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miss you 山形11/27 俺のための備忘録(ガンネタバレ)

Mr.Children Tour 2023-24 miss you
2023年11月27日 山形県民会館公演

の備忘録です。この生涯最高のライブを忘れたくないので書きます。





 曲順に則った説明の前に、全編通しての感想を3点。

  1. セトリが良い。

  2. MC短いのも良い。

  3. カズトシのスタミナはおかしい。

 1ですが、コア向けの絶妙なセトリ作ってきてくれました。近年でのライブ演奏が無かった曲の選出が多かったのも満足度高。

 2。半エンのMCは長くて退屈でしたからね。世界観を保つ意図もあるでしょうけど、ひっきりなしに良い曲を聴けて2時間半を一瞬に感じました。

 3に関してはもうよく分かりません。半エンであんなに苦しそうに歌ってて、「まあさすがに衰えるわな」と思ったところに今日のパフォーマンスだったんで、きっとやばい手術に手を出したんでしょう。


以上。本編を攫っていきます。




1. Birthday

 カズトシの軽快なアコギストロークから始まり、「聴いたことある感じだけどmiss youにこんなの入ってだけな…」と考えていたらまさかのSOUNDTRACKSから『Birthday』。

 予想だにしない開幕でしたが、サントラツアーを開催できなかった無念やリスナーへの贖罪、そして半世紀への一歩目を意味する一曲目ですから、確かに『Birthday』しかありえないなと、Mr.Childrenの新たな船出に目頭が熱くなったロケットスタートでした。



2. 青いリンゴ

 ツインアコギの芳醇なコンビネーション。高頻度でキメを挟むJENドラム。爽やかで若々しい曲調に対して、田原さんのスライドギター。山本さんのブラスが醸すセクシーさ。
爽やかで、エロい。この二面性は生演奏のより細やかになったテクスチャーによって更に際立っていました。この曲はデカイドームでも映えるでしょうね。



3. 名もなき詩

 今回のツアーで唯一の"みんな知ってる曲"枠。半エンでも演奏してましたけど、『青いリンゴ』の次っていうのがまた良いですね。
"Mr.Childrenがアコギとブラスで表現するポップソング"、30年のタイムスリップ。ファンサービスもあるでしょうけど、この配置には意図を感じました。



4. Fifty's map〜おとなの地図

 尾崎豊からの影響をMCで語ってから演奏されたこの曲。変なコード進行の上に無理矢理きれいなメロディを乗っけた曲ですが、生歌だとメロディがより美しく聴こえました。繰り返し言いますけど、本当にカズトシのパフォーマンスがとんでもなかった。全編を通して。この曲もライブ映えでした。ありがとう。



5. 口がすべって 

これまた良〜い曲選びましたね〜
 かなり珍しい選曲で、筆者も初めて生で聴きましたが、もうこの曲で帰ってもおつり来ますよ。
 選曲の意図としては、昨今の物騒な情勢は間違いなく関係してるでしょうね。後ろのスクリーンにも銃を向け合う2人の影が映し出されていました。SENSEにおける『es』や半エンにおける『タガタメ』枠。カズトシの歌声にも力が入っていました。



6. 常套句

 ブラオレ(2012)からの選曲が多かったのは今回のセトリの良かったところ。普段あんまり演ってくれませんから。
 常套句もあんましバンドがドライブする類の曲でもないんですけど、滝のような激甘てんこ盛りアレンジと強メロディを生で浴びると否応なしに分からせられますよ。
 ほんまに出てきてください。ブラオレのクソミソに言ってた方々。謝れお前ら。謝れ過去の俺。



7. Are you sleeping well without me?

 ここからmiss youの曲が続くんですけど、あらかじめ言っておきたいのは、miss youはライブを経て完成するアルバムであるということ。
 この曲も旋律の不安定さと美しさが化けてました。赤い月の演出も相まって、意識を吸い込まれそうになるほどの妖しい感動。ライブを経てフェイバリットのひとつになりました




8. LOST

 この曲はアルバムを聴いた時点でフェイバリットだったんですけど、またもやライブ化けでした。miss youってズルいですよ。打ち込みの部分がJENドラムに変わっただけで化けるんですもん。
半エンの『LOVEはじめました』でも同じ現象が起こってたんですけど、JENのドラムが加わって生まれる迫力、躍動感で曲が生まれ変わってました。これがこのあとしばらく続きます。



9. アート=神の見えざる手

 問題児はライブでも問題児でした。
 マイク(?)がいっぱい並んでるあの描写。ダメでしょあれ。あとライブでもちゃんとピー入ってましたね。よかったよかった。
 曲中カズトシは舞台奥の小上がりで椅子(この曲でしか使わなかった)に座りながら歌っていました。その間スクリーンにには赤(血)を基調とした不気味な映像。こういう闇演出は個人的にミスチルのライブで最大の楽しみのひとつ。
 そして後半からは原曲破壊レベルのJENドラムアレンジ。鳥肌が立ったと同時に、つくづく俺ってロック好きなんやなと感じた一幕でした。



10. 雨の日のパレード

 雨音のSEから静かに始まり、サビでは歌詞に呼応した虹色の照明が降り注いだ幻想的な一曲。
 奥ゆかしいアンサンブルはいつしか極太の低音に乗って不気味なほどの推進力を帯びたエイトビートの行進へ。その淡々と迫り上がる叙情にまたも鳥肌が。
 この曲は屋外でまた聴きたいですね。




11. Party is over

 カズトシ田原のアコギ2本のみによるシンプルなアンサンブル。
 生演奏でメロディが映えるのは勿論そうなんですけど、やっぱりアコギは生で聴くに限りますね。二人がどう分担しているかが分かりやすくて、そこだけ見てても面白かったと思います。




12. We have no time

 JENドラム覚醒曲です。正確には打ち込みとJENの両方を鳴らすアレンジ。ミスチルのライブでは体感したことのないフロア感。ベースドラムの低音が腹を震わせ、身体が勝手に揺れてしまうダンサブルな心地良さ。
 さらにブラスの主張がライブでは激しく、サポートメンバーのソロパートでありながら客席はその日トップクラスの盛り上がり。山本さんのプレイの熱、凄まじかった。



11. ケモノミチ

 またもJENドラムによるライブ化けが甚だしい一曲でしたが、この曲に関してはもうむしろ最初からそっちにしておけよと思ってしまいました。
 正直原曲はあんまり好きじゃなかったんですよ。JENドラムが生む荘厳さを録音物として捉えることが出来ていたなら間違いなく生ドラムの方が良かったと思います。
 なんにせよ、ライブで聴かないと始まらない一曲です。




12. pieces

 この曲も嬉しかったですね〜。ブラオレの中でも特に聴きたかった一曲。ヒジョーにmiss youの世界とマッチしていると感じました。

粉々になったら
匂いに紛れて
君のもとへ飛んでいくから
そのときは思い切り 吸い込んでよ

このまま消えそうだなんて頭を掠める
でも 消えてなくなっても
無くなりはしないだろう
君と共に生きた軌跡

 死、老い、諦念。その先の希望。
 サントラ、miss youにおける桜井和寿の心情を10年前に予見してたかのような言葉の数々。
 彼らがこの曲をこのツアーに選んだ事実それだけで、胸にくるものがあります。



13. 放たれる

 これも嬉しかった。筆者のオールタイムベストアルバム『REFLECTION』(2015)からの一曲。
 この曲も死や別れを感じさせる詩が綴られており、前のpiecesやアルバムmiss youとの連関を感じさせます。
 ところで今ツアー、ブラオレリフレクの収録曲が多く披露されていますが、10年代といえばナカケーが熱い時期。彼のベースが歌うことで生まれるグルーヴは、J-POP的なアレンジの曲たちの下で、とても重要なバランサーの役割を担っています。ライブだと手元もよく見えたので、時折凝視してました。



14. 幻聴

 リフレクが連続した2曲目。イントロが鳴った瞬間、嬉しさに顔を覆いました。この曲がライブアンセムに育ちつつある事実もまた嬉しい。
 ラスサビに入る場面では、カズトシの「山形のみんなの微笑み(うろ覚え)」という歌詞変えアレンジに会場が湧きました。
 アウトロではお馴染みのコール&レスポンスはなく、次の曲へ。



15. 声

 コール&レスポンスといえば、みたいな曲。コロナ後初のツアーということでの選曲でしょう。コール&レスポンスはこのツアーのキーワードの一つです。筆者も前の席の人に嫌な顔されながら叫びました。
 凄かったのがラスサビ。楽器なし、声だけの状態でカズトシ→観客→カズトシ→観客と、代わるがわる「イェーヘイ」の大合唱をしたんですけども、このときのカズトシ、マイク使ってなかったんですよ。生声。
もうね、なんでこんな声通るんだと。バケモンかと。
 客席の反応は「キャー生声だー!」の歓声と「どっから声出てんのそれ…?」みたいなドン引きとの半々でした。



16. Your Song

 間髪入れずにコール&レスポンスNo. 2。
 この曲はやっぱり弾き語りより原曲のキラキラしたアレンジが良いですね。多幸感溢れる今回のセトリの象徴のような一曲でした。
 筆者は声の音域の広さに自信があるので、オクターブを下げずに叫んでやりました。前の席のオッサン、すまん。



17. おはよう

 本編ラスト。幸せな時間を区切るさりげないうた。
 あまりにも具体的な日常を描いている歌詞のせいで、ライブが終わったあとの生活を思い浮かべて、「あー、嫌だな」と少し考えてしまいました。同時に「少しは自分の日常を肯定してもいいのかな」と背中を押された気分にもなり、色々考えているうちに筆者は、なんだかカズトシの掌の上で転がされてる気分になりました。
 ライブが終わったあともこんなに感情を揺さぶられる曲を作るなんて、このミュージシャン、出来すぎやろと。結局興を削がれてしまったのでした。(褒めてる)



En1. 優しい歌

 半エンではオープニングで登場したものの演奏は長らくなかった『優しい歌』。弾き語り&SUNNYキーボードの二人編成でこのツアーでは演奏されてます。
 原曲からキーが変わっているだけでなく、新たにパッシングディミニッシュコードを付け加えていたりなど、コード進行ごと変えていたように聴こえました。間違っていたらすみません。
 とにかく原曲とは全く異なっていて、そういう過去曲を攻めたアレンジで料理するみたいなことをまだやってくれるんだ、と彼らの飽くなき創造性を嬉しく思いました。



En2. The song of praise

 この曲は直前のMCで「コール&レスポンスを想定して作った」「サントラのツアーが出来なかった」ということを話しており、やっぱりこのツアーに対して、そういう思いは強いよなとひとりで納得してました。
 初めてライブで聴くのに、カズトシともう何度もやり取りしてきたかのようなコール&レスポンス。サントラの曲たちには、そういう不思議な距離感を感じるんですよね。3年間、ライブで聴けないのにひたすらCDを流した時間。今になってしまうとその時間すら愛おしく思えます。



En3. 祈り〜涙の軌道

 ここまで来て、あーなるほどと。最後に『I MISS YOU』を演って、次のツアーに繋げる形で終わるんだなと。乙な締め方するねぇ、と。そんな予想を消し炭にするラスト『祈り〜涙の軌道』。びっくりしました(小並)
 コバタケコバタケしてるじゃないですかこの曲。だから元々好きな曲ではなくて、今まで本格的にハマったこと一回もなかったんですけど、このライブをきっかけに1時間に1回聴いてます。miss youツアーのラストに置かれると、物凄く複雑で重たいメッセージが詰まってるように聴こえて。
 ステージの右端に佇んでたけど特に活用されることのなかったデッカい木が、この曲のイントロが始まると同時に淡い光を放ち出して、正直ここの演出は危なかったです。顎まで濡れる程度で済みました。






まとめ

 なんか色々喋ってきましたけど、正直あんまりライブ中の記憶ないんですよ。めちゃくちゃ感動した体験ってすぐ忘れてしまうんですよね悲しいことに。思えば初めてミスチルを生で見た中1のあの日の記憶も、今では完全にブルーレイの映像に上書きされてしまっています。

 とにかく、今のMr.Childrenは最高です。曲もライブも、全盛期。過去最高のライブでした。おそらくこのツアーの後にデカイ会場のツアーも開催されると思うんで、今回参加できなかった方、しなかった方も是非行ってください。miss youはライブで完成するアルバムなので。

 でも倍率上がる嫌だな。

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