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あなたが推したいさだまさしの曲ベスト3

はじめに



 皆さん、さだまさしさんをご存じでしょうか?
 大晦日に紅白歌合戦が終わって「ゆく年くる年」が厳かに流れた後に、テレビでラジオをやっているあの人です。ある一定の年齢層の方には、ダスキンのCMの方かも知れません。
 ただ、さださんの本業は歌手です。
 MCが爆裂に面白くて長いという特徴がありますが、彼の素晴らしいところは、なんと言っても歌詞の文学的要素です。
 我々が住んでいる世界と同じ世界に生きているはずなのに、なんでこの人が言葉にするとこんなに美しくなるのだろう、といつも思います。それは、芥川龍之介が「侏儒の言葉」で文章について述べていた箇所を思い出せます。

文章の中にある言葉は辞書の中にある時よりも美しさを加えていなければならぬ。

「侏儒の言葉」より

 さて、そこで非常に乱暴な企画なんですが、Ⅹで皆さんにさださんの推し曲を聞いてみました。

 昭和58年生まれなので、写真の文庫本はもう絶版になっていて、全部中学生の時に古本で集めました。新潮社も文芸春秋社も頼むから電子書籍化してくれ!!


前の持ち主がどのアルバムに入っているかを書いてる!


 歌詞が書籍になっていて、アルバムを買わなければ読めないその歌詞に関するライナーノートが書かれていたり、ライブに行かなければ( そもそも生まれて無いんですが )聞けなかったMCが収録されていたりする文庫は非常に貴重なもので何度も読み返したのを覚えています。本当に名曲が多くて、選ぶのが大変ですが、3曲選んでみたいと思います。それでは、まずは僕が推したい3曲から。

 さださんの魅力の一つとして、「別れの風景の美しさ」があると思います。
 ある時は、それは都市で起こり、ある時はそれは地方で起こり、ある時はそれは歴史と地続きの土地で起こる。
 まず、「檸檬」から書きたいと思うんですが、もうね、一定のリズムで曲が進んでいくのが、まるで電車の音のようでいいんですよね。この曲に出てくる「君」の浮世離れした感じがとても好きです。1番と2番で放るものが変わりますが、どれもまだ「食べかけ」なんですよね。青春も二人の関係も終わっていくんだな、と初めて聞いた時は思いました。

 次に「風の篝火」なんですが、とにかく歌いだしが美しい。人間の手を水彩画のかげろうに喩えるとは。さみしそうなギターの音色もいいんですよね。目に見える美しい風景と目に見えない二人の距離。それを架ける橋はもう無いのかな、と感じさせる素晴らしい曲です。

 最後に「まほろば」ですね。僕は、多分、さだまさしさんの曲を初めてちゃんと聞いたのがこれで、最後まで聞くまでに泣いていました。怖くて。なんでこの人は、こんなに世界を美しく描けるんだ。世の中にはこんな天才がいるのか、と怖くなりました。まず、イントロのヴァイオリンの音色が別世界に連れていってくれます。夢見がちな「僕」と現実主義の「君」の対比は、「檸檬」とは対照的ですね。そして、この曲の中に出てくる印象的なフレーズがあります。

たとえば君は待つと黒髪に霜の降るまで
待てると言ったが それはまるで
宛名の無い手紙

「まほろば」

 ごめんなさい。もう書きながら泣いてます。
 まず、これは「万葉集」に登場する二つの黒髪に霜が降るまで、つまり白髪になるまで待てますよ、という歌からインスピレーションを得ているとさださんはこの曲のライナーノートで書いています。「万葉集」の時代から人間の心は変わらないのかな、と感じさせる歌詞ですね。
 おそらく万葉の時代から変わらずそこにある満月で終わるのも本当に素晴らしいです。

 以上、僕が推したい3曲でした。
 次点は迷いますがラストまで聴くことで生き方を歌っているのが見えてくる「舞姫」、夢破れて田舎に帰った人なら誰もが共感する「駅舎」、城下町に生まれた人間にはたまらない「城のある町」も好きです。

 ここからは皆さんの推したい3曲です。
 まずは、マルーンキティさん。

マルーンキティさん


 いきなり、ベストアルバム常連の名曲が並びますね。
 紅白歌合戦で聴いたことのある曲もあるんじゃないでしょうか。
 この中では「無縁坂」が僕は印象的で、さださんがグレープ時代に書いた曲だと思うんですが、この坂を超えるというところから人生の超え方のように発展していく歌詞が素晴らしいです。20代でこの歌詞が出てくるさださんの早熟度たるや。
 笑顔の交換っていいよなと思う「道化師のソネット」も目を閉じて聴いていたい「北の国から」どちらも大好きです。
 

じろうさん


 こちらもベストアルバム級がきましたが、この中だと僕は「つゆのあとさき」が大好きですね。もうね、出会いも別れも「君」は変わらず綺麗だというのが最高です。初めて聞いた時は、先生と生徒の恋の話なのかな、と想像しておりました。
 「天までとどけ」も「案山子」もいいですね。

一匹狼さん

 先ほども挙がっていましたが、こちらで「案山子」について書きたいと思います。たしか、僕が買ったさだまさしさんのベストアルバムでは、さださんの曲に著名人が曲の思い出を寄稿していたと思うのですが、この曲は加山雄三さんが寄稿されていて、そこが凄く泣けるんですよね。都会に子供を送り出す親の気持ちを描いた素晴らしさ。先ほどもでましたが、当時のさださんはまだお若かったのに、親御さんの気持ちを描けるのが凄いですよね。
 「道化師のソネット」も素晴らしいですし、「風に立つライオン」は、人間の命、動物の命、自然と人間など、様々なことを想像させられます。

するりんさん


 この3曲の中では「まりこさん」が大好きで、短編小説を読んでいるような気持ちになります。あくまで断片的にしかわからないまりこさんの人生。でも、そこが凄く好きです。
 「転校生(ちょっとピンボケ)」はメロディも好きですし、二人の恋の思い出が語られ、最後は少し切ない感じが好きです。「敗戦投手」も凄く好きです。もうね、人生でこういう時ありますよね。というか、今、僕もまさにマウンドを降りて、もう一度投げられるように頑張っております。


えむなるさん

 まず、さださんの曲のジャンル分け。
 なるほど、そんな分け方があったかと思いました。
 その中からラブコメで選んでくださった3曲。
 「パンプ・キンとシナモン・ティー」がこの中では、僕は大好きで「僕」の視点から見た「マスター」と「ミス・シナモンティー」の恋が良いんですよね。
 「朝刊」は、SKE48でMVを作るなら誰が似合うだろうとふと考えてしまいました。そして、「雨宿り」と「もうひとつの雨宿り」はもう書き出しから最高ですよね。


おささん





 もうね、良い曲しかない。
 中でも僕は「絵はがき坂」が好きで、「僕」の変わってほしくないものが「君」だったり「活水あたり」の風景だったり。絵はがきという時間を絵の中に残しておくものがタイトルになっているのも印象的です。
 「晩鐘」も凄く良くてですね。アルバムのラストにこれが来るんですよね。どんどんエモーショナルになっていくメロディが印象的です。そして、この後にくる「多情仏心」がいいんですよね。
 「風の篝火」もやはり書き出しがいいですよね。
 次点の「春告鳥」に描かれる風景の美しさ。「ひき潮」は、「夢供養」のラストに来る一曲ですよね。「生きるのが下手な人」の一人としては、もう聴きながら泣けてくる一曲です。

おわりに


 みなさん、素敵なさだまさしさんの推し曲、ありがとうございました。
 この記事を書いている間、ずっと皆さんが挙げてくださったさだまさしさんの曲を聴きながら書けて幸せでした。
 まだまだ、さだまさしさんの曲を、今度は近年の曲も聴いて行かねばと思いました。

 次にやるとしたら、そこまでくわしくないですが、かぐや姫か吉田拓郎さんでしょうか?いや、中島みゆきさんもやりたい。僕の青春時代だとGLAYとThe Pillowsもやりたいですね。
 もし、好評だったら次回もやりたいと思います。ではでは。


※ おささんが書いたnoteをきっかけにこの募集をしました。おささんありがとうございます。


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