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第3回セカコロ優勝レポート

こんにちは。第3回セカコロで優勝させていただいた宮部と申します。
今回は初めてのnote投稿につき至らない点もあると思いますが、お付き合いいただければ幸いです。

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高桑社長には申し訳ないですが、勝利の瞬間を使わせていただきました。


①前置き
自分が優勝に手が届いたのは、練習量もさることながら、自分のプレイ環境が恵まれていたのも要因の1つといえます。
会社の協力、グループ内での相談といった周囲の協力あってこそなので、少しだけ紹介させてください。
(デッキの内容を早く知りたい方は、次の項目までスキップしてください)

現在自分が所属している「大翔化学研究所」はIT部門の8割以上がMTGプレイヤーという恵まれた会社です。
会社の代表もMTGをプレイしており、社内での交流も活発です。
ご時世的に縮小気味での活動にはなっていますが、水道橋の事務所でのEDHやドラフトは社外の方の参加も歓迎なので、興味のある方はお気軽にご連絡ください!
MTG企業サポートにも登録しているので、こちらも参考にしていただければ幸いです。
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指導担当が自分の場合、仕事もMTGも教えます(笑)

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②今回のデッキ:ティムールハイブリッドに至る経緯
さて、ここからが本題になります。
ストリクスヘイヴンの発売以降、環境のトップメタはスゥルタイやイゼットが中心で、次いでグルールや白単などのアグロ系、サイクリング、ジェスカイ変容という印象でした。
ティムールは存在こそしているものの、かなりの少数派というのが立ち位置だったと思います。
この時点でのティムールはアドベンチャーを主軸とした上で、
・火の予言・ラノワールの幻想家・ルーカ&コーマ等を採用したコンボ型
・オボシュを相棒としてカザンドゥのマンモス・黄金架のドラゴン・アールンドの天啓・グレートヘンジ・エンバレス等を積んだミッドレンジ型
の2種類に大別されていました。
どちらも一長一短あるのですが、「上手く立ち回れないと環境上位には不利」という点は共通していました。

この時の自分の発想は、「それぞれの上手く立ち回るパターンを抽出すれば、環境デッキにも有利に戦えるのでは?」でした。
ということで、それぞれの長所と短所を抽出するところから始めました。
どちらもアドベンチャー軸の16枚(亭主・巨人・野獣・借り手)は固定なので、この点は省きます。

コンボ型
・長所
ルーカ×コーマが決まればとにかく強い。
特にラノワールの幻想家からの4ターン目着地は対処札がなければ早急にゲームが終わる。
・短所
火の予言がトップメタに刺さりにくい。特にスゥルタイ相手だと完全に無駄牌になることもしばしば。

ミッドレンジ型
・長所
ドラゴン⇒天啓という動きが強い。
特に天啓は、盤面が有利なら1枚でライフを削り切り、不利な盤面でも飛行生物2体と追加1ターンで持ち直せる可能性がある。
また、オボシュを相棒に据えることによる+1枚のアドバンテージは中長期戦ではかなり有効。
グレートヘンジが着地することで、ライフとドローの両方に貢献する。
・短所
ほぼ全ての生物に除去耐性がないため、グレートヘンジやエンバレスが着地しないといったパターンが目立つ。

細かく上げればキリがないので、ざっくりとこんなイメージ。
この上で、2つのハイブリッドを模索。


③ルーカ×コーマとオボシュの共存は可能か?
個人的な結論は「可能」でした。
体感としてメインの火の予言が不要であり、サイドボードの否認・軽蔑的な一撃・焦熱の竜火などは、神秘の論争・レッドキャップの乱闘・弱者成敗といったカードで代用が可能と判断しました。


④マナベース問題
このままハイブリッドを進めると、
・借り手、天啓の青ダブル
・ルーカ、オボシュの赤ダブル
・マンモス、グレートヘンジの緑ダブル
という非常に難儀なマナベースを要求される。
そのため、個人的に長所でありながらも短所となり得るグレートヘンジの緑ダブルを削除する選択。
必然的にマンモスも不要となり、採用見送り。


⑤両方から強いカードを抜粋してデッキを組んでみる。
アドベンチャー軸の16枚(亭主・巨人・野獣・借り手)
ルーカ4
コーマ2
ラノワールの幻想家4
アールンドの天啓4
襲来の予測3
棘平原の危険1(マンモスの代わりに採用、除去の追加枠)
ヴァラクートの覚醒1(火の予言の代わりにコーマを戻す用)
土地25(両面4×3種、トライオーム4、寓話の小道3、島2山2森2)
理論上はルーカ×コーマコンボに加え、出来事生物横並べ⇒天啓で押し切るパターンが存在。
天啓のトークンで野獣がアタック可能。
オボシュをルーカで生贄にするというパターンや、ルーカの奥義とオボシュのルートも増えて良い感じでは?
ひとまずデッキを回してみる。


⑥テストプレイ
上記の理論は決まるときは確かに決まる。
が、そうでないパターンが数多く発生。
・コーマ2枚とも引いてルーカが仕事しない。
・ルーカ-2スタックで除去が飛んできて呼び出せない。
・手札が重すぎて序盤に何もできない。
・タップイン土地が多い。
・マナ配分が事故する時がある。
・そもそもマナが5マナまで伸びない。
etc...
問題山積である。
それに加え、ティムールアドベンチャー特有の問題として、
・マナを綺麗に使いきれない
というのがある。


⑦ストリクスヘイヴンのカードは?
このデッキに採用できそうなカードは何かないものか模索。
真っ先に目に留まるのは命令2種。
特にプリズマリの命令はどのモードも有用なので試しで採用してみる。


⑧信託者の広間との出会い
命令の採用により一部問題は解決。ただし3マナ域が大渋滞するため複数は採用できそうにない。
そもそも大前提としてこのデッキのマナベースが適切なのかという疑問を抱く。
体感的にはスペルを減らしてでもアンタップインの土地を1~2枚増やしたい。
最初は寓話の小道4枚目にして+1枚で試してみようかと思ったが、1枚のカードが目に留まる。
「信託者の広間」
最初は地味な能力付きの土地をそこまで重要に考えていなかったが、効果が気になり1枚試してみることに。
1枚しか入っていないので、テストプレイでも引くことが少なかった。
が…強い!
この効果を地味だと判断した自分を後悔するするくらいに強い。
ティムールアドベンチャーはクリーチャー主体のデッキでありながら、出来事が多い。
加えて、今回のハイブリットにより天啓・両面スペル・命令も加え、誘発条件はデッキの1/4以上。
更には上記で自分が挙げた問題の大半をこの土地が解決してくれることに気付く。
直ちに信託者の広間を2枚に増量し、再テスト。

信託者の広間は上記の問題の内、
・タップイン土地が多い。
・マナ配分が事故する時がある。
・そもそもマナが5マナまで伸びない。
・マナを綺麗に使いきれない
という点を綺麗に解決してくれたのである。
更に土地を増やす際に重いスペルを減らすことで
・手札が重すぎて序盤に何もできない。
という問題も緩和。
・ルーカ-2スタックで除去が飛んできて呼び出せない。
という問題も+1カウンターを乗せることで無情な行動への耐性ができて妨害リスクを緩和。
・コーマ2枚とも引いてルーカが仕事しない。
これについても、純粋に土地が伸びることでコーマ素出しプランが安定。
これによりヴァラクートの覚醒が不要となり、ルーカのマイナスと合わせれば除去としても使える「歌狂いの裏切り」に変更。

2つのデッキをハイブリッドするためのマスターピースが「信託者の広間」だったのである。


完成形:ティムールハイブリッド(オボシュ×ルーカ×コーマ)
※エクスポート情報なので、以下コピーでそのままインポート可能です。
(インポートができない場合、基本土地のセットが対応していない可能性があります)

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相棒
1 獲物貫き、オボシュ (IKO) 228

デッキ
2 島 (ELD) 254
2 山 (ELD) 264
2 森 (ELD) 269
3 寓話の小道 (ELD) 244
4 ケトリアのトライオーム (IKO) 250
4 岩山被りの小道 (ZNR) 261
4 河川滑りの小道 (ZNR) 264
4 樹皮路の小道 (KHM) 251
2 神託者の広間 (STX) 267
1 棘平原の危険 (ZNR) 166
1 歌狂いの裏切り (ZNR) 165
4 エッジウォールの亭主 (ELD) 151
4 厚かましい借り手 (ELD) 39
4 砕骨の巨人 (ELD) 115
4 恋煩いの野獣 (ELD) 165
3 ラノワールの幻想家 (M21) 193
2 星界の大蛇、コーマ (KHM) 221
3 銅纏いののけ者、ルーカ (IKO) 125
3 襲来の予測 (KHM) 76
1 プリズマリの命令 (STX) 214
3 アールンドの天啓 (KHM) 41

サイドボード
3 レッドキャップの乱闘 (ELD) 135
3 神秘の論争 (ELD) 58
2 運命の神、クローティス (THB) 220
2 アゴナスの雄牛 (THB) 147
1 獲物貫き、オボシュ (IKO) 228
2 弱者粉砕 (KHM) 128
2 壊れた翼 (ZNR) 181

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⑨調整による結果
自分の場合、メインレシピが自分の中で納得がいくまでは、ひたすらBO1で調整。
そこまで行って初めてBO3でサイドボードで調整というスタイルを取っています。
そのため、BO1の比率が多く対戦に偏りがあります。
それも踏まえた上で、以下が対戦内訳の抜粋となります。

ティムール戦績

セカコロ決勝トーナメント参加時点での対戦回数は実に663マッチという試行回数でした。
(原根プロの配信にお邪魔した際、その試行回数に驚かれていました)
上記レシピで、5月のミシック最高順位は#6、今月のセカコロ優勝という結果を残すに至りました。



⑩デッキの相性とプレイ方針について。
上の表も踏まえた個人的な評価としては
有利:アグロ全般、スゥルタイ、イゼット
五分:サイクリング、ジェスカイ変容
不利:ローグ、ウィノータ
です。
セカコロの決勝参加者に不利なデッキを使う人が少ないという判断が、最終デッキ決定の要因でした。
上記の表ではローグ・ウィノータも五分五分に戦えているようには見えますが、恐らく普通にやりあったら不利だと思います。
(もし一般的な大会に出るのであれば、サイドボードの雄牛を1枚増量することを検討すべきです)


プレイ方針について
一般的なティムールでは亭主と野獣がいる場合は野獣からプレイするのがセオリーです。
が、信託者の広間を採用しているこのデッキでは、手順が逆になるパターンがあります。
1t亭主⇒2tトークンからの広間起動ということがあるからです。
広間の起動がソーサリータイミングなので、その点は注意しましょう。
あと、アリーナ特有の仕様として、マナの自動支払いをしている場合、信託者の広間を残そうとするので、
借り手&巨人を構えたいときなどは、プレイ前にマナの支払いには十分注意しましょう。


サイドプランについて。
自分はこのデッキ⇒このサイドボードという明確な指針を立てないプレイヤーです。
特に最近はオンラインの普及によりデッキ公開性の大会が増えたため、柔軟に対応することが多いです。
あくまで参考程度にお考え下さい。


・アグロ全般(ウィノータも含む)
基本的にはルーカ⇒コーマで勝てることが多いです。
自分の残ライフと3マナ生物を盤面に残すことを意識してプレイすると良いでしょう。
IN:赤系⇒レッドキャップ(壊れた翼)、白系⇒弱者成敗(壊れた翼)、緑系⇒壊れた翼
壊れた翼は置物がある場合にIN、
OUT:アールンドの天啓、コーマ1、ルーカ1など
間に合わない可能性の高いカードを減らします。


・スゥルタイ
序盤からクロックを刻むことを意識していきます。
タップイン土地の処理と1ターン目の緑生物展開は、後者を優先することが多いです。
IN:神秘の論争3
OUT:プリズマリの命令、状況により変動
後手なら棘平原の危険、当てどころの有無によって借り手や巨人のOUTも検討します。


・イゼット
メインはコーマに対処するカードが少ないため、素出しの打ち消されないが有効に働きます。
ルーカ経由も含め、柔軟に対応しましょう。
IN:壊れた翼、レッドキャップの乱闘
OUT:アールンドの天啓、状況により変動
アーティファクトがなければ命令はOUT、後手なら棘平原、あとは当てどころの少ない巨人を減らすことが多い。
一見すると青いので論争を入れたくなるが、自分は入れない派です。
(アクロス戦争や黄金架など当てたいところに当たらないため)


・サイクリング
相手の展開によってこちらも柔軟に対応。
横並べの展開は不利になりがちなので、こっちの展開を押し付けられるように意識します。
IN:レッドキャップ、壊れた翼、クローティス
OUT:命令、天啓3、裏切り、ルーカ1、コーマ1
紅蓮術師、型破りな協力、閃光を意識したサイドボード。


・ジェスカイ変容
いかにしてコンボ成立前に削り切れるかが重要。巨人では落とせない生物が多数のため速やかに展開。
借り手と打ち消しの使い方が重要になるマッチアップです。
IN:レッドキャップ、壊れた翼、神秘の論争
OUT:命令、棘平原、ルーカ1、コーマ1、天啓2、巨人3など
とにかく相手の妨害をしつつ、場を展開することを意識。
相手がサイドからプラン変更するようなら検討。


・ローグ
とにかく不利。コーマが削られると出てこない、ルーカの+能力が友情コンボetc...
打ち消し、除去などを上手く搔い潜れれば勝機はあり。
IN:論争、クローティス、雄牛、弱者成敗
OUT:命令、重いもの全部
大ぶりなアクションは全てOUT。手数で勝負しつつクローティス・牛・弱者成敗などで常に墓地を意識しましょう。

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※以下、6/22追記分です。

今回のnoteへの優勝レポート掲載以降、様々なメッセージやデッキ使用報告をいただき、誠にありがとうございます。
「参考になった」「面白かった」「使ってみて強かった」といったありがたいお言葉もあれば、「あまり調子に乗るな」「sekappy主催の大会で自社の宣伝するな」といった否定的なご意見もありました。
冒頭にも書いた通り、今回こういった試みが初めてなので、肯定的なものも否定的なものも、貴重なご意見だと思っています。
今後改めてこのような機会が自分に訪れるかは分かりませんが、次回以降の参考にさせていただきたいと思っています。

その上で、今回追記させていただく経緯となったのは、何通か共通の問い合わせがあったためです。
それは、「同型相手の立ち回りはどうすればいいか」「同型対戦時の記述がない」といった内容です。
それもそのはず、上の663戦の対戦戦績を見てもらうと分かる通り、ティムールは完全にメタデッキから外れており、そもそも対戦を考慮する必要がなかったのです。
ところが、今回自分が優勝したこともあってか、ティムールの使用者が急増、6/21の日本選手権のデイリー予選の最大勢力がティムールになるほどでした。
そのため、今回「対同型」の記述を追記させていただく運びとなりました。

・対同型(ティムール)
とは言ったものの、自分も対戦経験が多いわけではなく、とりわけミラー対戦経験がない状態なので、あくまで参考程度にお考え下さい。
このマッチアップは「いかに早くコーマを定着できるか」が焦点となると思います。ルーカを打ち消すのか、マイナスに対応して生物を処理するか、敢えて着地させた上で借り手でバウンスするのか等、状況に応じて判断する必要があります。特に3ターン目にラノワールの幻想家が着地した時は要注意です。コーマが打ち消せないことも忘れないようにしましょう。

・サイドボードについて
正直、このデッキがTier1に上がってくることを想定していなかったため、現在の構成では特に有効なサイドボードを用意していないというのが現状です。
強いて言えばルーカを打ち消すために神秘の論争をIN、プリズマリの命令とアールンドの天啓をOUTといったところでしょうか。
今後もティムールが勢力を伸ばすのであれば、サイドボードを考え直す必要があると思います。
その場合、レッドキャップの乱闘を何枚か野獣やルーカに干渉できる「魂焦がし」に変更したり、サイドボードから奇数縛りを解いて「否認」や「アクロス戦争」といったカードが候補に挙がると思います。
上にも書きましたが、対同型については自分も試行回数が少ないため、あくまで参考程度にお考え下さい。

・土地設置順について
④で記載したマナベースを踏まえると、このデッキで土地を置く際に意識するべきなのは、
・3ターン目に青赤緑
・5ターン目に青青赤赤緑
・7ターン目に青青赤赤緑緑+α
を目指すことを推奨します。さらに言えば、カード1枚で要求される色としては借り手の両モードプレイ時の青青青が最も濃いです。よってαとしては青マナが理想形となります。
加えて、このデッキは両面スペルの関係で赤マナが他2色よりも若干多いです。特に、トライオームがなく両面土地や寓話の小道の選択する際には上記の点を意識していくとよいでしょう。
トライオームのサイクリングについても問い合わせがありましたが、基本的にこのデッキは8マナ(オボシュ回収⇒プレイ)まで伸ばしたいです。
勿論状況次第ではありますが、トライオームをサイクリングすることは少ないという認識でプレイしていきましょう。

※ここまでが6/22追記分となります。
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⑪最後に
ここまで読んでくださった皆様、最後までお付き合いただきありがとうございました。
自分の調整結果が、誰かの役に立てば幸いです。

前置きに興味持っていただけた方は、Twitterもしくは以下のアドレスからお気軽にご連絡ください!

miyabe@daishokagaku.com

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