ヶ月になりましたわ。先輩も早く女の子を産んでくださいね、陸のお嫁さんにしたいですわ」
つくし「////気が早すぎるよ…」
真っ赤になって照れるつくしの姿がなんだか懐かしいと優紀は思う
優紀「でも本当に良かったね、つくし。私もルーニーの作品は読んだけどまさか花沢さんが書いていたとはねぇ〜今でもちょっと信じられないよ」
桜子「これからどうするおつもりですか?私としては日本に帰国していただきたいですわ。お母様も妹達もそう願っています」
つくし「ありがとう。類とはまだ何も話してないの…検査やいろいろな手続きがあるからしばらくはロンドンに滞在してもらうってケビンは言ってたけどね。」

桜子は『ケビンさんは私の強敵になりそうだわ…きっとあの島で生活して欲しいと考えているはずだもの…』考えていた

つくし「あのさ…翼はどうしてるかな?知ってる?」
桜子「翼君はロスの椿さんの所で暮らしていますわ。あちらでプレスクールにも通い始めて4月からは入るキンダーガーデンも決まっているそうですわ。
楓社長もだいぶ仕事をセーブしているようです」
つくし「楓さんが?それは翼も喜んでるね…良かった」
優紀「つくしは今度こそ自分の幸せを1番に考えないと!すごい遠回りしたんだからね!今日は久しぶりにつくしの本物の笑顔が見れて嬉しい!!」
優紀がまた泣き出しつくしも桜子もそれを見てまた涙が溢れた
つくし「優紀…桜子、いっぱい心配かけてごめんね。私…すごく幸せだから」

1時間ほどして『眠くなった』と類がつくしを迎えに来てその夜はお開きになった

 


花より男子の類ファン、原作の切ない類を幸せにしたくて類スキ向けにお話を書き始めました。老化防止の為に妄想を巡らせるおばちゃんです。拙い文章ですが応援していただけると励みになります。よろしくお願いします