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何も変わらないまま始まる新年度

春になりました。僕は冬という季節があまり好きではありません。何かやろうと思っても、寒くなると億劫で二の足を踏んでしまいます。そこから開放されたように、春の陽気はうきうきして何か新しいことを始めたくなります。それは意欲なのか、春に惑わされているのか、自分の中ではよくわからないです。

いつも通勤する電車は、春の彩りあふれるコートに身を包み、スーツケースを引きながらどこかに向かう人達が溢れています。帰省をするのか旅行に行くのか、僕は勝手にしやがれと壁際で寝返りをうつ気分で、電車の隅っこでスマホゲームの「生きろ!マンボウ」をひたすら進めています。正直面白くありません。どうして俺の人生こうなった、ちくしょう。

新型コロナウィルスのおかげで、僕の人生として昨年は「ノーカン」になりました。PCR、抗原、抗体、オルベスコ、アビガン、レムデシビル、エアロゾルボックス、医療従事者にエール(エールのみ、石は投げられないので良しとする)ばかりで、ほとんど語彙を消失しました。自分の生涯の勉強としている抗酸菌感染症や、アレルギー、胸部画像診断、臨床医として自分が大切に治療した症例を論文にすることなど、何もできませんでした。

自分の生活は今年もあまり変わりそうにありませんが、ワクチンがくる気配もなく、終わりのない日々が今年もやってきて、年をとって行くのでしょうか。仕事がきついというより、何もできないまま時間が過ぎ、生活全てをCOVID-19に飲み込まれていっています。きっと飲食業の方、いや、社会全体がそうなのでしょう。

次にほぼ確実にやってくるであろう、自粛でも緊急事態宣言でも、マンボウでも歯止めが効かない、今回はどのくらい陽性になるか分からないレベルの第4波。ワクチンがなければ医療機関内部のアウトブレイクも避けられないでしょう。
テレビでどんどん医療従事者の接種が進んでいるように見えますが、実は接種が出来ている人ばかりを映しているだけで、そこそこCOVID-19を診療している当院には来る気配もありません。高齢者のほうが早く来そうで、それより前に接種を行う側の僕たちに行き届かないかもしれないのは、なんだかおかしな気分です。
もしかして解散総選挙なんてしちゃったりして選挙対策なのでは?と勘ぐってしまうくらいには心は荒んでおります。投与が必要な方は優先して良いとは思うんですが。

去年と比べて年をとり、体力が落ちるだけの新年度がやってきます。雪がやんで寒さも消え今年もまたこの季節がきました。春はいいッスね。


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