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インターネット最初の夢

こんにちは。

下記の投稿をしたのですが、この辺りは僕個人的にも大切にしている考えが多いので、少し追記をして書き残しておこうと思います。

タイムマシーンに乗って

ブロックチェーン・クリプトに人生を賭けようと決めた数年前、1990年代後半のインターネット界隈の記事をアーカイブで検索しまくって、既にサーバー落ちしているような文献もタイムマシーンに乗った気分で読み漁った時期がありました。

当時からWeb3/クリプト界隈は、いわゆるWeb1と呼ばれるインターネット黎明期と似ていると言われていて、原点に立ち戻ってみようと思い立ったからです。

さてそうして20年以上前の世界を覗いてみると、そこで語られていたことはクリプト界隈とそっくりで、改めて、ああ自分の場所はここだなと思った記憶があります。

Web1.0・ネット黎明期の日本の主な登場人物たちは、いっても上は30代までの若者たちでした。
そして彼らは、インターネットを単に金銭的なビジネス面から考えるだけでなく、グローバルで開かれた哲学思想を持って社会的文化的大変革を起こそう!と明るく壮大な未来を語っていました。

一部紹介させていただくと、

「インターネット・ビジネスというのは、大儀がある。ネットワークにつながっているコンピュータというのは、基本的人権だと思っている」

「産業主義ドライブで考えると戦争でも儲かるというような話になる。そうではなくて、社会的意義というようなものを強く持っていないと、産業主義ドライブで行った時のひずみが出てくる」

「今は60億人のうち、たった2億人しかインターネットにつながっていないが、インターネットにつながることが基本的人権として認知されれば、個人へのパワーシフトが起こり、組織と人との関わり方が根本的に変わってくる」

「インターネットが広がっていくとどうなるか。消費の主権は必然的に、情報や資源を独占している企業から、民衆にシフトする。ネットに関わっているベンチャーが一番意識してくべき点はそこだ」

Web 1.0の雰囲気はまさにPower to the people、オープンで格差のない世界を実現する「インターネット最初の夢」でした。

そしてそれは僕がクリプトの世界に入って、世界中の開発者や起業家と関わる中で、よく話していたこと、感じていたこととそっくりでした。

そのころの議論は、面白いほど今のWeb3・クリプトの世界で実現されているものと重なる部分があります。
当時議論されていた具体的な例を挙げると、

「ゆくゆくはユーザーがネットサービスの安定株主となり所有権を持ち合うべき」

「本来的には株式公開というのは所有権の分散であり、もともと企業や一部の投資家に所有権が集中していたのが、パブリックに分散すること。その観点では、究極的なIPOというのはユーザーグループに対するDPO(Direct Public Offering)のようなものだと思う」

「インターネットのおかげで、どこか特定の組織に属さなくても、「個人」ということでそれぞれの人が活躍できるようになっていく」

どれも、今まさにクリプトやDAOが実現し始めている世界です。

イーサリアムやポルカドットをはじめ、コミュニティに属しながら、完全に匿名であってもコードの質やオンラインでの貢献に応じて、トークンを介して報酬を得られる仕組みはすでに存在します。また、いちユーザーがコンピュータを動かして、直接ネットワークの維持に参加することもでき、貢献度に応じて企業が介さずに自動的に報酬が支払われる仕組みも、マイニングやステーキングで実現されています。

分散思想のWeb1から集権化したWeb2へ

ではなぜWeb1の思想から、中央集権化したWeb2に発展したのか。
その要因のひとつには、何もない起業家が挑戦する際、エンジェルやVCからリスクマネーを集めるのに株式会社を作る必要があり、株主利益のため上場(あるいはM&A)を目指す、という既存資本主義のレースに合わせざるを得なかった点があると思います。

どんなに高尚な志やビジョンを持ったファウンダーであっても、乗っかっているルールがそうである以上、いかに自社プラットフォームの周りに堀を作って自分たちにユーザーやデータを集めて利益を最大化するかを考え続けなければいけなくなってしまう。

Web3にまつわる議論では、ザッカーバーグが諸悪の根源のように扱われがちですが、上記のことを考えると、株主利益を求める市場の仕組みがそうさせたとも言えると思います。

Googleが「Don't be evil / 邪悪になるな」(例えば、勝手にユーザーデータを抜き取るなど倫理規範に反くことはやめようの意)をモットーにしながら、守りきれなかったことも同じです。

VCには出資者に対して資金を還元しなければならないファンド期限があり、上場後にも株式市場では四半期毎に評価に晒される。それはスタートアップにとって本来倫理的に正しいことや社会全体のためになることに反してまでも利益を上げなければならないプレッシャーになります。

インターネット本来の理想がようやくはじまる

Web1で議論されていた「インターネット最初の夢」に沿って、分散化され開かれた全人類のインターネットを構築するなら、それを開発するのにベストな組織形態はトークンにより経済合理性が設計されたDAOであり、そもそも株式会社ではなかった可能性は大いにあると思います。

株式会社ではなく、数万人単位でユーザー自体を取り込んでしまう組織形態であるDAOの方がステークホルダー全員が長期で本質的な価値向上によりコミットしやすいのではないか。

かつ、トークンというオンライン上でトラストレスに経済インセンティブを提供できるプロトコルのピースがビットコインによって解き放たれたおかげで、ようやく本来のウェブの理想が実現できるのではないか。

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Pantera Capitalファンド資料より

その説はすでにPolkadotをはじめ多くのDAOベースのWeb3プロジェクトが証明してきていますし、今後数年でよりはっきりしてくると個人的には考えています。

これからWeb3に挑戦しようという学生や若い世代の方は、日本のインターネット黎明期から学べることは多くあるのでおすすめです。

また、ここまで読んでいただいた中に、日本のWeb1/インターネット黎明期を奔走されてきた方々がいれば、

「20年くらい経ってようやく当時皆さんが思い描いていたインターネットの夢がはじまりそうですよ!」

と、お伝えできたら嬉しいです。沢山学ばせていただきました。

Obi

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