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パズル69(2次小説:類つく)


『私がルーニー・ブラウンです』
その言葉の威力は絶大で会場が揺れるほどの衝撃だったろう
誰もが次の言葉を待ち静かになった時

「ご存じの方もいると思いますが6年ほど前、私は客船から転落し海に投げ出され意識を失いました。偶然、近くにいた漁師が私に気づいてくれ一命を取り留めましたが目覚めた時に記憶を失ったようです。そんな私をここにいるケビンの家族やDrが助けてくれたのです、私は心を閉ざし現実の世界から目を背け何かを
ブツブツ囁いていたそうです。ケビンが紙とペンを渡してくれ、そこに頭の中にある物を殴り書きしていました、それが始まりでした。」

「その頃の話はMr.ケビンに話してもらいます」

ケビン「ケビン・ハドソンです。その頃、私は小さな出版社で編集の仕事をしていました。彼の殴り書きを初めて読んだ時は驚きました…
文章というより心の叫びのような不思議な物語だと感じ、彼に尋ねました。
彼は「妖精が見える…彼女に会いたい」そう言ったのです。彼の殴り書きと言葉をまとめて最初の作品が出来ました。それを彼に見せると…スラスラと手直しを
始めたんです。私は編集者としてそれを発表したいと思い本にしました。
彼は1つ書き上げると「まだ妖精のままだった」そう言って次の話を書き始めるんです。もう天才だと思いました…
彼の小説は思った以上の反響でベストセラーになりました。
でも彼は現実世界で生きていなかったので誰にも会わせる事は出来ませんでした。ルーニーと言う名前はDrが治療でいろいろな名前で呼んだ時に唯一反応した
名前だったのでそう呼ぶ事になりました。ブラウンは髪の色からです」

「今は記憶が戻り私達とも連絡が取れるようになりました。ケビン社長は彼の記憶が戻った時のためにといろいろと手を打ってくれていたので以前の出版社とも円満に話が進み、ルーニー・ブラウンの為の会社を設立することが出来ました。
彼は今後も作家ルーニー・ブラウンとして活動する事を決めたので道明寺HDと
美作商事が協力させて頂きます。細かな契約については資料を配りますので
ご確認下さい。」

その後、楓社長、美作社長からも契約についての話があり、ケビン社長は
アップスター社の社長として挨拶をした。ルーニー・ブラウンの書籍は世界中で
ベストセラーになり莫大な売り上げを誇っている。謎に包まれていた作家の正体が日本では有名な人物だった事は大きなニュースだ。誰もが彼の空白の時間に
興味があり質疑応答を求めた

経済紙の記者は花沢物産が独占契約に入っていない事に疑問を持ち質問する

「私が行方不明になった時に母が倒れ父親は社長を退陣したと聞いています。
現在は新しい首脳陣の元、社員が一丸となり頑張っているようです。
花沢物産と言う名前は残っていますが、私は属していません。道明寺HDや美作商事とは仕事の繋がりもあるようですので何かあればそちらと話していただきたい。」

記者「6年前は新婚旅行中の事故だったと記憶しています。記憶が戻られて
奥様には連絡は取られましたか?」

その質問に類の表情が強張る
「新婚旅行中?そんな記憶はありません。」

ザワザワと何か言い出した記者達に
「その件はこちらの方に話してもらいましょう」

壇上にスクリーンが降り花沢護の姿が映し出された。
類も何も聞いていなかったようで驚いている

*******

お集まりの皆様、6年前の騒動について彼の父である私から
真実をお話しさせて下さい。

全ては私の浅はかな思い込みから始まりました。
私の友人の娘が不治の病に侵され最後の望みを叶えてあげたいと
私の元を訪ねて来ました。『娘は君の息子にずっと憧れていたから
せめて婚約者のふりをしてくれないか』との頼みでした。
私はその申し入れを受け類に話しましたが、彼は心に決めた女性がいるから
そんな嘘はつけないと断って来ました。類の意志が変わらないとわかり
友人と2人、その女性にお願いをしたのです。心優しい彼女は断れないと
わかった上での行動です。それどころか彼女を友人は軟禁し類を脅しました。
結婚式の写真を撮ってくれれば彼女の居場所を話すと言われて類は渋々
教会に行ったのです。極秘のはずが報道陣に囲まれ騙された事に気づきました。
類はずっと騙されていると私に訴えてていましたが私は友人の言葉を信じて
協力していたんです。
あの船にも類は1人で乗りました。彼女をその船に海外で乗船させると約束した
からです。新婚旅行のはずがありません。友人の娘の病気も嘘でした…

その友人親子は今、別の罪で警察に追われていると聞いています。
これ以上の話は控えさせて下さい。

息子と息子の愛する女性には取り返しのつかない事をしたとわかっています。
ただ…真実だけは私の口から話したいと思いこの形を取らせていただきました。

皆様 よろしくお願いします

***** 

会場が驚きに包まれていた。

「この件の首謀者は今警察に追われ行方不明と聞いています。これ以上は
お話する事も出来ません。質問もありませんわね?
今後、この件について報道したり記事にされた場合には道明寺、美作、西門流
そしてウォルトンはその会社にはいっさいの情報は流しません」

日本企業だけでなくウォルトンの名前を出されてはどこもそれ以上を追求
する事は出来ない。

記者「ルーニー氏はいつ、どのような経緯で記憶が戻ったのですか?
記憶が戻って友人の皆様に連絡が来たのですか?」

記者達は次の疑問を投げかけた



花より男子の類ファン、原作の切ない類を幸せにしたくて類スキ向けにお話を書き始めました。老化防止の為に妄想を巡らせるおばちゃんです。拙い文章ですが応援していただけると励みになります。よろしくお願いします