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五十嵐早香のエッセイは何故、面白いのか? 第2回「冷蔵庫でも冷めない心」

 皆さんは、自分の夢と距離について考えたことがあるでしょうか?
 自分のやりたいことと、自分の住んでいる場所の距離が恐ろしいぐらい離れていたとしたら、どうするでしょう?
 自分が生まれた場所を呪うのか?
 それともその距離すらも乗り越えようとするのか?

 ※まずは、こちらのエッセイをチェック!!


 今回の写真、内容のド根性さと対照的に、透明感と高級感が同居してて素敵ですね。
 前回、MNL48のオーディションに落ちてしまった早香先生。
 しかも、謎のメールが届いて終わるというネットフリックスのドラマのような引きの強さ。一週間さまざまな妄想をしながら待ちましたよ。
 「実は私は50年後から来たあなたの子孫、日本にだけは行ってはダメ!」とか「君もヤングアベンジャーズに入らないか?」とか様々な展開を予想していました。
 「果たして今週はどんなことが!」と思いながら読んでいたんですが、今週も面白かったですね。

 なんといっても、今週も人生の選択をするシーンがあって、そこで彼女が決断した道が前回よりもハードになっているのが、凄く良かったです。
 「絶世の美女だった」と思っていた彼女に対して、さらに美少女だった方からメールが届き、どうやらMNL48のオーディションに落ちた人たちの抗議があったものの、事務所は相手をする気なし。挑戦状かと思って一瞬身構えた感じになっていたのが面白かったですね。
 で、このメールを送ってきた方のバイタリティも素晴らしいですね。
 自分たちだけでアイドルグループを作るなんて熱いじゃないですか。
 負けたんじゃない、勝つまでの途中だ、という感じで。
 で、早香先生はこのメールの情報から、最後のチャンスを感じます。
 ただ、このアイドルグループは、美少女さんの友人知人だけで結成されるということで、普通ならここで踵を返してしまうところですよね。やんわり断られているのも感じます。それなら仕方ない。
「ああ、そうですか。それじゃあ頑張ってくださいね」と返信して、僕なら諦めるかもしれません。
 しかし、彼女は諦めません。
 自分も参加することをお願いします。
 しかし、首都マニラまでは、バスで7時間かけていくしかない!!
 皆さん、今住んでいるところから7時間ぐらいのところってどこでしょう?
 僕が住んでいる愛媛県宇和島市から関西の新大阪までが電車でだいたいそれぐらいですが、とんでもない距離ですよね。僕は2時間の映画を観ているとトイレに行きたくなるぐらいトイレが近い人間なので、バスで7時間は流石にキツイかも知れません。
 しかも、「走る冷蔵庫」と呼ばれるぐらい寒いそうじゃないですか。
 椅子も背もたれもかなりきつそう。穴が空いている椅子もあるなんて、もうバス旅のハードモードやベリーハードじゃ足りない、アルティメットな感じですね。しかし、10分で眠りに着ける金曜日の疲れのすごさ。
 はたして、バスが着いた先でどんなドラマが待っているのか?
 もう来週の金曜日が待ち遠しくなっています。

 今週は、夢が自分から離れそうになった時に、それでもまだ夢の後ろ髪を握り続けるか諦めるのかを考えさせられました。もちろん、この7時間のバス旅は、彼女の情熱プラスご家族の理解や協力もあったのだと思います。一人娘のことを信じて送り出せるのも凄いですよね。
 映画のジャンルで「アンダードッグ」ものがあります。
 「負け犬たちのワンスアゲイン」ものという言い方の方がしっくり来る方もいるかもしれませんが、果たして、マニラに集まった6人、いや、7人はどうなっていくのか。「7人の侍」で三船敏郎演じる菊千代という元々侍ではない男が加わったことで、魅力的な集団が生まれたように奇跡がマニラでも生まれるのか、それとも。
 今週も自分が住んでいるところとは、全く違う世界を体感させてくださった、とても豊かなエッセイでした。
 

前回はこちら。


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