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おすすめの本「古畑奈和写真集 感情の境界線

 最近、人間の多面性について考えることがあります。
 小説家の平野啓一郎さんが唱えた「分人主義」はそれを見事に言語化した言葉だと思います。一人の人間だとしても、AというコミュニティとBというコミュニティでは全く違う人間であるということですね。
 最近は「メタバース進化論」の中で、人格を「イデア」( 魂 )とした時、現実世界の人間の体とメタバース上のアバターの自分は、全く違うということも書かれていました。
 さらに、フィクション作品でも「マルチバース」という言葉をこの1年でヒット作3作品の中で聞きました。別の次元の我々と似た世界をマルチバースと呼び、その別の次元は無限にあります。MCUの最新作「ドクターストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」は、複数のマルチバースをまたがって移動します。その中で全く違う自分を観ながら、徐々にそれは主人公が持っている可能性の延長が描かれているのではと僕は観ながら感じました。
 なんだかAKB48の「365日の紙飛行機」の歌詞みたいだなあ、とも。

 「ずっと見てる夢は私がもう一人いて やりたいこと好きなように自由にできる夢」(『365日の紙飛行機』より)

 この歌詞は、秋元康が数年に一度ぐらい炸裂させるパンチラインだと僕は思っています。
 今の自分と理想の自分。
 不自由な今と自由な夢。
 誰もがふと思い浮かべたことがあることを、見事に言語化している歌詞だと思います。
 僕らは常に色々な自分と可能性を持っていながら、毎日を過ごしているわけです。
 SKE48のメンバーの中にもそんなことを連想させるメンバーがいます。
 5期生の古畑奈和です。
 先日、古畑奈和ちゃんの写真集「感情の境界線」が発売されました。

 写真集のコンセプトとして、「東京」と「沖縄」、「青髪」と「黒髪」といった2面性が写真集の帯に書かれていました。
 奈和ちゃんが持っている2面性としては「かっこいい」と「かわいい」が連想させられます。「東京」や「青髪」側が「カッコいい」を引き受けて、その反対が可愛いを引き受けている感じの作りかなと読みながら思いました。
 ちなみに、Twitterでも密かにアンケートをフォロワーの方に取っていました(締め切りの設定をミスしたせいで、この記事がアップされてもアンケートは絶賛受付中!!)

 皆さんはどちらの奈和ちゃん派でしょうか?

 さて、ここからは写真集の内容について語っていきましょう。
 まず、構成は沖縄→東京→沖縄という感じになっています( 髪の色から判断したので、間違ってたら申し訳ないです )。
 人工物に囲まれたところから、自然の中で自分を解放していくというイメージなのかな、と読みながら感じました。
 タイトルの「感情の境界線」もナイスネーミングと思うんですが、写真集って様々な「感情」のカタログでもありますよね。
 時には物憂げに目を伏せていたり、時には無防備な表情を見せたり。
 色々な奈和ちゃんの表情が載っていますが、じっとこちらを見つめる視線の強さを感じる青髪のショットが僕は好きです。
 この記事の写真になっている、HMVの特典の生写真の画像ですね。
 そして、好きな衣装としては、黒のビキニのショットが良いですね。すっかり忘れていたんですが、奈和ちゃんって色白なんですよね。そして、髪も黒にしているので、良いコントラストになっていて凄く好きです。中でも、ちょっと顔を隠しているショットが良いですね。
 最後の海でジャンプするショットは、彼女の卒業を意識してみると「旅立ち」や「解放」を感じます。彼女の顔は写ってないのに、ここまで読んでいくと想像できる気がしませんか?
 また、Q&Aのコーナーも読みごたえがありましてですね。
 僕もパートナーにママを求めず、自分で自分のご機嫌を取れるようにしようと決めました( Q89より )。あと、Q32も凄く良いのでおすすめです。
 ちなみに、写真集にBGMを付けるなら、という遊びを僕はよくするんですが、前半の東京編は奈和ちゃんのソロ曲の「本性」や「誰かの耳」、「4me」が凄く合う気がします。後半の沖縄編は「観覧車」や「オルフェス」もいいんですが、意外と「FRUSTRATION」も合いますよ。
 
 さて、この写真集を出すタイミングについて、色々と思うことがある方もいらっしゃると思います。
 もし、2015年の755戦争を制して出していれば…。
 しかし、完全に後出しじゃんけんをふまえて言わせていただくと、「2018年以降に出せて良かった!」というのが僕の意見です。
 2018年以前の総選挙後ぐらいから自分の意思や個性を解放していったからこそ、この鮮やかで美しい写真集が生まれたのではないか、と。
 勿論、2018年以前の奈和ちゃんも好きです( ブログの文章とか特に )。
 しかし、良くも悪くも模範的な内容の写真集になっていたのかなあ、とも思っています。
 写真集の中にある「境界線」という言葉も非常に奈和ちゃんと相性の良い言葉だと思っています。
 「かっこいい」と「かわいい」、「アイドル」と「女優」、様々な境界を越えながら活躍している彼女。
 そんな彼女の感情を動かしていくもの、「境界線」になるものが何なのか?
 僕はきっと写真集の一番最後のページの一番下の行に書かれていた方々ではないか、と僕は思っています。

 古畑奈和という人間の多面性は、まだまだ広がっていくと思います。
 彼女や我々の感情を動かす、境界線になるような仕事に沢山出会えることを願いながら、今回の記事を終わります。
 
 
※これまでの奈和ちゃんについての記事はこちら!


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