【虎に翼 感想】第67話 星朋彦長官の終幕
人と人とはコミュニケーションをとることが大事。今日はその思いを強くした。
初対面では “やりづらい” と思っていた相手でも、交流を重ねるうちに理解していける。
星航一の「なるほど」は、寅子の「はて」並みにさまざまなバージョンがあるようだ。それも理解できた。
思ったより早く二人は理解し合えてきた。だがそれでよい。皆、この先の二人の展開はだいたい分かっているから。次の展開へ進もう。
家事部と少年部の面々とも、しっかりコミュニケーションをとれていたらよかったんだ。
寅子が計画した交流昼食会には、家事部も少年部も、誰一人参加しなかった。
寅子はもしかしたら、両部がいがみ合っていると思っているかもしれない。はたしてそうか。寅子に怒っているのと違うのか。
家庭裁判所の代表として取材を受けるのだから、事前に両部から現状などを聞き取って、反映させる必要があったんじゃないのか。多岐川の「周りが納得する仕事ができていない」の言葉は、このことも含んでいたんじゃないのか。
寅子には、自分が有名人である自覚があった。だからこそ、今こそ自分の理想を伝えたいという思いで突っ走ってしまったのかもしれない。
これは、現代のSNS時代に生きる私たちへの戒めにもとれる。自分と同じ価値観の人たちが集まり、自分の言葉に影響力があると過信し、発言がエスカレートしていく。
だが、それは実は狭い世界の中のことであって、一歩でも外へ飛び出した途端、何の影響力もなくなる。
だから、“自分が誘えば家事部も少年部も来てくれる” と思っていた寅子は、見事、期待を裏切られたのだ。そもそも、家庭局の面々も誰も手伝っていないじゃないか。
一人よがりの怒りのベクトルを向けられる、小橋の悲哀よ……。
星長官の “急用” は、体調を崩していたことが理由だった。そのおかげで寅子と航一が出会ったのは、結局、長官の “置き土産” となった。
長官の話で、星家の家族構成が短時間で分かった。長官は、妻を亡くした後に再婚している。航一も、妻を病気で亡くして、子どもの面倒は義理の母がみてくれている状況だ。長官の「そんなところまで親に似なくてもいいのに」は、息子が自分と同じ裁判官になった喜びの裏返しにも思えた。
『日常生活と民法』の改訂作業は無事終了した。“補修 佐田寅子” の名前も載っている。
そうだ、優三さん、本を出したいって話していた。回想の中の楽しそうな顔ったら……。“佐田” の名前で出た本に、星航一の名前も載っている。優三から航一に託されたこの一冊の存在は大きい。
出がらし、いいじゃないですか。1杯目の、味や香りが前面に出て、ずっと舌に残る味わいもいいけど、急いで飲まなきゃいけない感じもあるから。2杯目以降でそれが落ち着いて、自分のペースで飲めるのいいじゃないですか。
今週の副題:『女房百日 馬二十日』の意味、「どんなものも、最初のうちは珍しがられるが、すぐに飽きられてしまう」にもかかっているんじゃないのかな。1杯目より出がらしのほうが飽きられないと。そういう本だということが。
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長官の序文。
火曜日の時点でこれを聞かされるということは、明日以降も民法に関わる話が出るということ。
長官の竹もとでの演説から約70年。民法は少しずつ改正されている。そして、まさに今も、条文の1つの改正が問題となっている。SNSなどの情報に惑わされずに、国民一人ひとりが自ら民法に向き合い、長官の言う “注意と興味を喚起” することができるのか。私たちは、試されている。
6/11に登場してからわずか3週間だったけど、心に残る演説でした。星朋彦長官、お疲れさまでした。
「虎に翼」 7/2 より
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