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鉄のフライパン

くっつきやすくて、手入れがめんどくさそう・・・

一見、扱いにくく思われがちな鉄のフライパンですが、

お手入れすれば一生ものです。

フライパンを買い替えず、長く使いたい。

いつかは、鉄のフライパンと考えている方も多いと思います。


鉄のこと

鉄といえば、高温調理ができて料理が美味しく仕上がると言われてます。

フライパンは、食材を美味しく調理する道具

この目的に一番近いのが鉄のフライパンです。

なんと言っても、蓄熱性が高く

食材に早く熱を通していくので栄養・旨みがにげ出しにくい。

お肉を焼けば香ばしく仕上がり、炒め物はシャキシャキとできます。

結果、美味しく調理ができるのです。

鉄の熱伝導率は、なんとフッ素樹脂コーティングの217倍

熱伝導率だけではありません。
鉄の融点は高く1000度です。

この鉄の耐熱性は、油を使う調理にはもってこいです。

鉄のフライパンを使うときのポイント

つかう前のお約束

から焼き

酸化皮膜をつくるために、フライパンの内側・外側ともに焼きます。

購入したら、フライパンを使用する前にガスコンロでフライパンについている
「錆止め塗装」を取り除きます。

「錆止め塗装」は、鉄素材が錆びやすいので、

お客様の手元に届くまで錆びないように塗装がしてあります。

まず、この塗装をとって鉄本来の姿にします。

それと同時に、鉄のフライパンに大切な酸化皮膜をつくっていきます。

IHをお使いの方は、IHでのから焼きは厳しいのでカセットコンロを使ってください。

センサー付きコンロは、から焼き作業途中でセンサーにより火が消えてしまいます。センサー付きの方も、カセットコンロを使用した方がいいかもしれません。


酸化皮膜

酸化皮膜とは、鉄のフライパンにできる天然のコーティングで

鉄だけの特徴です。

鉄は、高温で焼き込んでいくと空気中の酸素と結びつきます。

焼き込むと表面が黒くなり、目には見えませんが鉄の表面全体に無数の小さな凸凹ができます。

この状態を「酸化皮膜ができた」と言います。

油ならし

から焼きが完了したら、鉄のフライパン表面に油をなじませること。

これを油ならしと言います。

フライパンの深さ1/3ほどの油を入れ、弱火で5分くらい温めます。

油の温度が下がったら、油を出し、残っている油分をペーパーなどで全体に擦り込んでいきます。

この油が先ほど、から焼きで出来た酸化皮膜の凸凹・表面のくぼみに油が入り込みます。

フライパン全体が薄い油の膜で覆われます。

油で新たにコーティングをしたわけです。

これ、目で確認することができるんですよ。

熱したフライパンに油を入れると、シワがよったように見えてきます。

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油がなじむのというのも、鉄だけの特徴です。

鉄のフライパンは、何度も調理を重ねていき、だんだんと油がなじんでいきます。

油がなじむ=天然のコーティング・酸化皮膜をつくるです。

鉄のフライパンを育てるともよく聞きますよね。

ここまでで、鉄のフライパンを使う準備が完了です。

「から焼き」「ならし」が不要な、鉄のフライパンもあります。

窒化鉄フライパンです。

製造の段階の熱処理によって、酸化皮膜までの処理をしている日本の技術で

ひとことで言えば、錆びにくい鉄です。

窒化鉄のフライパンなら、つかい始めるのによりハードルが下がりますよね。

調理のコツ

油かえし

フライパンに油をなじませ、表面温度を安定させる。

調理をするときの温度が高くなりすぎず、焦げつきにくくなります。

よく、中華をつくる映像でありますよね。

フライパンに多めの油を入れ、オイルポットに戻す。

あれです。

フライパンを予熱し、十分に温まったら多めの油を入れ

油が適温に温まったら余分な油をオイルポットなどに戻します。

鉄のフライパンの適温は、180度

このときの火加減は、中火で熱する時間は約1分半くらいです。

油つかいは2段階→膜をつくる油+調理する油

膜をつくる油、これは先ほどの「油かえし」のことです。

調理をする前には必ず「油かえし」をします。

この膜は食材に熱を伝えていきます。

この油で、高温になりがちなフライパンの温度を安定させ

フライパン全体を適温にします。

大切なのは、ムラなく全体を適温にするということです。

次に、調理する油を入れます。

鉄のフライパンはくっつくの、、、という方は

2回目の、この調理する油を使ってないことが多いです。

調理する油、これを使うことで調理の失敗が少なくなります。

素材はさわらない

温まった油が食材に熱を伝え、焼き上げていきます。

鉄のコーティングは天然コーティング、酸化皮膜と温まった油が油膜となります。

この油膜で食材を焼き上げるまでさわらないこと。

きちんとムラなく焼きあがると、こびりつくことなくキレイに離れます。

食材がくっついている、これは焼きあがる前のタイミングでまだ焼きあがってないのです。

香ばしい焼き色がつくまで、もう少し待ちましょう。

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また、食材を入れた直後はフライパンの温度が下がりますが、すぐに戻ります。

調理に余裕のある方は、この温度の上下するタイミングで火加減を調節してみてください。

お手入れの方法

洗剤は使わないが基本

使用後、熱いうちにお湯とタワシのみで洗います。

洗剤は、せっかくなじませた油や、これから育てていく酸化皮膜をさっぱりと落としてしまうからです。

適度に残った油は、錆止めにもなります。

鉄は、時間がたつほど汚れが落ちにくく

熱いうちだと、油もサラサラして汚れ落ちがいいです。

もし、コゲつかせてしまったらお湯を入れしばらく煮立ててください。

コゲかすが柔らかくなり取れやすくなります。

きちんと汚れが落とせていないと、温度のムラになってしまいます。

快適に使うには、きちんと汚れを落とすことが必要です。

汚れ・水分は完全に取りのぞく

水分は完全に蒸発させましょう。

拭いても・火にかけてもいいです。

乾燥したら薄く油を塗ります。皮膜ができてきたら、この作業はいりません。

ここまでの工程ですが、身につけてしまえば鉄のフライパンは

「生涯の良き友」となってくれます。

鉄のフライパンはリセットができるんです。

何度でもやり直しがきく。ここでいう直しは「ならし」のことです。

錆びてしまった、、焦がしてしまった、、としても

キレイにし、また「から焼き」からの処置ができるということです。

匂いが気になってきたら

フライパン火にかけ、油がさらさらになったタイミングで拭きとります。

酸化した油を取りのぞけば、イヤな匂いは気にならなくなります。

もうひとつの方法は、フライパンで天然塩を炒ります。

塩をいることによって、塩が匂いを吸着してくれます。

使用後の塩は、捨ててください。

<まとめ>

原点回帰で鉄のフライパンが見直されつつあるようです。

良い道具を長く使いたい、丁寧な暮らしをしていきたい。

モノを無駄にしたくない。

料理が好きで、いろんなフライパンを使って調理していくうちに鉄に行き着いたという方もいるでしょう。

鉄のフライパンは、フライパン調理の理想であること

料理が美味しく、鉄分が摂取できる。

再生しやすく地球の資源の無駄使いもない。

本当によく考えられた道具だと思います。




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