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たたかいげーむ

うちでは最近、「たたかいげーむ」が流行っている。妻と娘VS僕の2対1のハンディキャップマッチで、妻と娘は僕を、僕は妻か娘のどちらかをうつぶせにしたままテンカウントフォールすれば勝ちというルールだ。
 たいがい、合気道参段の妻が僕を組み伏せにきて、動きを制した後に、娘が突き蹴りで攻撃してきて僕の気勢を削ぐ作戦であることが多い。
 娘の打撃で僕がひるんだすきに妻が僕を床に寝ころばせ、娘と協力してマグロのようにうつぶせにひっくり返す。僕は何とか仰向けになってガードポジションをとりたいのだが、うつぶせになった瞬間、妻と娘、合計〇〇kgの体重でマウントをとられてしまう。そうなると、実質的には4秒くらいのテンカウントで、僕の負けが確定する。
 さかのぼって考えると、負けないためには、まず床に寝ころばせられないようにすること、それには、妻に組み伏せられないこと、そして、娘の打撃を食らわないことが必要だと分かる。
 まず、合気道参段の妻に筋力で挑んでもスルスルと力を逃がされてしまい、こちらが消耗するだけになる。妻がどういう風に僕に力を加えるか、予測しながら、あるいは僕が誘導しながら、できるだけ脱力して、消耗しないように妻から逃げなければならない。
 しかも、ぐずぐずしていると、娘の容赦ない打撃技の餌食になってしまう。点を基とし、円を周とする動きで、うなぎのように妻の手から逃れることを考えながら、かつ、娘の打撃をかわさなければならない。
 非常に頭を使うし、身体操作の勉強になるし、心肺能力も鍛えられる。
 最近では、娘は打撃に「くすぐり」を織り交ぜてくるようになった。「脇影」や「電光」などの急所を狙って、的確にくすぐってくる。
 僕は、痛みに対する耐性は、一般男性よりもあると思うが、くすぐり攻撃には1秒たりとも耐えることができない。打撃で娘が使う部位は限られているが、くすぐりは全身あらゆるところを使ってくる。だから、今では「娘自体」から自分の体をディフェンスしなければならない。
 
例の騒動で、またしばらく道場でみんなと一緒に稽古することはできなくなった。これはこれで残念だが、悲観することはない。

「合気道参段」と「くすぐり十段」、うちでは2人の魔女が僕に稽古をつけてくれる。

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