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偉大な先輩を追いかけて【FOCUS ON:山之内裕太】

明治安田生命J1リーグから数えて「J8」の東京都社会人サッカーリーグ2部に所属しているTOKYO CITY F.C.。渋谷区をホームタウンに活動するクラブには、いったいどんな選手が在籍し、どんな思いを胸に秘めてプレーしているのだろうか。選手1人ひとりのパーソナリティに焦点を当てる連載企画「FOCUS ON」がスタート。第9回は市立船橋高校出身で加入2年目のDF、背番号5の山之内裕太に迫る。

山之内裕太のプロフィール詳細

一度は諦めたサッカー

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 プロになれなかったのに、社会人になってまでサッカーを続けるの?

 そう思われる方も多いのではないでしょうか。僕も大学までプレーを続けてきたものの、就職のタイミングでサッカーは辞めるつもりでした。大学でやりきったと思って一線を引いていたというのもあります。

 でも、実際に社会人になっても自分の日常からサッカーを切り離すことはできませんでした。スマートフォンを持てばサッカーに関する記事を読んだり、動画を見たりする何気ない習慣が染みついていて、だんだんピッチの上で自分のプレーを表現したいと思うようになっていったんです。

 サッカーから離れてみてわかったこともありました。学生時代は1週間に5日か6日は練習や試合がある日々でしたが、朝起きて仕事に行って家に帰ってくるだけの日々になると、だんだんモチベーションの維持が難しくなっていくのを感じました。

 そうやってだんだんと「またサッカーをやりたいな」という気持ちが募ってきたタイミングで出会ったのが、TOKYO CITY F.C.でした。当時キャプテンをやられていた峻太さん(鈴木峻太=2017年~2019年在籍)の熱い想いに心を動かされましたね。

 最終的に加入を決めた理由は、組織としてしっかりしたクラブで、真剣にサッカーに取り組めると感じたから。そして、多様なバックグラウンドを持った選手が在籍していたことも大きかったです。

CITYで加速する成長

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 僕が入ったばかりの頃、チームとしての完成度はそれほど高くなかったです。でも、同じタイミングで阿部さん(#21 阿部翔平)が加入して、クラブが「渋谷からJリーグを目指す」と宣言して将来のビジョンが見えてきたことで一体感が増してきたと思います。

 今、僕自身がCITYでのプレーにかけるモチベーションは、自分のキャリアの中でもかなり高いです。

 同じポジションに阿部さんがいるのも僕にとっては非常に大きいですね。今までもずっと先輩や他の誰かを追う立場から始まったので、まずは市立船橋高校の先輩でもある阿部さんの姿を真似して、技術をパクリまくるのが今シーズンの自分に課しているミッションです。

 昨年の1年間、阿部さんのプレーを間近で見ることができて、自分のサッカー観は大きく変わりました。これまでは「自分のプレーはこういうもの」という固定観念みたいなものがあって、いつも同じところにボールを置けばうまくいくなど、自分なりの感覚がありました。

 自分の武器である左足のキックは子どもの頃からずっと磨きをかけてきました。中学時代にはドリブルを重視するヴィヴァイオ船橋でプレーして、ファーストタッチで相手を剥がすイメージや、相手と駆け引きして抜いていく個人技が磨かれました。

 市立船橋高校時代には本格的に左サイドバックをやり始めて、全国高校サッカー選手権大会にも出場して直接フリーキックを決めることもできました。そうした経験から積み上げてきたものによって、自分のサッカー観はある程度完成されていたと思います。

 でも、阿部さんと一緒にピッチに立って様々なことを学び、今まで直感でプレーしてきたものを言語化できるところまでプレーの解像度が上がってきたんです。例えばボールを持ったらスピードを上げすぎずスペースにボールを運ぶだとか、どういうタイミングで逆サイドに展開するかとか、より相手を見ながらプレーできるようになりました。

 そうやっていろいろなものが見えてくると視界が広がって、サッカーが本当に楽しくなりました。毎回の練習が楽しいですし、今までで一番の成長スピードを実感しています。本当にプレーの幅が広がったと思います。

今年こそ昇格を

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 昨シーズンは僕自身何もできなかったと思っています。チームがちぐはぐになる時もありましたし、個人的にもフルパフォーマンスを出せていませんでした。そして、得失点差で優勝と昇格を逃すというのは自分のサッカー人生でもあまり経験がなかったので、やるせないというか、不思議な感覚でしたね。あの気持ちはもう味わいたくありません。

 昨年は個人的にもゴールを1つも決められなかったので、今年は1ゴール5アシストを目標にしています。そして、チームとしては必ず東京都社会人リーグ1部昇格を成し遂げたいと思います。

 職場でも僕のCITYでの活動をすごく応援してもらっているので、サッカーに情熱を捧げられる環境も整っていますし、そういう応援してくださるみなさんの想いにも応えたいです。

 そして、CITYではサッカーをやっているだけではダメなので、ピッチ外での活動にも積極的に参加していくつもりです。渋谷区から初のJリーグ参入を目指すにあたって、地元に根ざすための活動も大事になってきます。普通ではなかなか経験できないことも多くて新鮮ですし、社会人として学ぶこともたくさんあります。

 チーム内にも阿部さんのようにサッカーに軸足を置いて活動している選手だけでなく、ビジネスマンとしてバリバリ活躍している選手やスタッフがたくさんいます。将来的にスポーツに携わる仕事をするというイメージを持ちながらいろいろなことを学び、今年は新しい選手もたくさん入ってきたので、自分の経験もCITYに還元できるように頑張っていきたいと思います。

山之内裕太のプロフィール詳細

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