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【虎に翼 感想】第116話 司法の独立と愛の裁判所は守られるか


原爆裁判のその後

原爆裁判の判決は世界でも注目され、被爆者への支援を法制化する根拠の一つとなった。

竹中はやっと、記者としての真骨頂を迎えたのかもしれない。別れ際の笑顔がそれを表しているようだった。
若かりし頃は女子学生の法廷劇を取材したこともあった。戦時中は書きたいことも書けなかった。戦後は、とある女性裁判官の “虚構の家族” を取材したこともあった。

裁判が終わった今、寅子も竹中と横並びに椅子に座り、心おきなく話すことができている。原爆裁判の記事を書き終え、思いを伝えた竹中は、寅子のことを初めて「佐田判事」と呼び、東京地方裁判所を去っていった。虚構の家族の記事も読みたかったな。

山田轟法律事務所。
控訴期限が過ぎたということは、判決日から2週間以上が経過している。控訴はしなかったため、原爆裁判の判決は確定した。敗訴はしたが、原爆投下は国際法に違反するとの判決が確定したのである。
よね、轟は、岩居とともに被爆者救済の立法を求める、原爆被爆者救済弁護団を結成することとなった。

そこへ寅子が訪れる……酒を飲む寅子の手の震えは何を意味するのだろうか。
この時点では、国はなんらの救済策も出していない。だから寅子は航一に、出来る限りのことはしたが被爆者を本当に救えるのかと、不安を吐露していた。
上げた声、判例は消えない。原告らの上げた声を、寅子たちは消さなかった。あとは待つしかない。

新潟でのあの身長差もよかったけど、手の大きさの違い加減もよすぎですことよ……

この2年後、百合は家族に見守られて旅立っていった。


昭和43年、冬

多岐川はがんを患い、休職し治療に専念していた。
見舞いに来た寅子に手術痕を見せようとするのは、さすが気のおけない二人らしい会話である。

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汐見夫妻の娘、薫は大学生になっていた。学生運動に没頭しているのが心配なことだ。

「安全な場所に、加害者側に立って、今までずっと見て見ぬふりをしていた」
対アメリカでは原爆を投下された日本は被害者だが、対朝鮮で見れば、日本は長年統治、支配していた立場だ。

多岐川は薫に、香子が朝鮮人で、家族と別れて日本に来たことを話してしまっていた。汐見夫妻の許可なく話すことは、まったくもっていただけない。だが命の期限を感じ取っているであろう多岐川が、絶対に話さないであろう汐見夫妻の代わりに、命が尽きる前に自分が話さねばと考えてもおかしくはなかった。

薫は不思議に思っていたのではないだろうか。
学校のお友達には親戚やいとこがたくさんいるのに、自分にはいない。盆や正月には皆、両親の故郷に行ったりしているのに、自分は行ったことがない。自分にはなぜ親戚がいないのか。それなのに、家には名字の違う陽気なおじちゃんが同居している。
自分の家がよその家と違うと、幼い頃から感じていたのではないだろうか。
そんな素朴な疑問を、幼い頃から多岐川に投げかけていたとしたら……
体が言うことをきかない多岐川に、これからしてあげられることはあるだろうか……このあと薫が北朝鮮に行ってしまわないか心配だ……


昭和44年1月

お正月には星家に猪爪家の皆が集まるようになっていた。
子供が増えていて、もうわかりません……昔はこんなふうに親戚にどんどん子供が産まれ、いとこがたくさんいるのが当たり前だった。汐見家との完全なる対比である。

直明と玲美には、直正くんに続いて直寅くんが生まれていた。
(9/13訂正:直寅くんは直人の子でした)
直人は大学の同期である弁護士の瑞穂と結婚し、横浜家庭裁判所で判事補をしている。
直治はサックス奏者として一人前になっていて、全国を回って忙しそうである。
そんな直治を見つめる花江は直毛になっていた。
オノマチに優未だと紹介されるまで気づかんかったよ……大学院で寄生虫の研究をしているそう。
朋一は最高裁判所の事務総局で働いている。結婚し、朋成くんが誕生している。かわいい。

法曹界は司法修習期がすべてと言っても過言ではない。同い年の朋一と直人だが、直人は1期先輩の朋一には腰が低い。
とはいっても直人も1浪しかしていないから、同期の多くは年上なんだけど。
二人とも年功序列の裁判官の職に就くことができているのは、早く合格していることが大きい。

のどかは銀行勤めを続けている。当時の世相からすると、すでにお局扱いと思われる。

寅子は、東京家庭裁判所総括判事、少年部の部長扱いとなっていた。家庭裁判所にいる姿がしっくりくる。
久藤は、東京家庭裁判所所長に就任していた。花岡家を象徴する画が飾ってあって安心した。それは、愛の裁判所の理念が廃れていないことを意味する。
寅子の家裁に連れて来られる少年に対する扱いも手慣れたものだ。

・・・・・・・・・・・・
桂場が、最高裁判所長官に任命された。
テレビのニュースから流れてくる桂場のコメントが不穏……

(略)今、社会の変化は激しく、若い人たちがいろいろと騒いでいる。しかし裁判官は、激流の中に毅然と立つ巌のような姿勢で、裁判の独立を脅かすものに立ち向かい、国民の信頼を仰がなければならない。司法の独立に……

裁判の独立……司法の独立……学生運動の激化と少年事件の凶悪化も相まって、独立を脅かすものに対し、桂場は、どのような方法で立ち向かうつもりなのだろうか。

「虎に翼」 9/9 より

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