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ヒプノシスマイクは発見を促し続ける。

唐突な質問ですが、自分が好きな歌について説明する時に感覚的に好きなものもあれば、ロジック的に好きなものもあると思います。そんな中、どっちも満たされるという作品が時々、世の中にはあります。
 それがヒプノシスマイクです。

2019年の夏、僕は当時勤めていた会社の同期の方から、「薄桜鬼」や「戦国鍋TV」、「刀剣乱舞」が好きなら、是非、勧めたいものがあると言われて紹介されたのが、「ヒプノシスマイク」でした。

なんか、ラップが題材で、今ムーブメントが来ているというのをぼんやりというのは、ぼんやり知っていたんですが、うーむと逡巡したんですね。
 恥ずかしいもので、年をとると新しいことに触れていくのが、面倒なんですよね。1から100は行けるんですが、0から1が大変。
 でも、まあ、ものは試しにとyoutubeに上がっていた公式のチャンネルからチェックしてみたんですね。

https://youtu.be/SSvGPQNrtwQ

初見の皆さん、いかがだったでしょうか?
 冒頭でプロローグが流れて、それぞれのディビジョンのメンバーが唄っていってましたね。ラジオをよく聴く僕は、日本語ラップというと、ライムスターとクリーピーナッツぐらいが守備範囲で、番組で流れるヒップホップの曲を聴くことで情報を更新するぐらいの音楽ド素人なんですね。しかし、そんな、僕にも刺さるディビジョンがありました。

それは渋谷ですよ!

何故なら、僕の青春時代は小沢健二(通称、オザケン)を始めとするシブヤ系の音楽で育ってきたからです。乱数の醸し出すあのオーラはオザケンと通じるものがあるというと、どちらのファンの方にも怒られるかも知れませんが、明るさと知性が融合してる感じが良いんですよね。
 ちなみに、推しは夢野幻太郎先生です。
 僕が文学を研究していて、今もそれに親しんでいるというところもあるんですが、「シナリオライアー」を聴いた時、物を語る、いや、騙るということの根源について考えさせられたんですよね。平安時代とかになかなか外に出られない姫君の為に、語り部たちが物を語って別の時間や場所を体験させたことや、騙ることによって全く違う事象が起こり、別の意味が生まれていくことを連想させられました。

さてさて、話が脱線しましたが、しばらくして、大阪と名古屋の2ディヴィジョンが加わります(2020年4月現在、中央区もなんか加わるんですかね)。大阪は僕の大好きなクリーピーナッツが楽曲を提供していて、ラジオでもガールズバーにいって、DJ松永さんがその効果に衝撃を受けていましたね。僕にヒプマイを進めてくれた方も、この2つのディヴィジョンが魅力的で、かなり心が動いたそうです。
 僕は関西に住んでいるんですが、難波の街を歩く時なんて、どついたれ本舗の曲を聴いてますよ。これがカッコいい。

https://youtu.be/cB1e1wT8eJY

そうそう、名古屋と大阪は他のディヴィジョンよりも「土地」を連想させる歌詞が多い気がしますね。これまでは、職業性を凄く感じられていたんですが、これからもし、ディヴィジョンが増えていくんなら、それぞれの曲が描く風景を楽しむのも良いかも知れません。

さて、1曲1曲が中毒性があるというか、頭に残るので仕事中も歌詞のことみんな大好き左馬刻さまの「筋目通しゃ見逃すぜボウズ」の箇所。2つの新しいディヴィジョンが加わる前は、先ほど紹介した乱数くんが唄うんですが、彼が童顔というか少し、幼い見た目なんですよね。だから、そういう意味のボウズで意味が通る。
 名古屋が加わってからは、乱数くんより先に僧侶の空却くんが来るんですが、ちゃんと坊主なんですよね。
 この発見をした時は、「いやあ、頭良すぎる自分が怖いぜ」と思いながら、ふいに公式サイトのコメント欄を見たんですね。

 す、既に発見されてる。
 なんなら英訳して、さらに深い意味の繋がりを考えている人までいる!

ヒプノシスマイクの特異性として、ファンの方々によるコメント欄の歌詞の解釈がものすごく充実しているんです。
 もう、このコメント欄のコメントを抽出していって、ヒプノシスマイク論の論文が書けるんじゃないか、というぐらい魅力的です。
 インターネットがSNSを中心に動物的な脊髄反射の表現に走ってしまい、「早く広がる」要素が強くなってしまった現代において、ここまで、「集合知」としてのインターネットが発揮されている場はないんじゃないでしょうか。その集合知を受け止められる1曲1曲の深さも凄いんですが。文字通り「沼」なんでしょうね。

 もちろん、難しいことばかり、考えろと言っているわけではありません。
 曲を純粋に楽しんで、キャラクターたちのドラマを楽しむというのも醍醐味です。先日、仕事帰りに梅田のタワーレコードに行ったら、ヒプノシスマイクのカフェがやっていて、空いてたら行こうかと思いましたが、流石の行列だったので、断念しましたよ、ええ、でもなんか楽しそうな雰囲気を味わえたからいいんだ。

 色々と書きましたが、普段、僕が書いているブログの方を読んでらっしゃる皆さんは、少なからず文化について考えるのが好きな方が多いと思います。是非是非、一度、聴いてみてください。

 僕はこの曲を聴きながら、休みの日に散歩するのが好きです。
 ではでは、良い休日を。

https://youtu.be/HsDJHQ94R9g

こんな大変なご時世なので、無理をなさらずに、何か発見や心を動かしたものがあった時、良ければサポートをお願いします。励みになります。