現役からの「退場」について
ツイッターのタイムラインに、このようなツイートが流れてきた。
心を動かされた。
「人は年を取ると、まず耳が衰える」
ここ5年くらいだろうか。若手に自分なりの「教育」を行っていた。
若手は入れ替わるため、同じことを同じように説明してきた。
大切なこと、基本はいつでも揺らぐことはないからだ。
しかし、思い出してほしい。
新しい若手に同じことを教え続ける一方で、
自分は5年、年を取っているのだ。
事実はかわらなくても、自分の感じ方が変わっているのだ。
「同じこと」を教え、それが正しいという経験を得る。
正しいという経験を積んでいけば、自分の主張することは揺るぎないこととなるだろう。何度も裏付けられるからである。
揺るぎないことを言い続けているうちに、自分は正しい、「うすうす」思うようになる。
経験の少ない相手が間違えているとしよう。
最初は、「そういう間違いを僕もしたけど、実はこうなんだよね」と教える。
いつしか、「いろんな人に教えてきたんだけど、ここは勘違いをするポイントなんだよね」と教えるようになる。
いつしか、「これはこうなんだ」と断言するようになる。
いつしか、「こんな当たり前のことが分からないのか」と苦言をするようになる。
教える相手は違うのに。さらに年齢が離れていくのに。
いつしか、頭の中に、「自分が正しい」という声が大きくなって、その他のことが聞こえなくなるのだ。
自分ではあまりわからないが、そういうところが出てきているんだと思う。
だんだん、自分とは違う声が聞こえたら、自分の声でかき消すんだと思う。
不快だから。
自分の声しか聞こえない世界で、同じことを言い続けるうち、
いつまで自分の声が聞こえるのだろうか。
そろそろ退場する日がやってくるのだろう。
すでに聞こえなくなっているのだとしたら、怖くて仕方がない。