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ASMLの2024年Q3決算解説 - 半導体製造装置大手の業績と業界展望


ASMLは半導体製造に不可欠な露光装置を作る世界最大手企業です。スマートフォンやコンピュータの頭脳となるチップを作る上で、ASMLの装置は欠かせない存在となっています。

2024年第3四半期の決算では、ASMLは売上高€74.7億(前年同期比11.9%増)、純利益€20.8億(9.7%増)を記録し、1株当たり利益(EPS)は€5.28(9.8%増)となりました。しかし、このEPSは市場予想の€5.36を若干下回る結果となっています。

業界全体の動向を見ると、半導体市場の回復は当初の予想よりも緩やかなペースで進んでいます。その中でもAI関連需要は引き続き強い成長を示していますが、スマートフォンやPC向けなど従来の分野の回復は遅れが目立ちます。

地域別では、中国向け売上が前年同期比127.9%増と大幅に伸び、米国向けも100.0%増と倍増しました。一方で、韓国、台湾、日本向けの売上は減少しており、地域間で明暗が分かれる結果となりました。

製品別では、最先端のEUV装置の売上が11.9%増、次世代のArFi装置が26.2%増と好調で、高性能製品への需要の強さを示しています。

今後の見通しについて、ASMLは2024年通期の売上高予想を約€280億(前年比1.6%増)としていますが、2025年の売上高予想は€300億-€350億に下方修正しました。半導体業界の本格的な回復は2025年まで続くと見込んでいます。

戦略面では、AI関連需要の取り込みに注力しつつ、次世代装置(High-NA)の開発・導入を進めています。顧客の新技術導入の遅れに対応しながらも、長期的な需要に備える姿勢を示しています。

この決算結果は、半導体業界の現状と今後の展望を如実に反映しています。AI需要は強いものの、従来の半導体分野の回復が遅れており、ASMLはこのバランスの中で成長を目指しています。業界リーダーとしてのASMLの動向は、今後の半導体市場全体の行方を占う重要な指標となるでしょう。

詳細な財務データと分析:

財務実績 (前年同期比):

売上高: €74.7億 (+11.9%)
純利益: €20.8億 (+9.7%)
EPS(1株当たり利益): €5.28 (+9.8%)
総売上高利益率: 50.8% (-1.1ポイント)
営業利益率: 32.7% (変動なし)

決算内容

EPS予想:€5.36に対し、実績€5.28 (予想を下回る)
売上高予想:€74.5億に対し、実績€74.67億 (予想を上回る)
Q4ガイダンス売上高予想:€89.5億に対し、新予想€88億〜92億 (予想の範囲内)
2025年度ガイダンス売上高予想:€300B〜400Bに対し、新予想は€300B〜350B (予想を下回る)

セグメント別売上高 (前年同期比):

システム: €59.3億 (+11.6%)
サービス/フィールドオプション: €15.4億 (+12.9%)

エンドユース別売上高 (前年同期比):

ロジック(計算を行う半導体): €47.8億 (+32.8%)
メモリ(データを記憶する半導体): €26.9億 (-15.7%)

技術別売上高 (前年同期比):

ASMLは半導体を作るための特殊な機械を製造しています。これらの機械は、異なる種類の光を使って、シリコンウェハー上にとても小さな回路を描きます。より細かい回路が描ける機械ほど高性能で値段も高くなります。以下は、その機械の種類ごとの売上高です:

EUV(最新鋭の機械): €20.7億 (+11.9%)

  • 最も細かい回路が描ける最先端の機械

  • スマートフォンの最新チップなどに使用

ArFi(水中で使う機械): €28.4億 (+26.2%)

  • 水の中で光を使うことで、EUVの次に細かい回路が描ける

  • 多くの先端的な半導体製造に使用

ArF Dry(普通の機械): €1.8億 (+157.1%)

  • ArFiほど細かくないが、一般的な半導体製造に使用

  • 家電製品などに使われるチップの製造に適している

KrF(やや古い世代の機械): €5.9億 (+1.7%)

  • さらに大きめの回路を描く機械

  • 車や産業機器向けの頑丈なチップ製造に使用

i-line(最も古い世代の機械): €1.2億 (+9.1%)

  • 最も大きな回路を描く機械

  • 特殊な用途や古い設計のチップ製造に使用

計測・検査(品質管理用の機械): €1.2億 (+20.0%)

  • 作られた半導体の品質をチェックする機械

地域別売上高 (前年同期比):

中国: €35.1億 (+127.9%)
韓国: €11.2億 (-11.1%)
台湾: €11.2億 (-11.1%)
米国: €15.7億 (+100.0%)
日本: €1.5億 (-11.8%)

システム出荷台数: 116台 (+3.6%)

(内訳: EUV 11台, ArFi 38台, ArF dry 7台, KrF 42台, i-line 18台)

受注:

純受注額(新しく注文された金額): €26.3億 (+1.2%)
(内訳: EUV €14億, 前年同期比 データなし)

四半期推移 (2024年):

Q1 Q2 Q3
売上高 €52.9億 €62.4億 €74.7億
純利益 €12.2億 €15.8億 €20.8億
EPS €3.11 €4.01 €5.28

2024年Q4予想:

売上高: €88億-€92億
総売上高利益率: 49%-50%

通期予想:

2024年売上高: 約€280億 (2023年€275.6億から+1.6%)
2025年売上高: €300億-€350億
2025年総売上高利益率: 51%-53%

業界動向と戦略:

・半導体業界の回復は予想より遅い、2025年まで続く見込み
・AI(人工知能)関連は引き続き強い成長、他の分野の回復は遅れている
・ロジック: 競争が激しくなり、新しい製造方法への移行が遅れている。特にEUV(最先端の機械)の需要に影響
・メモリ: 生産量の増加は少なく、AI関連の高性能メモリに注力
・High-NA(より細かい回路が描ける新しい機械): 初めての2台が顧客に受け入れられ進展

株主還元:

・2024年第3四半期に1株当たり€1.52の中間配当 (前年と同じ)
・2024年11月7日に1株当たり€1.52の2回目の四半期中間配当予定
・第3四半期中の自社株買いはなし (前年は€1.11億)

今後の展望:

・電子機器産業の大きな流れが半導体市場の成長を引き続き後押し
・半導体の需要増加とより高性能な製造技術の必要性が、ASMLの製品・サービスの需要を促進
・2024年11月14日の投資家向け説明会で長期的な市場の見通しを更新予定

皆さんは、この業績から半導体業界の今後をどう見ていますか?特にAI需要の増加と従来の分野の緩やかな回復のバランスについて、どのような展開を予想されますか?🤔

ASMLの決算書、まるで複雑なゲームの説明書のよう。でも、AIチップへの期待が明るい星となって、この難しい世界を照らしてくれそうです💡🔬

2024年第3四半期決算を踏まえた、ASMLの評価(投資判断、目標株価を踏まえた上昇余地など)

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