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朝の自分に問いかけながら


 あらゆる世代の日本人がよく使う言葉でプロの通訳者や記者の間で「外国語に訳しにくい」と問題になるマジックワードがあるそうです。それが「しょうがない」です。むりやり英語に訳すと「It's inevitable.I cannot do anything this.」(避けられない事態で何も出来ない)になります。

 メディアアーティストであり筑波大学図書館情報メディア系准教授の落合陽一は、最新の著書「ズームバック×オチアイ 過去を『巨視』して考える未来を考える」の中で「しょうがない」のメンタルは自然災害などの人間では太刀打ちできない現象が日本に多かったことが、日本人の「しょうがない」という根底にあるのではと分析しています。「しょうがない」がという空気が支配すると、あきらめに通じていきます。あきらめると先に進むのは難しい。
 じゃあ、「しょうがない」という空気に逆らうにはどうすれば、良いのか。
 同著で落合陽一は、あるひらがな四文字の言葉を挙げます。
 このブログの終盤で答えを発表するので、これを読んでいる皆さんも考えてみてください。

 先日、SKE48のニューシングルの発表がありました。
 その中には、初選抜の平野百菜さんの名前もありました。

 彼女はまだ中学3年生の15歳です(もうすぐ卒業ですが)。
 彼女の選抜入りに対して、9期生の青海ひな乃さんがコロナにより選抜から外れたことの代打としての選抜入りだという声がSKE48に関するサイトやSNSでいくつかありました。2022年2月5日時点でメンバーからはそのような発言はないので、ハッキリ言って平野さんのことを過小評価した非常に失礼な意見だと僕は思います。
 なんで彼女が選ばれたのか?

 それは、彼女を推している方々なら分かるかも知れませんが、僕を含めて普段から彼女の発信を随時チェックしていない人間からしたら、「大抜擢!」となるかも知れません。
 そこでまず参考にしたいのは、彼女の2021年の実績についてです。

 こちらのアメブロを読んでみましょう。

 もうね、5位の無限すごろくというのがいったい何のか気になって、AKB映像倉庫を探しましたよ。
 お願いですから映像倉庫は配信記録に一言「〇〇の巻!」みたいなのをつけて欲しいです。

 さてさて、話を戻すと、先ほどのアメブロからももたんが2021年にちゃんと結果を出してきたことが分かると思います。

 これまでのSKE48は乃木坂を始めとする坂道グループのように握手会売り上げを重視していましたが、彼女の場合はそれとは違うアプローチで選抜を手に入れたと僕は考えています。
 そのヒントになるのが、以前、ブログで彼女のことを取り上げた時に書いた、SHOWROOM配信についてです。
 あのブログを書いた後、彼女はSHOWROOMアワード2021AKBグループ賞を受賞します。

 まずは彼女が自分のSHOWROOMのルームについて書いたアメブロを読んでみましょう。

 ももたんの配信を楽しむももたん推しの皆さんたち、受け入れて来る人達がいるから、色々なことができる。時には一緒に喜んだり悲しんだり。これはSHOWROOMを作った前田裕二が著作「人生の勝算」の中で挙げた熱量のある理想的な配信空間と合致します。それは「誰かの物語」が「自分の物語」と重なる空間になっている状態です。
 彼女が自分の実力だけでなく「ファンの方々からいただけた賞」と書いたんですが、まさにみんなで作った空間ではないかと思います。

 さらにもう一つSHOWROOM配信について書いたアメブロを読んでみましょう。

 このアメブロでの「これはもも1人がもらったものじゃなくて毎日みてくれているファンの方と一緒にいただいた賞だから、みなさんを代表して」という表現から、やはり、みんなで楽しい空間を作るということを感じます。
 そして、「ショールームはももにとって大切な場所です」という言葉は、シンプルですが彼女が書くことで非常に説得力のある言葉になると思います。

 毎日アイドルももうすぐ1000日というのも凄いですね。

 自分とファンの方々を信じて、続けること。
 これは言葉にすると簡単ですが、実行していくのは大変なことだと思います。
 アメブロの中にもありますが、楽しみながら続けていけたからこその継続だと思います。

 SKE48の選抜の評価軸は、握手重視ではとファンの間では語られていましたが、ここで違う評価軸をももたんは持ち込んでくれたのではないか、と思います。
 それだけでは、ありません。「大富豪は終わらない」でのドラマ出演や「BLACK PEARL」や「青空片想い2021」選抜、それぞれが良い流れを生んでいます。
 その根底には、「自分が1番良い!!と思う気持ちを大切にする」というのがあるのかも知れません。
※こちらのアメブロを参照しました。

 もし、彼女が「握手会の部数が選抜常連メンバーよりも少ないし、選抜はまだまだ遠いかもしれないけど、『しょうがないよね』」という考え方だったら、きっと選抜になるまでまだまだ時間がかかっていたのではないでしょうか?
 2021年の生誕祭の際に「選抜になる!」と目標を口に出して、それに向けて毎日、頑張っていた彼女。
 落合陽一は、「しょうがない」という空気に支配されないために、矛盾してもいいからいくつもの一人の人間の中に複数の信念を持つことを挙げます。研究者としての彼は「役に立つものは正しい」と思いますが、アーティストとしての彼は「役に立たないものが正しい」

と考えます。どちらか一つだけの考えでは、行き詰ってしまうというわけです。
 握手会の売り上げだけが選抜の基準では、選抜までの時間がかかる。
 「まだ3年目だし、『しょうがない』か…」となる。
 しかし、彼女は「握手会の売り上げや部数は先輩たちが上かも知れない。『それでも』自分にはSHOWROOMや大富豪がある。支えてくれるファンの皆さんがいる」という動きが出来ていたわけです。
 そう、「しょうがない」という空気から逃れるためのひらがな4文字は「それでも」です。Aというプランだと厳しい「それでも」Bという別のプランがある。そうすることで、AのプランよりもBのプランの方に面白さやオリジナリティを感じて集まってくる人もいるかも知れません。
 複数の選択肢を持ち、その中にあった最良のものを大切にして毎日を過ごしてきたからこその選抜ではないかと思います。だからこそ、結果もついてきた。

 2005年6月12日、アメリカのスタンフォード大学の卒業式でアップルの当時のCEOであるスティーブ・ジョブズがスピーチをします。ちなみにこの1年前にジョブズは、がんの宣告を受けています。

 スピーチの終盤で彼はこう語ります。

「17歳の時にこんな言葉に出会いました。『今日を人生最後の日だと思って生きよう。その日は必ずくるから』。その言葉は印書的で、以来33年間、毎朝、鏡を見て問いかけています。『もし今日が最後の日でも、いまやろうとしていたことをするだろうか?』その答えが何日も『NO』のままなら、何かを変えるべきだと気づきます」


 毎日アイドル1000日目の朝も、きっと、ももたんは自分の信じた大切な場所に、笑顔で向かっていくのではないでしょうか。

※なんとなくこの記事を書きながら思い浮かべた曲を貼ってお別れです。



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