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パズル37(2次小説:類つく)

このお話は花より男子の2次小説(類つく)です。作者様・出版社様とは関わりがありません。妄想の世界へようこそ…

美作商事 ロンドン支社 
屋上へリポートはいつでも飛び立てるように準備が出来ていた。

あきら「ハドソンさん、今日は妻も一緒に島に向かいます。ここからだと2時間はかからないですよね?」

ケビン「よろしくお願いします。今日は天気も穏やかですしそれくらいだと思います。島にはへリポートは1つしかありません。そこからは車で彼のアトリエまで向かいます。15分ほどで着きます」

途中、海の上でケビンが『父がルーニーを助けたのはこの辺りだったと聞いています。』そう教えてくれた

つくし「こんな海の真ん中で見つけてもらえたって奇跡ですね…」
本当にいくつもの奇跡が重なって類の命は助かったんだろう。

ケビン「あの島です。島民は農家、漁師、林業とこの島の自然と共に生活しています。観光産業も盛んでないので週に2度の定期船があるくらいですね。」

海に囲まれ、それほど高くはないが山並みも綺麗な島に到着した。
迎えの車に乗り丘の上に建つ病院の入り口で降りると白衣の初老の男性が待っていてくれた。
ケビン「こちらが島の医師のピーターです。ずっとルーニーを診てくれています。」
ピーター「初めまして、ピーター・ハロルドです。ケビンから話を聞いて驚いています。あなた方が探している人物と彼が同一人物かはわかりませんが…会う前にお願いがあります。彼は若い女性を恐れます…出来れば最初はケビンと男性が入る方が…」

ケビン「いや…ピーター、彼女1人でアトリエに入ってもらいましょう。ここまで探しに来たんだ、まず自分の目で確かめさせてあげたい。私が近くで控えています。もし彼が怯えたら、直ぐに出てもらいますので」

ケビンの言葉に医師も了解してくれ、裏庭に建てられたアトリエにみんなで向かった。
ケビン「ここでルーニーは暮らしています。最初は珍しくて島の女性達が覗きに来たり大変だったので監視カメラをいくつも付けて警備も強化してます。この奥の海が見える部屋でルーニーは制作しています。美作さん達はこのロビーのモニターを見ていて下さい。普段ここは警備員が待機しています」

あきら「牧野…1人で大丈夫か? 」
つくし「うん…さっきから震えが止まらないけど…このドアの向こうに類がいると考えるだけで泣きそう…行って来る」

つくしはトントンとドアをノックして部屋にゆっくりと入って行った。彼は部屋の真ん中の大きなテーブルに向かって何かを書いていた。後ろ姿を見ただけでつくしは涙が止まらなくなってしまう

つくし「類? 類でしょう?」

つくしの声に振り向くと…

ルーニー【キャンディ…やっと戻って来てくれたの?】

つくしの元に歩いてきて確かめるように抱きしめ「もう消えないで…」ポロポロと涙を流していた。つくしも類を確かめるようにその背に腕を回した。その様子をドアの所で見ていたケビンは『ルーニーが怖がっていない…』呟いた。

ケビン「ルーニー、大丈夫かい?」

チラッとケビンの方を見て「キャンディが戻って来てくれた」英語で答える姿はいつものルーニーだけど…ずっとつくしを離さない。

ケビン「つくし、ルーニーは君の探していた人に間違いないの?」

ルーニーがつくしを離さないので顔だけをケビンに向け「えぇ 類です。」答える彼女は涙でもう目が真っ赤になっている

【キャンディ、こっちに行こう】

ルーニーはキッとケビンを睨むとつくしの手を引いてテーブルに促し座らせ

ルーニー「ケビン バイバイ」 ケビンに出て行けと言っている。

ケビンはそっと部屋を出るとあきら達の待つロビーに戻り…

ケビン「驚きました…あんなに感情を表すルーニーは初めて見ました…それに…  つくしには日本語で話しかけたんです!」

あきら「モニターで見ていました。彼は花沢類で間違いありません。本当に類だった、あいつは生きていたんです」

桜子「花沢さんは昔から先輩にしか感情が動かない方でしたので、なんだか懐かしい気がしましたわ。でも…キャンディと呼ばれていましたよね?記憶が戻ったわけではないようですね。」

ケビン「ルーニーはキャンディが戻って来たと言っていました。まだ現実と本の世界の区別がついていないのかも…でも私を追い出したんですよ?いつもなら若い女性が近づくと震えて部屋の隅に逃げ出していたのに…信じられない。」

話しながらもモニターに目をやる3人。ルーニーはテーブルいっぱいに並べられた紙を見ながらつくしに話しかけているように見える。つくしもニコニコとそれを聞いている…その2人の手は繋がれたままだった。

ケビン「私達も部屋に入りましょう」

あきら達が入って来ても類は気づかないでつくしを見つめて話をしていた。つくしは気付き…

つくし【美作さん…桜子…やっと会えたよ…類は生きていたわ】

また涙を流し始め…

あきら「あぁ 良かったな…早くみんなにも知らせないとな」

桜子「先輩…やっぱりお2人はソウルフルメイトでしたね。離れていても通じ合っていたんですね…本当に良かった」

桜子の声が聞こえた途端、類はドアの方を見て震え出した【来るな…嫌だ…】そう言うとつくしにしがみついて【ダメだよキャンディ…もう消えちゃ嫌だ…】

つくし【類?私はどこにも行かないよ】

それでも類の震えは止まらず気を失った…ケビンは直ぐにドクターに連絡し  ルーニーを隣の部屋のベッドに寝かせた。

ケビン「すぐにドクターが来てくれます。心配は要らないと思いますよ…ルーニーは若い女性に拒否反応を起こすんです。前に島の女性が誘惑しようと部屋の窓から侵入した時はかなりの拒否反応で鎮静剤を打って落ち着かせました。今日はつくしがそばにいたので気を失うくらいだったのかな?」

ドクターは直ぐに駆けつけてくれ診療してくれ、問題は無いだろうと言った。

ドクター「ルーニーは現実と本の世界の境目のような所で生きているんだと私は思っています。あなたがルーニーにとってとても大切な女性だった事は推察出来ますが、他の女性への拒否反応を考えるとまだ何か心の葛藤があって現実に戻って来ないのかな…彼に何があったか、今後の治療の為にも聞かせてもらえますか?私もルーニーの病状などをお話しします。」

類は鎮静剤で眠っているので2、3時間は目覚めないだろうとこのままアトリエで話をする事になった。ケビンにも同席をお願いし…

あきら「もう1人、当時の事をよく知っている人物がいますのでここに呼んでいいですか?」別便のヘリで島に到着していた山中のチームは島を調べていた。

類のアトリエでドクター、ケビン、あきら、桜子、つくしと山中の6人が揃った。

ドクター「ルーニーがこの島に来た経緯はケビンから既に聞いていると思います。私は彼の記憶を戻す為に今までの事を聞きたいです、お話しいただけますか?」

あきら「はい。彼は花沢類と言って日本人、僕達と同じ28歳で彼女の恋人です。」

ドクターはメモを取りながら話を聞いた。つくしは類との楽しかった日々、そして類の父親と白井が類の不在の時に訪ねて来てからの事を話し始めた…

つくし「類と最後に会ったのは21歳の9月…彼がドイツに出張に行く日でした。その日に…彼の婚約の話を聞かされ誰にも相談もせずに2日後には彼らの話を承諾してしまいました…私が弱かったんです。この条件を受け入れれば類とずっと一緒にいられると考えてしまいました。」話しながら涙が頬を濡らす。あきら達も詳しい話は初めて聞いたので、桜子は怒りに震えていた

桜子「先輩は何も悪くありませんわ。花沢さんのお父様がご一緒に訪ねて来たんですもの…その選択しか出来ないですわ」

白井によって監禁された時の話は山中が話した。ここも初めて聞く話ばかりだがドクターやケビンは『信じられない』を連呼している。あきら達は白井への憎悪がどんどん膨らんでいった…そしてあきらはつくしが監禁されていた間の類の様子を話した。それを聞いてつくしはまた涙が溢れ出していた…

ドクター「俄には信じられないような話ばかりですね。聞いているとルーニーはつくしさんの事を信じ探していた。とても自殺するような人間だとは思えません。救助されて助かったのになぜここまで長くこの世界を拒絶しているのか…ただの記憶喪失と言うよりよほどのショッキングな事があったのでは?と考えます。でも、つくしさんに会ってルーニーは驚くような変化がおきた…ただ一目見ただけでです!きっと何かが変わりますよ、なぁケビン?」

気づくとケビンが号泣していた…

つくし「ケビン?」

ケビン「つくし…ごめん。私があの時ロンドンの警察に届けていれば、もっと早く彼に辿り着けていたのに、こんなに遠回りをさせてしまった。私は彼の記憶が戻るのが怖かったんだ…今の生活が壊れてしまうんじゃないかってどこかで思っていた。自分勝手な汚い人間だよ…謝って済むことじゃぁないけれど許してくれ」

つくし「ケビン…あなたが謝る必要なんて本当に無いよ。ドクターもあなた達も類の事を大切に見守ってくれていたってこの場所を見て直ぐに思ったもの。こんな状態の類を警察に渡していたら…彼はどうなっていたかわからないわ。あなたが私を類に導いてくれたのよ?あなたのご両親にもお礼を言いたいわ…本当にありがとう。」

つくしはケビンの手を握り締めて何度もお礼を言った。気づくと話し始めて2時間近くが過ぎていた

あきら「牧野、俺達はドクターに類のカルテとか今後の治療法とかを聞きたいから病院で話を聞いてくる。そろそろ類が起きるかもしれないからお前はここで待ってくれ」

つくし「うん、お願いします。」

つくしは類のベッドルームに戻っていった。

****病院***


ドクター
「わざわざ、こちらに移ったのは彼女に聞かせたく無い話があったのかな?」

あきら「はい。実は最近になって類が船から落ちる所を見ていた乗客に話を聞く事が出来ました。類は…牧野が死んでしまったと思ったんです」

ケビン「どうゆう事ですか?」

あきら「あの夜…類は牧野が暴行されて死んだ写真を見せられたんです。もちろん本人じゃぁありません…白井という男は自分の患者の娘を脅して牧野にそっくりな顔に整形させたんです。そして牧野のパスポートを使って海外に渡航させて殺したんです。その写真は酷い物だったと証人が話したそうです…暗いデッキでそんなものを見せられて類も信じ動揺したのだと思います。この話は牧野には秘密です、自分の身代わりで誰かがそんな死に方をしたと知れば深く傷つきますから…」

ドクター「なんて卑怯な男なんだ…同じ医師として許せない行為ばかりですよ!でもこれで理解出来た気がします。ルーニーはつくしさんが死んでしまったと思っている。だから現実に戻りたくないんですね…」

ケビン「ルーニーは本の世界でキャンディを人間に戻そうと旅をしています。それはつくしを生き返らせたいという願望なのかも知れませんね。どんなに辛かったか…ルーニーがかわいそうだ。私はその家族を許せない!」

あきら「俺達も許すつもりはありませんよ」

類は夕方になっても目が覚めずつくしはずっとそばにいた。この島にはホテルなどはない為にあきら夫婦は一度、ロンドンに戻ることにした。山中のチームもとりあえず山中ともう1人を残して戻って行った。

ケビン「山中、私の家でよければ泊まって欲しい。」

山中「ありがとうございます。私はつくし様のそばを離れる事はできません、ドクターにお願いして近くにテントを張らせていただきましたので、そこで生活します」

ロンドンでもいつもつくしのそばでロンの病院にも着いて来たいたと聞いた、この男もつくしの信者なんだろうな…ケビンは納得した


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やっとここまで辿り着きました〜
今日はとても嬉しい事もありました。この作品をサポートという形で
応援していただきました。予想外の事で感激しています。
ありがとうございます😊これからも頑張ります










花より男子の類ファン、原作の切ない類を幸せにしたくて類スキ向けにお話を書き始めました。老化防止の為に妄想を巡らせるおばちゃんです。拙い文章ですが応援していただけると励みになります。よろしくお願いします