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【虎に翼 感想】第105話 寅子と航一の “結婚期日” 開廷



”結婚期日” 開廷

東京家庭裁判所 竹もと支部 大法廷において、寅子と航一の “結婚期日” が開かれた。
大法廷だけあって、裁判官、検察官、弁護士、書記官が勢ぞろいだ。

【主文】
申立人が夫婦それぞれの姓でも、婚姻関係を認める。

【理由】
民法において夫婦はどちらかの氏を名乗ると決められてはいるが、
姓を変えることは、夫婦どちらかの社会生活に不利益、不都合をもたらすおそれがある。
名前を変えることで自分が失われると感じる人もいる。どちらかがそれを負うのは平等とはいえないのではないか。
同じ姓を名乗ることが、夫婦や家族の証ではないと考える人がいる。
同じ姓を名乗るか、違う姓を名乗るかは、夫婦間で自由に決定すべきである。
それは、憲法により保証された権利のはずである。
よって、星航一と佐田寅子のそれぞれの姓での婚姻関係を認め、主文のとおり決定する。
法的効力はないが、二人への結婚の祝いとする。

夫婦の望む形での結婚が、法的にも保障されるほうがいい。
だけど今だけは、ここにいる者たちからの保障だけで十分ではないか。「のようなもの」などいらない。
一人ひとりの言葉が、その人物を投影させて、説得力のある言葉として二人に届いたのだ。

理由の読み上げで、「おそれがある」「感じる人もいる」「考える人がいる」と表現していたのがよかったと思った。
感じ方、考え方は人それぞれだ。読み上げた内容が正しい、正義だと決めつけてもいけない。それを表してくれたことで、読み上げた言葉がより信頼できるものとなった。

傍聴人、猪爪直明が写真撮影をかって出た。慣れないがゆえに手が震えフレームアウトを起こしたが、最後は無事に撮れたようだ。よかったよかった。

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中山先輩は、今は検察官の職に就いている。検察もまだまだ女性が働きやすい場所ではないはずだ。中山先輩も寅子のような “壁” に当たりながら頑張っているに違いない。

久保田先輩は戦時中に鳥取へ転居していたが、戦後、その地で弁護士に復帰している。鳥取はまだまだ弁護士、特に女性弁護士は少ないはずだ。地元の人々のために尽力しているに違いない。

久保田先輩が寅子に “婦人弁護士を背負わせた” ことを謝罪する。中山先輩も含め、決して3人の誰かが悪いわけではない。
雲野法律事務所でのあの日のことを思い出してか、互いを労り合う3人をよねが複雑そうに見つめる。先輩方はあの日の事情を知らないから仕方のないことだ。
深く傷ついた経験のある轟は、他人の傷跡にもすぐに気づくことができる。だから、よねの心の動揺を瞬時に見抜き、かさぶたが剥がれないよう押さえてくれた。二人は正真正銘のバディだ。

香子……いや、やっと “ヒャンちゃん” と呼ぶことができる。
寅子、小橋、稲垣とよね、轟が再会した日が思い出される。同行していた汐見がよねと顔を合わせた日である。帰宅してから汐見は、よねの話をしたに違いない。そこからずっとヒャンちゃんは、会いたいと思い続けていたはずだ。
新潟では涼子と玉ともニアミスをしていた。寅子がおにぎりを届けてくれたおかげで、梅子の存在も認識できていた。
まばらだった6人の点が、やっと繋がったのだ。

そして今日、涼子と玉は『Light house』の由来をはっきり教えてくれた。
「マスターも喜んでいる」の言葉は、もちろんそれも本心だけど、素直じゃないよねらしい言い方だと思った。

8/19の記事で、「山田轟法律事務所にパラリーガルがいなくてよかった」と書いたのだけど、梅子がいるじゃないの!梅子はあんこの修行も、パラリーガルの仕事も、本腰を入れて頑張っている。

生きていれば、上手くいかないこと、後悔すること、顔向けできないことがあるし、そのタイミングはそれぞれ異なる。
寅子の結婚を機に、皆がそれぞれ動こうと思い立ち、ベクトルを合わせることができたのだ。今日のこと、今日の気持ちを忘れないで欲しい気持ちでいっぱいだ。

中山先輩の涙……最初はめんどくさそうな人だなと思っていたけど、今となってはこれを見ないと気が済まなくなっている。本作が、登場人物一人ひとりを丁寧に描いてくれている証拠だ。

最後に竹もとのご夫婦から、お祝いの “特大ウエディングあんみつ” が提出され、結婚期日は閉廷したのであった。


昭和31年春

いよいよ寅子と優未が星家へ引っ越す日。
直治のサックスでのお見送りは、道男の ”家族のようなもの” からの卒業式でもあると思った。

「何にも不安はない。航一さんは、お母さんと優未が大好きだから。ぜ~ったい味方でいてくれる」
優未の言葉にこちらが不安になってしまった。朋一とのどかも航一の子だ。二人の気持ちが置いてきぼりだし、必ず味方になってくれる保証はない。

星家の時計の針の音が、心臓に深く突き刺さることよ……。


次週予告

桂場は何に怒っている?
竹もとにいるのは、昔、寅子を批判していた後輩ではないか!
いよいよ朋一とのどかとの摩擦発生!
「なんで麻雀?」 こっちのセリフだ、寅子!


「虎に翼」 8/23 より

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